今は昔、三重県は大台町に高校の同級生がいた。
その友達の家へ別の友人らと片道70㎞の道のりを自転車をこいで遊びに行ったことがある。
谷あいを流れる宮川の冷たさは、なかなかのもので真夏でも首までつかるのに気合がいった(笑)。
その宮川の奥に、大杉谷があることは知っていたが、キャンプ場までしか行ったことがなかった。
ずっと昔から知っていたけど、ずっと行けてなかった大杉谷、大杉渓谷が今回の山旅である。
大台町から奈良県側は大台ヶ原まで歩ける渓谷だが、交通の便が非常に悪い。
三重県側は、電車を乗り継ぎ、歩いて道の駅。そこからタクシーか登山バスに乗る。奈良県側はバスと電車となる。
かかる時間と交通費を色々考えた結果、今回は車にして大台町からのピストンにした。
登山レポートを読んでいるとシシ渕までの日帰りが多数を占める。
山頂を目指さない山歩きならば渓谷を十二分に味わいたいと日帰りでなく小屋泊を選択する。
テントは禁止である。テントサイトもない。
登山バスの発着となる道の駅「おおだい」で車中泊をする。
ちなみに登山バスは運賃4000円と完全予約制。平日は運休していることも多い。グループで人数がいれば交渉次第かな。
道の駅へ夜中に到着、車中泊の車数台あり皆さん寝ているようだ。
あとから入ってくる車もある。寝る前に車内灯で飲んでいると赤い光が近づいてくる、パトカーが見回りに来ていた(笑)。
翌朝6時に出発。登山口まではまだ1時間ほどかかる。集落を後にどんどん奥に進む。
宮川ダムを過ぎると車1台の道幅、左は崖と言う緊張感のある道。この時間に対向車は来ないだろうと思っていたら、1台軽トラが来た。
こちらが避ける暇なくササッと軽トラはバックして崖側に寄ってくれた。
「あれ、反対側じゃないの?」と思ったが、地元の方慣れてらっしゃる。挨拶して通り過ぎた。
ダムの途中で虹が見えた。
そう広くない駐車場に、すでに車が数台止まっている。ソロの若い女性が2人ほど準備しているが、どちらも半パンだ。
カッコイイけどヤマビル対策は?吸われる前に見つけやすいとか(笑)。
虫よけスプレーをかけて歩いて行った。他にもパーティーがあり賑わっている。
準備を整えて、7時30分出発。
すぐに、トイレとその前の自販機に着く。ここで協力金1000円を払い、ピンバッチか木札をもらう。
どこの登山道も整備が大変である。
テクテク歩いていくと発電所に到着。その横を通り抜けるといよいよ登山開始である。
階段を上る。
案内看板が立つ。注意喚起がなかなか。
それもそのはずで、いきなりの道がこちら。
なかなか写真映えする道だ。
こんな道が続くのかと思えば、そうではなく普通の登山道になる。
また時々岩場が現れる。その繰り返しである。
しかし狭く切れ落ちているところは、頑丈な鎖がずっと張られているので安心である。
一般的に、登山の鎖は補助程度であまり使わないようにというのがあるが、ここはしっかり使った方がよいというより使わずにいられない。😅
吊り橋だ。これがいくつも出てくる。桃の木小屋に着くまでに長短あわせて合計5本ほどある。
清流宮川は、そのエメラルドグリーンが見事。
写真を撮るならしっかり立ち止まって撮らないと足を滑らしたら終わりである。
朝の日差しはだんだん曇り空になる。
途中河原に降りてみる。川の流れと新緑の山が気持ち良い。
雨が多い地域なので、苔むした岩石が見事。苔もいろんな種類が見られるのでマニアには楽しいだろうな。😁
石を敷き詰めたこんな道もある。
比較的歩きやすいところ。奥に河原で休憩しているパーティーが見える。
炭焼き窯の跡か?にしては大きいな。🤔
2つ目の日浦杉吊り橋。ここは鉄骨が使われているので揺れない。😁
振り返って。
透明度がすごい!
