ディスカバリー伊豆

伊豆の美しい自然と貴重な歴史物語を徒然なるままに気の向くままに綴りたいと思います。

浅間神社(大室山)

2008-01-31 | 大室山・さくらの里
<浅間神社>
大室山噴火口跡の中腹(東側)に、浅間神社がある。 1654年松平伊豆守(徳川家光/家綱の知恵袋であった松平信綱のこと。伊豆守は官職名)によって建立。


祭神は大山祗神(オオヤマズミノカミ)の子女盤長姫命(イワナガヒメノミコト)で、富士山頂の浅間神社の祭神である木花咲耶姫命(コノハナサクヤヒメノミコト)の姉にあたる。安産と縁結びの神様。全国約1,300ある浅間神社はその殆どが妹のコノハナサクヤヒメノミコトを祭ってあるが大室山は姉のイワナガヒメノミコトを祀ってある珍しい浅間神社である。(伊豆では雲見の浅間神社も姉のイワナガヒメノミコトが祭神である)イワナガヒメノミコトとコノハナサクヤヒメノミコトには次の様な伝説がある。
『大室山の二人妻伝説』・・・クリック

大室山の二人妻伝説

2008-01-31 | 補足説明など


<大室山の二人妻伝説>

むかしむかし、神代の時代の話です。とても仲の良い姉妹の神様がおられました。姉の名前をイワナガヒメノミコト、妹をコノハナサクヤヒメノミコトと云いました。妹は絶世の美女、一方、姉の方はあまり器量がよくありませんでした。
ある日のこと、ニニギノミコトと云う若い男の神様が妹のコノハナサクヤヒメを見て、一目惚れし
てしまいました。そこでニニギノミコトはコノハナサクヤヒメの父親である大山祇神(オオヤマズノ
カミ)のところに行き、『下の娘さんを、是非、お嫁に下さい』と頼みました。オオヤマズミノカミ
は『姉妹はとても仲がいいので、二人いっしょなら差し上げましょう』と云うことで、ニニギノミコ
トは姉妹二人を妻にしました。

ところが、ニニギノミコトは美しい妹のコノハナサクヤヒメばかりを可愛がり、姉のイワナガヒメをだんだん遠ざける様になりました。そのことが原因で姉妹の仲はだんだん悪くなっていきました。やがて姉妹はお互い憎みあうまでになりました。喧嘩もする様になりました。それを理由にニニギノミコトは、とうとう、姉のイワナガヒメをオオヤマズミノカミのもとに送り帰してしまいました。

やがて、実家に帰ったイワナガヒメは自分が子供を身ごもっていることを知りました。そこで父親
のオオヤマズミノカミは娘の安産と孫の無事誕生を願ってイワナガヒメのために伊豆の大室山に産
所(産殿)を建ててやりました。そしてイワナガヒメは無事丈夫な赤ちゃんを生むことが出来たと云うことです。オオヤマズミノカミも無事孫の顔を見ることが出来、目出たし目出たしという事ですが、コノハナサクヤヒメとイワナガヒメは、その後も昔の仲良し姉妹には戻らなかったと云うことです。

<ちょっと解説>
この伝説は古事記や日本書紀を基に作られたものであると云われます。しかし、本によって話の内容が少しづつ異なっています。古事記(梅原猛著)を読んで見ました。その中では姉のイワナガヒメがニニギノミコトに離婚され実家に帰されたところまでは書かれていますが、身ごもったことやオオヤマズミノカミが産所(産屋)を建てたことの記述はありません。
また、古事記によると、若い男の神様のニニギノミコトが美しいコノハナサクヤヒメに会ったのは「笠沙(カササ)の岬(九州宮崎県延岡市の愛宕山付近と云う説と鹿児島県川辺群笠沙町の野間岬と云う説あり)」と書かれてあります。何故、オオヤマズミノカミはイワナガヒメの産所(産殿)を遠い遠い伊豆の大室山に建てたのか不思議です。もっともオオヤマズミノカミは全国の全ての山を司る山の神様であったので、全国何処の山に産所を建てても彼の自由であったとは思われ、夫ニニギノミコトから冷たく離婚させれ傷ついた可哀想な娘を気遣い、なるべく遠い国に住ませ、心静かに無事孫を生んでもらいたい親心から伊豆の大室山を選んだのかも知れません。

古事記には姉のイワナガヒメが子供を宿したことは書かれていませんが、逆に妹のコノハナサクヤヒメが身ごもったことが詳細に書かれています。コノハナサクヤヒメがニニギノミコトの前で『子供が出来ました』と云うと、ニニギノミコトは『たった一夜の夫婦の交わりで妊娠するわけがない。きっと私の子供ではないであろう。別の男(と不倫したとき)の子供にちがいない』と、コノハナサクヤヒメを責める話となっています。こんな神代の時代から女の不倫や男の浮気があったのだろうか?と一瞬考えましたが、むしろ当時は男も女も自由恋愛があたり前の時代だったと考えた方が妥当でしょう。浮気とか不倫と云う言葉はなかったものと思います。

