日本男道記

ある日本男子の生き様

徒然草 第七十五段

2020年11月24日 | 徒然草を読む


【原文】  
つれづれわぶる人は、いかなる心ならん。まぎるゝ方なく、たゞひとりあるのみこそよけれ。

世に従したがへば、心、外の塵に奪はれて惑ひ易く、人に交じれば、言葉、よその聞に随て、さながら、心にあらず。人に戯れ、物に争ひ、一度は恨み、一度は喜ぶ。その事、定まれる事なし。分別みだりに起りて、得失止む時なし。惑の上に酔ゑへり。酔ひの中に夢をなす。走りて急はしく、ほれて忘れたる事、人皆かくの如し。

未だ、まことの道を知らずとも、縁を離れて身を閑にし、事にあづからずして心を安くせんこそ、しばらく楽しぶとも言ひつべけれ。「生活・人事・伎能・学問等の諸縁を止やめよ」とこそ。摩訶止観にも侍れ。

【現代語訳】
暇で放心している事に耐えられない人は、何を考えているのだろうか? 誰にも邪魔されないで、一人で変な事をしているのが一番いいのだ。

浮き世に洗脳されると心は下界の汚れでベタベタになり、すぐ迷う。他人と関われば、会話は機嫌を伺うようになり、自分の意志も折れ曲がる。人と戯れ合えば、物の奪い合いを始め、恨み、糠喜びするだけだ。すると、常に情緒不安定になり、被害妄想が膨らみ、損得勘定だけしか出来なくなる。正に迷っている上に酔っぱらっているようなものである。泥酔して堕落し路上で夢を見ているようでもある。忙しそうに走り回るわりには、ボケッとして、大切なことは忘れてしまう。人間とは皆この程度の存在である。

「仏になりたい」と思わなくても、逐電して静かな場所に籠もり、世の中に関わらず放心していれば、仮寝の宿とは言っても、希望はある。「生き様に悩んだり、人からどう見られているか気にしたり、手に職を付ける為に己を研鑽したり、教典を読み込んで論じる事など、面倒だから全て辞めてしまえ」と中国に伝わる『摩訶止観』に書いてある。

 ◆鎌倉末期の随筆。吉田兼好著。上下2巻,244段からなる。1317年(文保1)から1331年(元弘1)の間に成立したか。その間,幾つかのまとまった段が少しずつ執筆され,それが編集されて現在見るような形態になったと考えられる。それらを通じて一貫した筋はなく,連歌的ともいうべき配列方法がとられている。形式は《枕草子》を模倣しているが,内容は,作者の見聞談,感想,実用知識,有職の心得など多彩であり,仏教の厭世思想を根底にもち,人生論的色彩を濃くしている。

Daily Vocabulary(2020/11/24)

2020年11月24日 | Daily Vocabulary
26301.renowned(有名で活躍する)known and admired by a lot of people, especially for a special skill, achievement, or quality SYN famous 
She is a renowned around the world as the top medical researcher. 
26302.I’m hoping for your success (活躍を期待しています)
I’m positive you will continue to be successful.
26303.have a big impact on((大きな影響を及ぼす)活躍 )
Masahiro Tanaka had a big impact on the game. . 
26304.Have you had a chance to(〜していただけましたでしょうか?) 
Have you had a chance to review the report that I sent to you last week?
26305.I'm between jobs(失業中) 
I'm between jobs right now. I actually have a job interview tomorrow. 

今日の英語ニュースを聞こう!NHK WORLD Daily News