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礫川全次のコラムと名言

礫川全次〈コイシカワ・ゼンジ〉のコラムと名言。コラムは、その時々に思いついたことなど。名言は、その日に見つけた名言など。

文部省、「中学校試験制度改正」を指令(1929)

2013-03-21 05:37:51 | 日記

◎文部省、「中学校試験制度改正」を指令(1929)

 昨日の続きである。平田宗史〈ヒラタ・ムネフミ〉氏の労作『教育汚職』(溪水社、一九八一)によれば、文部省が、「試験地獄」の解消を目指し、入試制度の改革に着手したのは、一九二六年(大正一五)六月のことであった。翌一九二七年(昭和二)九月に改革案をまとめ、同年一一月二二日、「中学校令施行規則中改正」を公布。同月二三日、文部次官名で、「中学校試験制度改正ニ対スル入学者選抜方法ニ関スル準備」という文書を、各地方長官あてに発した。
 この文書の内容を、平田氏の前掲書から引用しておこう。原文は、濁点のないカタカナ文であるが、これをひらがな文に直し、濁点を加えた。句読点も、適宜、追加した。

一 中等学校第一学年入学志願者に就ては、出身小学校長をして、当該児童の小学校に於ける凡そ〈オヨソ〉最終二学年の学業成績、身体の状況、特性、其他必要なる事項(上級学校進学に関する志望の確否、性能の適否、小学校卒業に於ける学歴又は経歴、及、其の成績等)に付、詳細に調査し、志願中等学校長に直接の意見を報告せしむること。
前項の外、中等学校長より要求ありたるときは、出身小学校長をして必要なる調査書を提出せしむること。
二 中等学校に於ては、大体左の要項に依り入学者の決定を為すこと。但し、実業学校に於ては、学校又は学科に種類に依り、特別の考慮を為すこと。
イ 小学校長の報告に基き、募集員数以上、適宜の員数を考査選抜すること。
ロ 前号に依り選抜したる者に付、人物考査(常識、素質、性行等の考査)、ならびに並、身体検査を為すこと。
但し、人物考査に就ては主として平易なる口頭試問の方法を用ひ、かつ且、小学校長の報告をさんしやく参酌すること。
ハ 前項に依り考査選抜したる者、尚〈ナオ〉、募集人員を超過するときは、順次優良と認むべき者を入学せしめ、同一順位に依りて優秀を判定し難き者に付ては、抽籤に依り入学者を決定すること。
三 都市等に在りては、数多の学校間に於て連合して考査を行ひ、入学志願者の志願順位に依り入学せしむる等、所謂綜合制を採るを可とすること。

 かなり意味の取りにくい文書だが、要するに、まず、出身小学校長が作成した書類によって一次選抜をおこない(イ)、人物考査と身体検査を内容とする二次選抜によって絞り込む(ロ)。それでもなお募集定員を越えている場合は、優良と認められるものから、順次入学させよ(ハ)、といった指示を与えているようだ。
 文書が出た時期は、一九二七年(昭和二)一一月で、適用は、翌一九二八年(昭和三)春の入学者を選抜する入試からであった。【この話、続く】

今日のクイズ 2013・3・21

◎この当時、小学校長から中等学校長に送られた入学希望者に関する報告書は、何と呼ばれていたでしょうか。

1 効果表  2 調査書  3 内申書

【昨日のクイズの正解】 1 1928年度(昭和3年度)入学生から■上記コラム参照。

今日の名言 2013・3・21

◎強い嫌悪感と、激しい愛着の念

 作家の五木寛之さんが、渋谷のハチ公前に立って抱いた感情。「雑然たる渋谷ハチ公前に立つとき、私は強い嫌悪感と、激しい愛着の念を同時におぼえずにはいられない」。この言葉は、半世紀近く前のエッセイに出てくるらしい。本日の日本経済新聞「春秋」欄より。本日の同欄は、大きく様変わりしようとしている渋谷駅について語っている。ただ、冒頭で引用した五木さんの言葉のインパクトが強すぎて、結局、渋谷について何が語りたかったのか、よく読みとれなかった。

コメント
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