礫川全次のコラムと名言

礫川全次〈コイシカワ・ゼンジ〉のコラムと名言。コラムは、その時々に思いついたことなど。名言は、その日に見つけた名言など。

三浦周行の「序」(坂上信夫『土地争奪史論』)

2014-07-25 05:34:56 | コラムと名言

◎三浦周行の「序」(坂上信夫『土地争奪史論』)

 坂上信夫の『土地争奪史論』(大同館書店、一九二二)について紹介をしている。本日は、三浦周行〈ミウラ・ヒロユキ〉の「序」を、本庄栄治郎の「序」を引用してみる。

 
 坂上氏の此著書を読んだ私の眼には、著者が我歴史の推移を仮りて其人生観を述べたらしいところに、特異な色彩を認めた。経済史的方面、殊に土地制度に関する考察が、他の記述に比して、稍〈ヤヤ〉精しくないでもないが、それにしても、此書名に対しては、おのづから別段の工夫があつたらうと思はれるし、著者の目的は、勿論其処〈ソコ〉にはなかつたのであらう。私の観測が若し誤〈アヤマリ〉ないものとしたならば、読者は少壮有為の資に富める著者の処女労作より、其独自の見解をも含んだ人生観を体得するを以て満足すぺきである。
 鎌倉神明前僑居に於て
 大正十年八月 三浦周行

 三浦周行は、『法制史の研究』(一九一九)などで知られる法制史の大家で、この当時は、京都帝国大学教授だったはずである。
 彼は、この「序」で、この『土地争奪史論』という本は、学術書とは言えず、専門的な研究としても書名に負けているが、著者の人生観を味わうことだけはできよう、としている。私はまだ、三浦周行という碩学の著書に親しんだことはないが、この「序」を読む限り、誠実・率直にして、洞察力に富んだ人物ではないかという印象を持った。

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