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「対米英宣戦の大詔」についての東京朝日新聞の社説

2023-12-13 11:47:48 | アジア・太平洋戦争

 神聖天皇主権大日本帝国政府は、「対米英宣戦の詔書(天皇の言葉、命令)」を、真珠湾奇襲攻撃開始(日本時間12月8日午前3時20分、ハワイ時間7日午前8時20分、ワシントン時間7日午後1時20分)の約8時間後の日本時間8日午前11時過ぎに国民に発表した。その「詔書」について、当時のメディアがどのような役割を果たしたのかを知るために、東京朝日新聞8日夕刊の社説がどのような記事を載せたのかを以下に紹介しよう。

「事ここに至って帝国の自存を全うするため、ここに決然として起たざるを得ず、一億打って一丸とした総力を挙げて勝利のための戦を戦い抜かねばならないのである。いま宣戦の大詔を拝し、恐懼感激に堪えざるとともに、粛然として満身の血のふるえるのを禁じ得ないのである。一億同朋、戦線に立つものも、銃後を守るものも、一身一命を捧げて決死報国の大義に殉じ、もって宸襟(天皇の心)を安んじ奉るとともに、光輝ある歴史(神国の歴史)の前に恥じることなきを期せねばならないのである」

と、国民を鼓舞激励したのであった。

ついでながら、東条内閣(1941年10月18日~1944年7月18日)の大蔵大臣であった賀屋興宣(戦没将兵の単なる遺族互助団体であった「日本遺族厚生連盟」を「日本遺族会」と改称し右傾化させた)の言葉(迫水久常『機関銃下の首相官邸』)も紹介しよう。

「全力を尽くしてみたが残念ながら、戦争を阻止できなかった。今ごろは真珠湾を攻撃しているはずである。私は開戦に反対であったが、開戦となってしまっては、勝つべく全力を捧げるほかはない。そこで心配なのは、今朝の株式相場だ。国民は内心開戦に反対で、戦争の前途に危惧を持っているのであろうから、ひょっとすると今朝の株式相場低落するかもしれない。それでは開戦の初期から国民の士気にも関係すると思うから、何とか今朝の寄り付き相場は前日の引け相場よりも少しでも高くしておきたい。ついては、君に全権を任せるから、今朝早く取引所へ行って、しかるべく善処してほしい。」

また、斎藤茂吉(歌人)の「開戦」を紹介したい。

「たたかひは始まりたりといふこえを聞けばすなはち勝のとどろき

たぎりたる炎をつつみ耐へしのびこらへ忍びしこの国民ぞ

やみがたくたちあがりたる戦を利己忘慢(自分だけの利益を計り、やるべき事を怠る)の国国を見よ

何なれや心おごれる老大(年寄り)の耄碌(もうろく。喧嘩・ゆすり・踏み倒しなどする悪ずれした者の意?)撃ちてしやまむ(敵を撃つまで戦いを止めない)

(「文芸」1942年1月号)

(2023年12月13日投稿)

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