◎岩波文庫「教科書版」について
昨日は、岩波文庫版『古事記』の解題について触れた。続いて、その解題について紹介する順序だが、その前に、岩波文庫の「教科書版」について、触れておきたい。
今日の岩波文庫には、普通のものと、ひと回りサイズが大きいワイド版とがある。同様に、戦前の岩波文庫にも、普通のものと、ひと回りサイズが大きい教科書版とがあった。
ここで、クイズである。次の各短文の正誤を、〇×で判定してほしい。
1( ) 岩波文庫・教科書版の版面は、ふつうの岩波文庫の版面を、写真によって拡大していた。
2( ) 岩波文庫・教科書版の定価は、ふつうの岩波文庫より、二割ほど高かった。
3( ) 岩波文庫・教科書版の『増鏡』は、近刊が予告されていたが、結局、発行されなかった。
答えは、すべて×である。
岩波文庫・教科書版の版面は、ふつうの岩波文庫の版面と同じである。サイズが大きいので、その文、余白が大きく、書き込みをおこなうのに適していた。
岩波文庫・教科書版の定価は、ふつうの岩波文庫と同じであった。ふつうの岩波文庫『古事記』は、★ひとつで二〇銭。教科書版『古事記』も、★ひとつで二〇銭であった。教科書という性格から、あえて価格を、そのままにしたのであろう。
岩波文庫・教科書版の『増鏡』は、教科書版「第二十九編」として刊行されている。ただし、国会図書館には架蔵されていない。【この話、続く】
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