この時期、残雪のアルプスを眺めたいと春山登山を計画する。
選んだのは小屋営業もしている蝶ヶ岳。ここから穂高連峰を望みたい。
健脚は日帰りも可能だが、せっかくの絶景をゆったり楽しみたいと小屋泊を選択。
雪中テン泊はまだ経験ないがそのうち挑戦しよう!
今回はテン泊しなくて正解だったけど・・・。😓
あちこち、冬季通行止めが続いている中、三股駐車場までの道は解除された。
所用で往復220㎞ほど車を走らせた後、さらに215㎞ドライブだ。😅
夜中についたが、翌日の町の天気は雨予報だったので車は少ないようだ。
朝、標高1200mを超える割には10℃、風もなく過ごしやすい。
薄曇りの中6時半に出発。無雪期で5時間前後のコースタイム。
積雪ありならプラス1時間余りか。
登山口で係の人が、登山届の確認をしている。アプリで提出済みと伝える。
さりげなく装備や格好も確認しているのだろう。春とは言え、ひとたび天気が崩れれば即冬山である。
今年は、寒かったり暖かい日があったりで雪の状態があまりよくないとのこと。
3月に頂上まで行ったときは、踏み抜いて腰までハマったとか。
『ワカン持ってきて正解かな!?』
『うん、それは良い』
『今日は(登山者)少ないみたいですが、昨日(日曜日)はどれくらいの人が入りました?』
『100人は入ったかな』
『!なんと!』今日は少なくてよかった。😅
分岐。常念岳へ行く人もある。
4年前の秋に常念岳へ登った時も小屋泊。夕方から大雨で朝方まで降っていた。
蝶ヶ岳に周る予定だったが、翌日は見えるはずの蝶ヶ岳さえ雲の中、その上爆風で耐風姿勢を何度取ったことか。そのまま三股まで下りてきた。😭
ライチョウにはたくさん会えたけど(笑)。またいつか行こう!
つり橋を渡り蝶ヶ岳に向かう。
雪はないが芽吹きはもう少し先。芽吹きの時期はさぞかしきれいだろうな。
まもなく力水。雪解けの水が冷たい(笑)。
日の当たりにくい所には残雪。
ショウジョウバカマ。なんか生き生きとしている!
ご存じ『ゴジラのような木』。
標高が上がると木々の間から、常念岳のこちら側が見える。頂上はもう一つ奥だ。
森の深さを感じながら足を進める。
まめうち平到着。登る人も下山してきた人もここで休憩する場所。風がないといいところ(笑)。
標高1900m。三股から2.5㎞、蝶ヶ岳ヒュッテまで3.9㎞とある。
ここでアイゼンを装着。無くてもまだいけそうだが、平らなところで安全に付けたい。
ピンクテープとトレースを確認して。
倒木の上に木が育ち、やがて土台となった木が朽ち果てると空洞ができる。
さらに新しい芽吹きが苔と共にある。自然のサイクルがギュッと詰まった情景。
今日は、まだ雪が固く閉まっていて歩きやすい。
所々踏み抜いた跡を見ながら森を進む。
谷の雪はだいぶ深そうだ。
蝶沢に出る。ここをトラバースするのが夏道。
ここから下に向かってスキーかボードの跡がみえた。バックカントリーしに来ている人がいる!😮
ここからは、常念岳に視界が開ける。
さて、蝶沢をトラバースせずに、沢を登る冬道を選択する。
谷なので、雪が緩むと雪崩の危険がある。まだ午前中で太陽も出ず雪も締まっているのでトレースを追う。なかなかの急登である。
そこを上から数人のパーティーが下りてきた!
女性3名とガイドらしき男性2名だ。女性の1人が膝を痛めたのでこの冬道を下っていると。
急な下りではあるが、ストレートな下りなので夏道で降りるよりは良いと判断したようだ。
ガイド風の年配の男性曰く、
『この上が終わりじゃないよ。まだ、次の登りがあるから』
『え!?、まだ上があるのですか?』見えているところを登り切ったら稜線に出ると思っていた。😅
『2つ目の登りが次にあるけど、今ここが核心だから』と。
初めから次があると思っていれば、頂上かと思いきや偽ピークに騙されて、がっかりする。
なんて感じにならずに良かった(笑)。
なかなかの急登で。まだ雪が固く締まってアイゼンが良く効く。
2つ目の急登を過ぎ、最後の登りだ。
もうすぐ頂上だ、登ってきた道を振り向く。
雪が降り始めた。下界の予報は雨だが、標高2500m越えるここでは雪に変わる。
尾根の左隣を見ると、大きなクラックが。
こういう風に雪が落ちてゆくのだなと言うのがよく分かる。
右側にはライチョウがいた。こちら雄。少し夏毛になりつつある。
そして雌は、まだ白い。うずくまって動かない。
仲良しペア。ライチョウにはよく出会う。木曽駒ヶ岳、御嶽山、雲ノ平、常念岳、大天井岳など。😁
だんだんと雪の降り方が激しくなると言うか風が出てきた。人の見えるところが頂上か。
蝶ヶ岳山頂、2677m。視界なし。
雪は止む気配はなく風が強くなる。とりあえずヒュッテに向かう。
頂上からすぐのところにテン場がありテント2張りを見る。雪は想定内?
