ON  MY  WAY

60代になっても、迷えるキツネのような男が走ります。スポーツや草花や人の姿にいやされながら、生きている日々を綴ります。

益田ミリさんの著書2冊、好感をもって読む ~「世界は終わらない」(幻冬舎文庫)・「永遠のお出かけ」(毎日新聞出版)~

2024-04-09 20:08:31 | 読む

先週、COVID-19感染症になる前から借りていた本を返しに図書館に行った。

図書館に行く以上は、また別な本を借りようと思いながら、少しうろついた。

春になったということで、花の本や桜に関係した小説などが並んでいた。

それらの本の中で、表紙は確かに春の野草の花の絵ばかりだったが、タイトルは「永遠のお出かけ」。

著者は、益田ミリさん。

イラストライターらしい。

手に取ってぱらぱらとめくってみると、エッセイ本だった。

エッセイも書くのだな。

この本は、どうやら身近な人との永訣を巡って書かれたものらしい、と分かった。

ま、とりあえず、また元の場所におこう。

 

その場所を離れて、返却本が並んだコーナーを通り過ぎた。

何気なく背表紙の書名を見て行ったら、ある文庫本にまた「益田ミリ」の名前が目に入った。

書名は、「世界は終わらない」という。

世界か…、何か大きく出たなあ、と思いつつページを開いてみた。

すると、中身は…。

マンガじゃないか!!?

タテに4コママンガが連続しているが、普通なら起承転結があり4コマ目で短く話が完結するものだ。

だが、この本はそういう構成にはなっていなくて、次のコマ次のコマへとダラダラと(?)話が続いていくのだった。

 

今まで読んだことがなかったけれども、こうして短い時間に2冊もめぐり逢うということは、益田ミリさんの本を読んでみろという神の思し召しか?

…なんて考え、2冊を一緒に借りてきた。

 

COVID-19感染症の後遺症か、まだすっきりしない体調。

だから、「世界は終わらない」のマンガ本はあまり頭を使わなくてもよくて、スイスイ読めた。

発行元の幻冬舎による本書の紹介には、こんなふうに書かれていた。

書店員の土田新二・32歳は、後輩から「出世したところで給料、変わんないッスよ」と突っ込まれながらも、今日もコツコツ働く。どうやったら絵本コーナーが充実するかな? 無人島に持って行く一冊って? 1Kの自宅と職場を満員電車で行き来しながら、仕事、結婚、将来、一回きりの人生の幸せについて考えを巡らせる。ベストセラー四コマ漫画。

本書の男性主人公が、勤める書店の仕事を一生懸命にしながら送る毎日の生活を描いている。

そして、32歳の独身男性として、生活の中で抱く様々な思いを率直に描いている。

結婚する前ってこうだったなあ、などと自分の若かった頃の昔を思い出したりもした。

日々の暮らしの中で、漠然とした将来に対する不安を抱きながらも、自分らしく生きていくのがいいのだ、ということに気づかせてくれる良質のマンガだった。

 

そして、「永遠のお出かけ」。

この本の紹介は、次のような文章。

「大切な人の死」で知る悲しみとその悲しみの先にある未来。 誰もが自分の人生を生きている。 益田ミリ、新たな代表作! 珠玉のエッセイ20編を収録。

 

「大切な人」とは、益田ミリさんの父親のことだった。

叔父さんが亡くなった話から始まって、そこから最後まで父のことについて綴っていく。

父が癌となり入院し、告知されて退院してから亡くなるまでの心の揺れ方、そして亡くなったときや、居なくなった後からも押し寄せる思い出と悲しみ。

そのあたりの心の表現が、とてもリアルな感じがした。

ああ、自分も父や母を亡くしたときに、これと同様なことを思ったっけ…などという自分の過去の経験を思い出したりもした。

 

2冊をまとめて一気に読んで、マンガにせよ文章にせよ、飾らない素直さにとても共感できた。

みんな悩みながら生きている、そのことはとても大事なんだよ。

ごく普通の一般的な人間が、何か大きなことを成し遂げる訳でなくてもいいんだよ。

人生はその人その人なりでいいんだよ。

小さい自信をもって生きていこうよ。

 

そんなことが伝わって来た。

益田ミリさんの作品、初めて読んだけど、とても好感がもてたのだった。

 

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