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カズオ・イシグロ。ノーベル文学賞受賞

 カズオ・イシグロがノーベル文学賞を受賞した。このことは、日本人として、日本生まれの作家が受賞したというより、SFファンとして、SFも書く作家が受賞したということがうれしい。
 イシグロの代表作「わたしを離さないで」は、21世紀になってからの名作SFの1つといっていいだろう。クローンをテーマとして、書きようによっては、大変に残酷でグロテスクな話を、静謐な筆致で表現された傑作SFである。この作品は映画化されており映画もなかなか良いできであった。
 私は、イシグロの熱心な読者ではない。「日の名残り」「わたしを離さないで」そして最新作の「忘れられた巨人」の3作しか読んでない。
 最初に読んだのは「日の名残り」だ。古い貴族の館の老執事が主人公だが、イギリスの伝統的な貴族の生態、それにつかえる執事。非常にイギリス的な話を日系人の作家が書いたということで興味深かった。それは、「怪談」という日本の土着な話を外国人の小泉八雲が書いたということと一脈通じているように思う。
「日の名残り」も映画化されていて、こちらもアンソニー・ホプキンスの名演もあって、なかなか良い映画となっている。
「日の名残り」を再読しよう。傑作。おすすめ。
 なにはともあれ、カズオ・イシグロさん。ノーベル文学賞受賞。おめでとうございます。
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