礫川全次のコラムと名言

礫川全次〈コイシカワ・ゼンジ〉のコラムと名言。コラムは、その時々に思いついたことなど。名言は、その日に見つけた名言など。

山田孝雄による古事記真福寺本「解説」

2014-07-17 07:55:40 | コラムと名言

◎山田孝雄による古事記真福寺本「解説」

「古事記真福寺本」上中下巻は、一九二四年から翌年にかけて、古典保存会により複製版が刊行された(非売品)。その下巻(一九二五)の末尾に、山田孝雄〈ヨシオ〉による「解説」が載っている。本日は、これを紹介してみよう。

 真福寺本 古事記 解説
 真福寺本古事記は現存せる古事記の最も古き本として学界の周く〈アマネク〉知れるものなれば、今更その価値を紹介するに及ばざるものなれど、実物のさまにつきて、世に伝ふる所多からねば少しく説く所あらむとす。
 この本は古来名古屋市真福寺宝生院に伝ふる所にして現にその宝蔵に在り。明治三十八年四月国宝に指定せられたり。その本は桐筥〈キリバコ〉に入れて保存せり。筥の表面には「応安三年僧賢瑜書古事記 三帖」と記し、「へノ六十三」とかける紙を貼せり〈チョウセリ〉。
 原本は三帖にして白界〈ハクカイ〉を施したる斐紙〈ヒシ〉を用ゐ粘葉装〈デッチョウソウ〉にして縦七寸七分横四寸八分五厘あり。表紙は焦茶色〈コゲチャイロ〉の絹を以て被ひ、その裏は金の切薄〈キリハク〉を置ける布目紙〈ヌノメガミ〉を貼し、題簽〈ダイセン〉は金の切薄砂子〈スナゴ〉を押したる布目紙に「古事記上」と墨にて記せり。(中下准之)各帖その表紙の見返しに文政四年に尾張藩寺社奉行の修理を加へし由を記せること複製せる所にて知るべし。【以下、次回】

 

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