写真を撮るのに夢中になり過ぎると落ちるので慎重に。
滝が現れた。
あんなに高いところから流れてくる!その上はどうなってるのだろうか!?
千尋滝とある。
上部をアップで。
なかなかの登山道を行く。
木の根っこが岩に絡みついて道になっている。
迫力!!
道幅はあるが、左側は切れ落ちている。気を抜かずに丁寧に歩く。
何度見ても飽きない(笑)。
水が滴る岩の間を抜けると・・・
シシ渕だ。迫る岩に圧倒される。
そして奥に滝が見える。
それぞれが思い思いに過ごしている。
楽しそうに山食を楽しんでいるパーティー、ユーチューバーか⁉、動画を撮る人。遠くの滝の音や自然を感じながらじっと岩に腰かけている人など様々だ。
お昼には時間が早いが、朝が早かったので、おにぎりを食べてしばし休憩。
周りの登山者のザックは小ぶりで、日帰りということが分かる。
さて、今日の宿『桃ノ木山の家』を目指す。正式名称がやや長いので、多くの人は『桃の木小屋』と言う。
まあ、サイトにも『桃の木小屋』と書いてあるので問題ないか(笑)。
反対側にも滝があった。名前は特にないようだ。
その水たまりにいたのは、アカハライモリ。日本固有種だ。
さて、ここからが本番か⁉という道になってきた。
初心者、初級者には厳しい道だ。鎖はあるものの左側はすっぱりと切れ落ちていて、時々滑落事故も起きている。
雨の日は要注意だ。注意を促す看板が繰り返し立っている。
黒部の「下の廊下」とよく比較されるのも納得である。黒部はまだ歩けてないので、復興したらぜひ歩きに行きたい。
シシ渕から見ていた遠くの滝が、目前に来た。落差150mあるらしい、すごいな。
ニコニコ滝とあるが、面白いネーミングだ。😊(由来は不明らしい)
動画を撮ってみた。
ガクウツギ?白い花が清楚。
本日一番長い吊り橋。嵒が正解?
右手に見えるこの岩がスゴイ。
ワイヤーも持てるので大丈夫なのだが、そこそこ揺れる(笑)。
渡り切って振り返る。
小屋までもう一息だ。
ササユリが愛らしい。
見えた。桃の木小屋への最後の吊り橋。
吊り橋途中からの眺め。
到着!
ひとまず受付けをする。
若い女性スタッフが対応。小屋主らしい人もいる。
着いた時間が早かったのか登山者はいない。話を聞くと今日はあと1組来るだけとのこと。
昨日は40人ほどだったというから今日はのんびりな感じだ(笑)。
寝床を確保したら、時間が早いのでさらに奥の滝を見に行く。
使わない荷物は取り出し置いて行く、とても軽い。😁
小屋から先には、いくつか滝があるがまずは、七ツ釜滝を目指す。
雰囲気ある道だな。
岩の間を登り・・・
雨だと滑りやすい岩を超えて
ここかな、意外と早く着いた。深い淵に滝が流れ込んでいる。
七つ淵があるらしいがよく分からない(笑)。
ここにかかる吊り橋を渡りさらに先へ進む。
日差しが戻って来て良い感じだ。
写真奥にかつて大きく崩落した岩場が見える。そこを超えていく。
岩だらけの間を清流が流れていく。
奥に滝が見える。
午後の陽射しを浴びて白く光っている。光滝(ひかりたき)だ。
落差はさほどないが飛び散るしぶきがすごい。
こちらも動画を。
余りの迫力にしばし見とれていた。この先にも滝があるが時間的に戻らないと夕食に間に合わなくなる。
この崩れた岩場も、楽しい。
こんな岩が崩落したのだ。自然の威力は半端ない。
桃の木小屋に到着。煙突から白い煙が出ているのが見える。
この小屋には風呂がある。石鹸やシャンプーは使えないが汗を流し湯船につかるだけで極楽極楽。😍
しかも、桧風呂で水は清流からポンプで汲んだもの、そして燃料は薪だ。あの煙はお湯を沸かすための煙。
薪で炊くので何となく湯がまろやかなのである。熱いときは水で加減する。もちろん沢水だ。
