<大蛇穴伝説>
むかしむかし 大室山のふもとの大きな穴の中に大蛇が住んでいました。この大蛇はたいへん恐ろしいやつで、ときどき近くの池というに下りて行っては作物を食べたり、ときには子供まで食べてしまいました。村人は恐ろしくて夜もおちおち眠れませんでした。
1203年、ときの鎌倉幕府二代将軍源頼家がたまたま伊豆に狩りにやってきました。池の村人は「これはいいチャンス!ひとつ将軍様にお頼みして、恐ろしい大蛇を退治してもらおう!」ということになりました。源頼家は村人の頼みをこころよく引き受け、家来の和田平太(ワダヘイタ)と云う大変強くて勇気のある武将に大蛇退治を命じました。そして、和田平太は村人に案内させ大室山のふもとにある大蛇の住む洞穴(大蛇穴)にやってきました。大蛇穴の近くまで来ると村人は恐ろしがって逃げていってしまいました。しかたなく和田平太は一人で大蛇穴に近づいていきました。洞穴の入口に着くと、和田平太はあたりに気を配りながら刀の柄に右手を添えて、そろそろと洞穴の中に入って行きました。洞穴の奥は真っ暗で、天井からはポタリポタリと水しずくが落ち、足元にはチョロチョロと水が流れていました。
和田平太は背筋がひんやりとし、恐ろしさが身をつつみました。しかし、それは源氏随一の武将の和田平太、武者震いをすると、なおも奥へ奥へと進んでいきましった。と、その時、くらやみの中から眼をランランと光らせ、口を「カーッ」とあけ、火焔の様な舌を出した恐ろしい大蛇が現れました。すかさず和田平太は腰の大刀をスラリと抜き「南無八幡大菩薩」ととなえると用心深く身がまえました。しばらくにらみ合いが続きました。「今だ!」、和田平太はチャンスを見はからって大蛇めがけて斬りつけました。
「ギャーッ」、太刀先はみごと大蛇の心臓をつらぬきました。大蛇は和田平太の必殺の一太刀で死んでしまいました。
それからは池のに大蛇が現れることも無くなり、村人は平和に暮らしたということです。(おわり)
尚、ブログの物語の内容は私の個人的感情表現は加わっていますが物語そのものは歴史書(伊東の民話)に基づいたものです)
それではイラストと文章もそのまま掲載させていただきます。ありがとうございました。