ON  MY  WAY

60代を迷えるキツネのような男が走ります。スポーツや草花や人の姿にいやされ生きる日々を綴ります(コメント表示承認制です)

「すごいトシヨリBOOK」(池内紀著;毎日新聞出版)

2022-02-25 20:50:49 | 読む


老いの時代をどう生きるか、ということが書かれた本は世に数多ある。
でも、この本は信じられるというか、著者はいい生き方をしていて、自分もそうありたいと思った。

著者は、老いるということをマイナスのイメージでとらえないで、70歳の時に「老いるということは、「初めての経験で、未知の冒険の始まり」ととらえた。
そのときに、日々気が付いたことを記録するための「自分の観察手帳」を作った。
さらに、「77歳の時には自分はこの世の中にいない」という予定を立てた。
だから、その前にこれをしておこう、あれをしておこうと決断した。
そして、77歳の「満期」を迎えても生きていたから、今後は3年単位で延長するのだという。

こうやって気付いたことや見付け、自分なりの楽しく老いる秘訣を書きまとめたものが本書である。

私が老いに関して最も納得したのは、次の文だ。

「体は老けても心は老けない」というのは錯覚で、「心は老けていない」と思うこと自体がまさしく老化のしるしといえます。自分では「心は若い」と思っているけれど、心という見えないものを当てにしているだけ。鏡に映るシワだらけの顔が本当の年齢で、心も当然、シワだらけです。
心も老けるからこそ、これまでとは違う人生の局面が見えてきます。


そうか。自分は、「体は老けても心は老けないぞ」なんて気張っていたけれど、それでは正しくものが見えないということだ。

老いに「抗う」のではなく、老いに対して誠実に向き合う。
老いの中で起こる面白くないことも、目をそむけたり、すり替えたりしない。
そういう構えで生きていくことができるとよいのだな。

ほかに、老いの特性、老いとお金、老いと病、老いの楽しみ、旅などさまざまなことについて書かれてあった。
特に、老いと病については、これからしっかり自分をもつ必要があると思った。

老いとは寄り添え
 病とは連れ添え
医者は限定利用

この考えは、なかなかよい。

医学にも限界がある。
自分の体は、自分が一番よく知っている、つまり自分が一番の主治医なのだ。
医者の言うがままになっていては、死が近づいてきても、今の医学では積極的に生きるようにする治療をする。
病に関して、「延命治療はいらないが、痛みは消してくれるようにお願いしたい」などと、自分の意思を示しておけることの方が大切という考え方は、いい。
すこぶる賛成、自分もそうありたい。

古稀とはいかないが、来週には完全に高齢者の仲間入りをする私。
気持ちのあり方を大いに参考にさせていただいた。
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