有終の美。
多くの人にこの言葉が思い浮かんだであろう。
アルビレックス新潟は、セレッソ大阪に1-0で勝利して、2023シーズンを終えた。
J1リーグ最終戦第34節の試合は、ホームで行われた。
今日の新潟の天気は、大荒れ。
駐車場からスタジアムまで歩いている間も、横なぐりの強い風雨で、傘はひっくり返るわ、体は上半身、雨の当たる左側はびしょびしょ。
下半身は、ズボンだけでなく靴までぐちょぐちょ。
あまりに雨風が強いので、P4駐車場からスタジアムに行く途中の野球場(ハードオフ。エコスタジアム)で雨宿りをしている人もたくさんいた。
練習の時間も、強い雨。
こんな中で試合をする選手たちは大変だ。
それでも最終戦だから、悪天候であってもこの試合だけは見たい、応援したいという人が集まるアルビのサポーターのすばらしさ。
今日は、2万2000人を超える観衆を記録した。
開幕戦アウェイで戦ったセレッソ大阪、あの時は、2-2の引き分けだった。
途中交代で出てきた香川真司の存在感が際立っていたことは、記憶に残っている。
だけどね、スタジアムで見ていたら、香川の存在は薄かった。
どれが香川か、わからなかった。
つまり、それだけアルビの選手たちの方が、動きがよかったということ。
前半の途中までは、セレッソの圧力もあって、シュートシーンが少なかった。
もっとも、それは相手も同じ。
試合途中のスタッツを見ると、シュート数は、新潟7本、セ大阪3本。
互いに決め手がない印象でハーフタイム。
先に動いたのは、セレッソの方。
前節途中交代でよい動きをしたという、元日本代表清武と為田を入れるなど、打開を図ってきた。
だが、最初の1,2回くらいは清武のうまさが出たシーンがあったが、その後は清武どこ?香川はまだ出ているの?…とまあ、そんなふうに感じる、彼らを目立たせないアルビの試合展開だった。
なにしろ、セレッソのボールになっても、シュートに持ち込まれる前に、アルビがボールを奪ってしまうのだ。
これが通ればピンチ、というパスを右SBの藤原は、いったい何本カットし、反撃につなげたことか。
また、一人で奪えなくても、必ず2人または3人で連動してボールを奪う。
同様に、2、3人で連動して動くから、攻撃でもマイボールを失わない。
アルビの組織立ったプレーに、場内は何度も拍手が起こった。
そして、後半勝負の新潟も、選手交代。
先発メンバーとそん色ない、いや、ともすれば後半にはきわめて強力といえる選手交代を行っていく。
そして、試合の終盤87分、その選手たちが、結果を出す。
あいてのボールをカットして受けたボールが長倉につながる。
左に小見、右に太田が並走し、ゴールエリアでパスを受けた太田がシュートするも、相手DFに防がれる。
しかし、そのこぼれ球を太田が素早くゴール前の長倉に送ると、長倉は軽いタッチでゴールにボールを送り込んだ。
これが今季移籍後初ゴールとなった長倉は大喜び。
チームメートに手荒いものもあったが、次々と祝福を受けていた。
結局、これが決勝点となった。
後半、新潟が放ったシュートは11本。相手に許したシュートは1本のみ。
見事に、攻撃的なサッカーでセレッソを圧倒してくれた。
開幕戦に比べて、シーズンを通して本当に新潟が強くなった、と思えた。
なにしろ、今季の終盤の4試合連続完封である。
シーズン中盤まで見せていた守備のほころびは、第25節の鹿島戦以降まったく見られなかった。
後半になるにつれて、堅固な守備を構築した、といえる。
試合中は、時折猛烈な雨が降り、強い風が吹いた。
こんな中での試合、選手たちが気の毒で仕方なかったが、彼らは全く気にするそぶりは見せず、気合の入ったプレーをたくさん見せてくれた。
なのに、ああ、このすばらしいチームが、これで見納めか…と思う。
返す返すも残念だ。
J1に復帰した今季は、11勝11敗12引き分けの10位。
昇格1年目としては、リーグ戦前の専門家たちの予想をくつがえすりっぱな成績だと思う。
もっと今のチームのサッカーを見たい、と強く思う。
そして、決定力さえ向上すれば、優勝争いだってできるし、タイトルだって取れるのじゃないか、と期待感が高まる。
アルビレックス新潟は、資金力豊富なチームではない。
他チームから見れば、金にモノを言わせても獲得したい選手は多いことだろう。
きっと引き抜かれる選手もいて、誰が残るかはわからない。
が、そこは松橋監督のことだ。
2024シーズン、きっと選手の力をさらに向上させて、今季より一層魅力のあるサッカーを見せてくれることだろう。
VISCA ALBIREX!!!
今シーズンこれで終わったんですね〜、早かったな〜。来シーズンはもっと充実したサッカーを見せてくれると信じています。これからもよろしくお願いします。
荒天の下でのウノゼロ勝利。相手にほとんど自由にさせないプレー。どうやって崩すかなという興味あふれる攻めにワクワク。観衆も、攻撃だけでなく守備のプレーにも感心のため息や拍手がありました。
以前のカウンター一辺倒のサッカーから、ここまで攻守ともに魅せるチームになったことに、感激(?)しています。来季のさらなる向上を期待しましょう。