日本男道記

ある日本男子の生き様

七人の侍

2018年02月25日 | 映画日記
七人の侍(プレビュー)
(プレビュー)

製作年   1954年
製作国   日本 
監督    黒澤明
脚本    黒澤明 橋本忍 小国英雄
音楽    早坂文雄
撮影    中井朝一
出演     三船敏郎 志村喬 津島恵子 木村功 加東大介 宮口精二 稲葉義男 千秋実 ほか
ストーリー 
前編
戦国時代のとある農村。戦により行き場を失い盗賊と化した野武士(百姓たちは「野伏せり」と呼ぶ)たちに、村人は始終おびえていた。
その年も麦が実ると同時に、野武士達が略奪に来るという。
村人たちは絶望のどん底に叩き落とされていたが、若い百姓の利吉は、野武士を皆突き殺すべきだと主張する。
怖気づく村人たちは反対するが、長老は戦うことを選択し、自らの手で侍を雇うことを思い立つ。

宿場町に出た利吉、茂助、万造、与平の4人は木賃宿に滞在して、白米を腹いっぱい食わせることを条件として侍らに声をかけるが、ことごとく断られ途方にくれる。
そんな中、近隣の農家に盗賊が押し入り、子供を人質にとって立てこもる事件が勃発する。
村人らが途方に暮れる中、通りかかった初老の浪人が僧に扮して乗り込み、子供を救い出すと同時に盗賊を斬り捨てる。
その浪人・勘兵衛に同じく騒ぎを見ていた得体の知れない浪人風の男が絡んだり、若侍の勝四郎が勘兵衛に弟子入り志願したりする中、利吉は勘兵衛に野武士退治を頼みこむ。
しかし勘兵衛は飯を食わせるだけでは無理だと一蹴、やるとしても、侍が7人必要だという。
しかし、これまで百姓を馬鹿にしていた同宿の人足に、百姓の苦衷を分かっていながら行動しないことをなじられ、勘兵衛は引き受けることにする。
勘兵衛の下に、勘兵衛の人柄に惹かれたという五郎兵衛、勘兵衛のかつての相棒七郎次、気さくなふざけ屋の平八、剣術に秀でた久蔵が集う。さらに利吉達の強い願いで、まだ子供だとして数に入っていなかった勝四郎も6人目として迎えられる。
7人目をあきらめて村に出立しようとしたところに、例の得体の知れない浪人風の男が泥酔して現れ、盗んだ家系図を手に菊千代と名乗り、翌日に村まで勝手について来る。

利吉らは侍と共に帰村するが、村人は怯えて姿を見せようとしない。が、危急を知らせる盤木の音が鳴り響くや、野武士の襲撃と勘違いした村人は一斉に家を飛び出し侍に助けを求めた。
これは菊千代の咄嗟の機転だった。
菊千代は「侍におびえながら、いざとなれば侍を当てにする」村人の身勝手さをなじる。
この一件で、菊千代は侍の7人目として認められた。勘兵衛たちは村の周囲を巡り、村の防御方法を考案する。
百姓たちも戦いに加わる為に組分けされ、個性的な侍達の指導により鍛え上げられる。
一方、勝四郎は山の中で若い男を見かけ、戦闘訓練に参加していないことをなじる。
だが、「彼」の正体は万造の娘・志乃だった。
侍による乱暴を恐れた父親により、男装させられていたのだ。やがて志乃と勝四郎は互いに惹かれてゆく。
そんな折、村人が侍らの元に刀や鎧を持ち込んでくる。
それは村人が落ち武者狩りによって入手したものだった。
侍たちが表情を変えるや菊千代が「お前たち、百姓を仏様だと思っていたか!百姓ほど汚くて惨めものはないんだ!でもそうさせたのはお前ら侍だ!」と激昂して叫ぶ。
菊千代の正体は、侍にあこがれ村を飛び出した農民だった。
彼の出自や半生を知った侍達は怒りを収める。
村人は侍の指導の下で村の防衛線を固めるが、村はずれの数軒の家はどうしても防衛線の外になってしまう。
守りきれない離れ家は引き払って欲しいとの申し出を聞いた茂助は、自分たちの家だけを守ろうと結束を乱す。
それに対し勘兵衛は抜刀して追い立て、村人に改めて戦の心構えを説く。

後編[編集]
初夏・麦刈りが行われ、しばしの平和な時も束の間、ついに物見(偵察)の野武士が現れる。
物見を捕らえ、本拠のありかを聞き出した侍達は、利吉の案内で野武士の本拠へと赴き、焼き討ちを行う。
砦が炎に包まれ野武士らが右往左往する中に、一人だけ美しく着飾った女性の姿があった。
彼女の正体は、誘拐された利吉の女房だった。
利吉は妻の姿を追うが、彼女は一瞬微笑むや火の中へと姿を消す。
なおも追う利吉を取り押さえようとした平八は野武士の銃弾に倒れた。
皆が平八の死を悼む中、菊千代は平八が作り上げた旗を村の中心に高く掲げる。
それと同時に村へ野武士が来襲、戦いの幕が切って落とされる。

柵と堀によって野武士の侵入は防がれたものの、離れ家と長老儀作の水車小屋は次々と火が放たれる。
水車小屋から動こうとしない儀作を引き戻そうとした息子夫婦も野武士の手にかかり、唯一助かった赤子を抱き上げる菊千代は「こいつは俺だ」と号泣する。

夜半から朝へと時は流れる中、勘兵衛の地形を生かした作戦が功を奏し、野武士の頭数が順調に減り、久蔵は種子島(火縄銃)を分捕ってくる。
そんな久蔵を勝四郎は「本当の侍」と評するが、菊千代は対抗意識を燃やし、抜け駆けして手柄を得ようと持ち場を離れる。
その隙に戦法を変えて襲来した野武士によって与平を含む多くの村人が戦死し、侍のうち五郎兵衛も斃れる。

追い詰められた野武士との決戦前夜、勝四郎は志乃に誘われ初めて体を重ねる。
その場を万造に見咎められるが、利吉は野武士にくれてやったのとは訳が違うと万造を一喝する。

夜が明け、折からの豪雨の中、残る13騎の野武士をすべて村に引き入れての泥まみれの決戦が始まる。
久蔵が小屋に潜んだ野武士の頭目に撃たれ、続いて菊千代も撃たれるが、菊千代は頭目を相討ちで葬り、ついに野武士は全滅する。

侍たちの協力で野武士から村を守れた後日、麦畑に水が引き入れらて田が整えられ、村人は笛や太鼓で囃しながら田植にいそしむ。
勝四郎は志乃に笑いかけるが、彼女は躊躇しつつも無言で田に駆け込む。
そのまま田植歌を口ずさみながら、勝四郎を忘れるように一心に苗を植えていく。
勘兵衛がつぶやく。「また負け戦か」「勝ったのは百姓たちだ」。
丘の上には、墓標代わりに刀が突きたてられた4つの土饅頭があった。