登山中はあまり人がいなかったのにヒュッテ内は割りと人が多い。
上高地側から登ってきている人が多いのだろう、宿泊手続きは、順番待ち(笑)。
ここまでの登山は、距離の割には標高差が大きい。特に蝶沢からの勾配がきつかった。😅
距離:5.6㎞ 時間:6時間40分(休憩45分) 累積標高差:のぼり / くだり:1403 / 40 m
手続きを済まして寝床をキープ。外に出ようにも吹雪きになってきた。
夕食の時間まですることなく、ちょっと早めのまったりタイムと自炊室へ(笑)。
ここにストーブはないが、風がないだけでもありがたい。
バーナーを出してお湯を沸かす。
ちょっと早いけどウィスキーのお湯割りで温まる。
夕飯までには時間がたっぷり、ウィンナーを焼きゆっくりしていると、次々に登山者が小屋に入ってくる。
あっという間に受け付け前は大混雑。団体さんも入ってきた。
ガイドさんらしき人に話を聞くと今回は9名とのこと。遅れて入ってきた3名のうち女性の1人がだいぶ参っているようで放心状態で小屋に入ってきた。
この吹雪の中をかろうじて歩いてきたようでザックもガイドが持っていた。
先週も登ったというガイド。なかなか大変な仕事である。
しばらくすると隣の部屋が乾燥室兼談話室になっていて、ジェットヒーターに火が入った。
こちらの部屋も暖かくなってきた(笑)。
翌日、おなじ自炊室の扉を開けると御覧の通り。
かなり降ったね~。😅
東京から来たというおじさんはテン泊のつもりで来たけど吹雪になったので小屋泊まりに切り替えたと話す。
6時でまだ降り続いている。今日は晴れ予報だけど、いつ止むのかと気になる。
計画は、蝶槍に行ってから下山するつもりだったが、吹雪の中では行ったところで展望はない。
8時近くになってようやく雪は止み、青空が見えてきた。
準備を整えて、ヒュッテを出る。大多数の人はすでに出発している。
蝶槍は断念して、もう一度、蝶ヶ岳山頂に向かう。昨日のテント2張りは見事に潰れていた。💦
どうやら吹雪の時、自炊室にいたアジア系外国人のグループのテントのようだ。テン場に大きな雪洞を作っていた。
常念岳は方面は良く見える。
しかし穂高方面は下半分しか見えない。それよりすごい風だ。体感風速は20mはあろうか。ザックを背負っていても飛ばされそうになる。
風音がすごい。
風が雲を飛ばしてくれることを期待するが、だんだん常念岳も見えなくなってきた。
これは、景色は楽しめないと判断して下山する。
太陽が出て来たので、時間をかければすっきりと晴れるだろうけど・・・。
下山は夏道を行く。ここは雪が風で飛ばされている。メインの下りがこの先。
完全に雪に埋まった夏道、かろうじてトレースが見える。
竿に着いたピンクテープが目印だ。
パウダースノーでスキーなら楽しいだろうが、歩くしかない(笑)。パウダーの下のトレースは固く締まっているので沈むことはない。
ワカンは使わないで大股でザクザクと進む。楽しい!
だんだんと青空が広がってきた。
常念岳も顔を出す。
常念岳から蝶ヶ岳に向かう稜線が見える。常念岳へ向かうという声も聞いたが風は相当だろう。
数日前には常念岳から蝶槍に向かうところで滑落事故も起きている。
今日は、登山者が多くすれ違いが大変だ。
『この先、危ないところありますか?』と聞かれた。
『危ないところはないですけど、一晩でかなり雪が積もったので雪は深いです』
『下は雨だったけど、上は雪だったんですね』
そんな会話を幾度となくして降りていく。夏道の方がかなりしんどいなと感じた。
トレースはあるが、ルートがジグザクでかなり細い雪道に滑り落ちた後もある。
下まで滑落しないがはまると深い雪の中。這い上がるのが大変そうだ。
登ってくる登山者。蝶沢の道も夏道も最後は急登である。
切り株にキノコが生えている。これがホントの木ノ子。😁
太陽を浴びるゴジラに、楊枝(つまようじ)!?
キクザキイチゲ?これからもっと花開く?
白もあった。
本日の登山(下山)
距離:5.8㎞ 時間:5時間30分(休憩1時間20分) 累積標高差:のぼり / くだり 71 / 1438 m
春山登山は、冬山に変わるというのを実感した登山。
テン泊にしなくて良かった。雪洞掘ったりテント潰れに対応できる実力が必要。
すれ違ったテン泊装備の人は、スコップも備えていた。
そうそう結局、ワカンもピッケルも使わなかった。と言うのも登りはスノーバスケットを付けてストックで事足りた。
またパウダーでは、ピッケルが雪面に効かず、こけても雪に埋まるだけで滑落までしないと判断したためだ。
この日登った方の写真を借りました。この景色を楽しみにしていたんだけどな~(笑)。
参考:koyosaryoさん
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おまけ。分かる?
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