余談ですが、その後、コノハナサクヤヒメはお腹の子が確かにニニギノミコトの子であることを身をもって証明するために死を覚悟で産所に火を放ち火炎の中で3人の男の子を産みます。3人の中の長男が有名な海幸彦(ウミサチヒコ)、三男が山幸彦(ヤマサチヒコ)になります。そして、山幸彦(ヤマサチヒコ)の子供の子供が初代天皇の「神武天皇」であると記されています。
即ち、コノハナサクヤヒメは神武天皇のひいおばあさん(great-grand-ma)にあたります。即ち、大室山の“二人妻”伝説に出てくるニニギノミコトとコノハナサクラヒメこそ現在の天皇家の祖先に当たると云うことになります。

<結びに一言>
全国にはたくさんの浅間神社があちこちにあります。その数約1,300と云われています。それらのほとんどの祭神は妹の方のコノハナサクヤヒメノミコトです。浅間神社の総本社である富士山山頂の浅間神社(奥宮)も、勿論、コノハナサクヤヒメノミコトが祭神です。しかし、この様なわけで伊東市大室山の浅間神社は、姉の方のイワナガヒメノミコトが祀られていると云う珍しい浅間神社です。 
大室山でイワナガヒメノミコトが無事子供を産んだということから安産の神様として崇められています。しかし、伝説で伝えられている様に妹のコノハナサクヤヒメノミコトとイワナガヒメノミコトの姉妹仲は微妙です。「大室山に登って富士山の美しさを褒めてはいけない」と云う言い伝えが残っているのはその為です。(サガミ選書“伊東の民話と伝説”)。「イワナガヒメノミコトが嫉妬(ジェラシー)し、褒めた人にはたたりがある」とさえ書かれています。
とは言っても晴れた日、大室山の頂上から見る山頂に雪を頂いた富士山の美しさには、思わず、
「わー、富士山がきれい!」、と叫んでしまいます。 その時は続けて、『勿論、大室山は伊東のシンボル、その美しさと魅力は富士山に負けませんよ!』、と付け加えることを忘れないで下さい。
きっとイワナガヒメノミコトも許してくれると思いますよ。



半四郎落し物語

2008-01-30 | 補足説明など
[半四郎落し物語]
むかしむかし、城ヶ崎海岸門脇岬に近い富戸村に、半四郎さんとおよしさんと言うたいそう仲のよい夫婦が住んでおりました。ある日のこと半四郎さんはひとり海へトジ(しっくい壁に使う海草)を採りに出かけました。その日は潮も引き波も静かで半四郎さんは背負い籠いっぱいのトジを採ることが出来ました。さて、半四郎さんは帰途につきましたが途中、崖の上で一休みしました。しばらく腰を下ろして休んでから、「さて、帰ろうかな」と、腰を伸ばした瞬間、背中のトジの入った背負い籠に引かれ「あっ」と言う間に崖下の海に転がり落ちてしまいました。
 村人から半四郎さんが亡くなったことを聞いたおよしさんはそれはそれは、たいそう悲しみました。そして毎日のように半四郎さんが亡くなった崖の上に立っては涙を流す日が続きました。
以来、城ヶ崎一帯には毎年秋になると風に飛び散ったおよしさんの涙にも似た黄色く可憐な小さなイソギクの花が咲くようになりました。そしていつの頃か村人達は半四郎さんが亡くなったところを「半四郎落し」と呼ぶようになったということです。

半四郎落とし

2008-01-30 | 城ヶ崎海岸
<半四郎落し>
城ヶ崎海岸門脇の吊橋の山側にある崖と崖の間の狭い入り江(浜)を半四郎落しと言います。約4000年前大室山の溶岩が海に流れ出ている過程で溶岩の表面は冷えても内部はまだ熱く流動しており、そこに空洞ができてしまったものを「溶岩トンネル」と言いますが、やがてそのトンネルの屋根部分が崩落し写真の様な形になったものです。城ヶ崎海岸にはあちこちにこの様な溶岩トンネル(跡)が見られます。ここ門脇の吊橋の溶岩トンネルを特に『半四郎落し』と言います。それはこの地で言い伝えられている昔話”半四郎落とし物語”から由来したものです。


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三角点

2008-01-29 | 大室山・さくらの里
大室山山頂(火口のエッジ)南西側にあり。北緯34度53分59秒224、東経139度05分52秒094 579.64m   1884年設置 
(注)日本の地図作成の基本となる三角点は次の4種類あり、日本中をカバーしている。一等三角点(約1000箇所、約45~25Kmおき、柱石の一辺18cm)二等三角点(約5000箇所、 約8Kmおき、柱石の一辺15cm)三等三角点(約3万箇所、 約4Kmおき、柱石の一辺15cm)四等三角点(約7万箇所、 約2kmおき、柱石の一辺12cm)因みに万三郎岳は一等三角点、富士山は2等(伊豆長岡のかつらぎ山も)映画で有名になった剣岳の三角点は大室山と同じく三等三角点。

橋立の大淀・小淀

2008-01-04 | 城ヶ崎海岸( 2 )
 橋立の大淀・小淀(自然海水プール)と亀甲状石。
昔は子供たちがプールとして利用した大淀・小淀。小魚が見える。手前は柱状節理のなれの果て”亀甲状石”.。表面が三角、四角、五角、六角、七角形の形をした石を組み合わせ並べた様な平らな根となっている。亀の甲羅の模様に似ていることから亀甲状石と呼ばれる。







ナルホド!ぼくの背中に似ている!!!