夕食はカレーライスとカツ。お代わりは自由だったけどお腹いっぱい(笑)。
早い時間に夕食が終わってすることがない(笑)。談話室と言ってもさっきの食堂だ。
お客さんがいないので一仕事終えた女性スタッフが何か書いている。
こちらはいつものウィスキー割で地図でも眺めてゆっくりしようと思いスタッフから離れた場所に座る。
すると受付けをしてくれたスタッフが話しかけてくる。地図を広げることなくそのまま会話となる(笑)。
九州から来ているという彼女は、2カ月小屋にいるらしい。
ここは電波が一切入らない。ゆえにテレビはもちろんネットも繋がらない。
と言うことで外、下界の情報が全く入らない生活とのこと。明日の天気さへ登山客からの情報しかないと言う。
九州は、ほとんど日帰りできる山しかなく山小屋感覚がないと話す。確かに西日本には3000m級の山はないもんな。
それで早い時期から営業しているココに来たのだと。
端の方で、何かを書いているもう一人の女性スタッフが話に入る。
始め仕事上の何かを付けていると思っていたが、それは、小屋周りの情報をあれこれ書いているようだった。
あとで拝見したら、植物や生き物などのイラストがとても良い感じで描かれていて、ワンポイント情報が書き添えられている。
この時期登山客が気になるのは、ヤマビルだ。
自分が『ヤマビルの吸う血の量なんて1mmlなんだから、(血を)あげるから血を止めてほしい』(笑)。
と話すとその情報頂きとスケッチブックん書き込んでいた。😆
愛らしい内容のスケッチブックなのだが、電波が通じないのでそれを発信するすべがない。
自分の足で小屋まで行きページをめくってみれば、山旅の良い思い出になるだろう。
さて、翌日早くに目が覚めた。まあ、消灯が8時半だもんな(笑)。
外のテーブルに出て、お湯を沸かしコーヒーを淹れる。朝のいい時間を満喫。
昨夜の女性スタッフが、ササユリを見に行くと散歩に出かけて行った。
この透き通るエメラルドグリーン。宝石だな。淵はかなり深そうだ。
早朝の桃の木小屋。
さて、下山だ。
行きとは逆向きに歩くとまた違った感じを味わえる。それがピストンで歩くいいところかな。😁
しかも山の中にいるので、今日は登山者のいない道を独占できる(笑)。
寄り道、泳げそうな淵を見つけた。
朝日が入って、新緑と苔が生き生きしているよう。
ニコニコ滝に戻ってきた。
下りは登りより慎重に。
誰もいないシシ渕は静寂そのもの。
💧を避けながらさっと通過。😆
ん! これは何???
ササユリは、割と足元にあり、しかも下向きに咲いているので写真を撮るのにチト大変(笑)。
河原に出て、桃の木小屋名物の「ちまき弁当」を頂く。美味!
行きには気づかなかった木。なんかスゴイ!
戻ってきました。カワウが2羽、日向ぼっこ。
無事下山。
YAMAPの記録は電波が入らないため使えないので、桃の木小屋登山マップから。
距離:約15㎞ 時間:片道5時間少し(アナログで記録することも必要)
電波が入らないということは、核心部で滑落すると登山口か山小屋まで2時間少し歩かなければならない。
ソロだと誰にも気づかれないので慎重に。
日本三大渓谷(黒部峡谷、清津峡、大杉谷)の大杉谷を十分楽しめた。
歩きながら気が付いたのだが、樹々に広葉樹が多く秋の紅葉も期待できるのでは⁉と楽しみが増えた。😁
登山口から車で少し下ったところに六十尋滝の看板が出ていたので寄ってみた。
これがすごい迫力で、まじかで見ることが出来て感動だ。
次は、アルプスに向けてトレーニングだな😎
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