◎岩波文庫「教科書版」は第何編まで出たのか
昨日の続きである。戦前の岩波文庫「教科書版」には、どういう書目が選ばれていたのか。その第一編は、一九三二年(昭和七)四月発行『古事記』だったが、いったい、第何編まで出ていたのか。
本日は、「岩波文庫教科書版目録」というものを紹介してみよう。これは、岩波文庫教科書版第二十三編『訓読日本書紀』上巻の巻末に、見開き二ページで載っていたものである。
岩波文庫教科書版目録
第一編 古事記 幸田成友校訂 定価二十銭
第二編 白文万葉集 上巻 佐々木信綱校訂 定価一円
第三編 白文万葉集 下巻 佐々木信綱校訂 定価八十銭
第四編 新訓万葉集 上巻 佐々木信綱校訂 定価八十銭
第五編 新訓万葉集 下巻 佐々木信綱校訂 定価六十銭
第六編 古今和歌集 尾上八郎校訂 定価四十銭
第七編 源氏物語(一) 島津久基校訂 定価四十銭
第八編 源氏物語(二) 島津久基校訂 定価四十銭
第九編 源氏物語(三) 島津久基校訂 定価四十銭
第十一編 源氏物語(四) 島津久基校訂 定価六十銭
第十一編 源氏物語(五) 島津久基校訂 (近 刊)
第十二編 枕草子(春曙抄)上巻 池田亀鑑校訂 定価四十銭
第十三編 枕草子(春曙抄)中巻 池田亀鑑校訂 定価四十銭
第十四編 枕草子(春曙抄)下巻 池田亀鑑校訂 (近 刊)
第十五編 大 鏡 和田英松校訂 定価四十銭
第十六編 新古今和歌集 佐々木信綱校訂 定価六十銭
第十七編 平家物語 上巻 山田孝雄校訂 定価四十銭
第十八編 平家物語 下巻 山田孝雄校訂 定価六十銭
第十九編 徒然草 西尾実校訂 定価二十銭
第二十編 奥の細道(その他) 伊藤松宇校訂 定価二十銭
第二十一編 日本永代蔵 和田万吉校訂 定価二十銭
第二十二編 世間胸算用 和田万吉校訂 定価二十銭
第二十三編 訓読日本書紀 上巻 黒板勝美編 定価二十銭
第二十四編 訓読日本書紀 中巻 黒板勝美編 (近 刊)
第二十五編 訓読日本書紀 下巻 黒板勝美編 (近 刊)
第二十六編 方丈記 山田孝雄校訂 定価二十銭
第二十七編 紫式部日記 池田亀鑑校訂 定価二十銭
第二十八編 更科日記 西下経一校訂 定価二十銭
第二十九編 増 鏡 和田英松校訂 定価四十銭
附記―本叢書は、高等諸学校教科用に供するを目標として編輯したものであ
るが、一般国文学研究者に取つて非常に便利な書入本となり得ると信じます。
〔四六判 フワイバー装〕
一部、「近刊」となっているものがあるが、最終的に、すべて刊行されたようだ。また、第三十編以降の刊行はなかったと推定される。ということで、岩波文庫「教科書版」は、全部で二十九編が刊行されたものとしておく。
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