スウェーデンの今
スウェーデンに15年暮らし現在はストックホルム商科大学・欧州日本研究所で研究員
 



9月7日から11日にかけて、ノルウェーへ視察に行ってきた。ノルウェーは1986年のチェルノブイリ事故によって、スウェーデン同様、局所的に高い濃度の放射性セシウムが降下し、その後の対応に追われた。セシウムが降下した地域は畜産・酪農の盛んな地域であったため、農産品の汚染を減らすための様々な対策が試行錯誤の中で考案され、その結果や経験は時間とともに蓄積されていった。その経験や知識をぜひ福島の復興に生かしてほしいということで、ノルウェー政府ノルウェー放射線防護庁は、福島とノルウェーの住民・農業生産者同士の交流を進めており、その一環の視察だった。

私は、通訳のサポートして同行。ノルウェー語の通訳は別にいるものの、視察が大人数のため2つの車に分かれて移動することも多く、もう一人通訳がいたほうがよいことで加えてもらった。私は2年前の2012年にもノルウェー放射線防護庁の人と一緒に、ノルウェーの被災地域の農家を訪ねたことがあったので、チェルノブイリ事故後のノルウェーの状況や、畜産・酪農における対策についてはある程度、把握しているつもりで、今回の視察では通訳以外のサポートとしても同行した。

スウェーデン語ノルウェー語は言語的に近いため、基本的な違いを把握しておけば、ノルウェー人は私にノルウェー語でしゃべり、私は彼らにスウェーデン語でしゃべることで会話が成り立つ。ただし、放射線防護庁の職員などオスロの標準語をしゃべるノルウェー人は分かりやすいが、今回の視察はNynorskの地域が多く、地元の農家の人がしゃべる独特の訛りと語彙には少し苦労した。

ちなみに、ノルウェーには原発はなく、電力は97%以上を水力に頼っている。だから、ノルウェーの放射線防護庁は「原子力ムラ」の一部ではないし、今回の視察も原子力・放射線の安全性を強調したい勢力が背後にあるわけではないことは、強調しておきたい。

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チェルノブイリ事故直後、ノルウェーで高い濃度の放射性セシウムが降下した地域は、主に下の地図で赤丸で囲んだ2地域。スウェーデンでは、イェーヴレ(Gävle)からスンスヴァル(Sundsvall)にかけて放射性物質を含む雨が降り、比較的高い汚染をこれらの地域にもたらしたが、同じ雲はそのまま西に流れ、ノルウェーでも赤丸で囲んだ地域に雨を降らしたのである。2012年に私がノルウェーを訪れた時は、ヴァルドレス地方のみの訪問だったが、今回の視察ではこの両方の地域へ足を運ぶことができた。



詳しい話は次回書くとして、今回は視察中に撮った写真と動画をいくつか紹介したい。


ヴァルドレス地方。人気のハイキング・登山コースの入り口にある山荘で宿泊。


同上。船が写っているが海ではなく湖。標高が高いところにある。


乳牛を飼うヨールンさん。


広大な高原でヤギを放牧。写真の中ほどから、山羊の群れが一列になってこちらに向かってきているのが分かるだろうか?


ヤギの搾乳小屋。ヤギの乳はそのまま飲むのではなく、人気のある山羊チーズに加工して販売。



羊農家。農家の人の笛に合わせて、犬が走り回り、羊の群れを柵の中に追い込む様子はとてもおもしろい。



夏の間、高原に放していたトナカイの群れ(3500頭)をヘリコプターと馬・犬を使って一箇所に集めます。集められたトナカイは台風か洗濯機のようにクルクル回っています。その中から40匹のサンプルを選び、屠殺前の生体検査を行います。生きたままの状態で肉のセシウム濃度を測り、基準値を下回ったものだけを屠殺するのですが、今年はキノコが豊富だったので予想以上にセシウム濃度が高く、翌日に群れを半分にわけて、片方の群れを全数検査し、基準値以下のものだけを屠殺しました。トナカイの生体検査は10秒です。テキパキと効率的に作業が続きますが、トナカイが暴れるので大変です。おそらくトナカイ所有者の家族だろうと思われる若者たちも格闘しています。


詳細は次回。



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