Chimney角屋のClimbing log

基本的にはクライミングの日記ですが、ハイキング、マウンテンバイク、スキー、スノーボードなども登場するかも・・・。

天然記念物に打たれたボルトの問題で、JFAに対する反応について感じたこと

2016-07-08 01:10:23 | フリークライミング

クライミングルートを開拓してきたクライマーは、この問題が潮時を迎えるのを待っていることでしょう。

私は、この問題に対する多くのクライマーの意見の中には違和感を持つものがあります。もちろん共感できるものもあります。新たにボルトを打ったクライマーの気持ちや事情まで理解しようとしているのか。その問題を解消しようと努力しているJFAの目的を理解しようとしているのか。この問題に関して、あまりにも思いやりに欠けたコメントが横行していることが気になります。これは単なるマナーの問題ではなく、クライミングの文化にかかわる問題だと思うのです。同じクライマーであるにも関わらず、自分は「犯人の仲間ではない」という人は、ただ人が作ってくれたルートをトレースしているだけで、開拓者の心を感じ取れない感性の持ち主であるような気がしてならないのです。私も共感できる開拓者とそうではない開拓者がいますが、ルートによっては、その感じ方も違います。

もちろん、天然記念物に指定された岩に、ボルトを打つという行為を許そうとしているわけではありません。しかし、その経緯を十分に理解し、許せることは許し、許せないことは罰するというような理解をしないと、「誤解が生んだ理不尽な結果」、または「人の善意が報われない結果」になりそうな気がします。ただそこには、当事者の「考慮の甘さ」があったことは否定できませんが。

さて、それに対してJFAも行動を起こしてくれています。その行動は、我々クライマーの活動を守るための行動です。そのためにはクライマーの文化を、一般社会に理解してもらわなくてはなりません。なぜ、天然記念物の岩にボルトがあったのか。そして、どうして新たにボルトが打ち直されたのか。その辺を理解してもらおうと努力してくださってるのだと思います。しかし、仲間であるはずのクライマーの中から、問題をJFAの責任と感じているコメントも見受けられます。果たしてそうなのでしょうか。

JFAに限らず、スポーツや文化組織というのは、大抵、そのスポーツや文化の正しい普及や振興を目的に存在しているわけで、そのスポーツや文化を楽しんでいる人たちを組織化することや、規制をすることが目的ではないはずです。フリークライミングを楽しむためにはJFAに登録をしないとできないわけではなく、誰でもフリークライミングをすることは出来るのです。
私は子供の頃、川や貯水池で水泳をしていると、「危ないからここで泳いじゃいけない」と、近所の大人にしかられましたが、水泳連盟が「川や貯水池で泳ぐのはやめましょう」
などと言いません。私を叱った大人だって、水泳連盟の責任だなんて思いもしないでしょう。今回のように、クライマーと社会の摩擦は、クライミング文化の妨げになるので、JFAはそれを取り除くために活動されたと思います。全く頭が下がる思いです。こうやってクライミングのできる環境を守ったり、一部のクライマーの起こした問題で、クライミングという文化が社会から否定されないよう活動してくれているのだと思っています。問題は我々クライマー一人一人にあるのに、JFAに責任があるような言い方をするのは、問題を、またはJFAという組織を理解していないのだと思います。

 
 さらにこの問題を理解するには、クライミングそのものの歴史、クライミングの方法やスタイルの変化、それに伴うプロテクションの変化と使い方、プロテクションに関わる倫理的な理解が必要になります。だけどクライミングを知らない記者が理解するのは大変だなあ、と思います。
色々な誤解を解いていくには時間がかかるでしょうね。

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ビッグロック日吉店「奥壁伝説」

2016-07-01 00:51:21 | フリークライミング

普段はビッグロック日吉店で登っています。ルートセットもするので、「お客様の登れた時の笑顔を見たい」という思いで、低いグレードではできるだけ登りやすいルートを作りがちですが、奥壁は「登りにくい」というのではないのですが、グレードは辛いです。「辛い」というより「自然の岩場基準」です。ほかの壁に比べたら、みんな「辛い」と思うでしょう。でも、「面白いルート」が多いのも事実です。今日登ってみて改めて思いました。

なぜそうなったのかは、オーナーの親分の一言。「この壁は手加減しなくていい」でした。そういわれると、思い切り「生岩チックに」セットできます。気分よく登れるかはあなた次第。でもこの壁で気分よく登れれば、岩でも通用すると思ってください。

普段あまり人気のない「奥壁」ですが、本当は「玄人好み」のルートがそろっている壁なんです。ちなみに「タワー」は初心者や講習会向けのやさしい設定です。(ゲストセッターのルートはそうとも限りませんが)


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新ルート登攀記1

2016-06-20 22:36:54 | 無雪期山岳クライミング」

2016年5月23日に初めて訪れた岩場。期待を越えたスケールで心が躍った。

この日は月稜会のいとしゅーをパートナーに、アプローチの確認、岩場全体の概念を把握、そして登れそうなところに手を付けてみた。

この岩場は上下に二つの岩峰に分かれていて、それぞれ100m近い高さを持っている。まず残地のリングボルトとハーケンがある、上部の岩場の右端を登ってみたが、残地があったのは取りつきだけで、完登はされていない様だった。あまりすっきりしない内容で40m+20mのやさしいクライミングだった。やさしいと言っても、グレード的にはやさしいが、岩のもろさと支点をとれるところの少なさで、緊張するクライミングではあった。

そのあと、下の岩峰に移動し、岩の堅そうな、すっきりしたラインを選んだ。

岩はことごとく逆相で、花崗岩だがクラックは閉じてしまっている。どこにプロテクションが決まるのか判然としない。この日用意したプロテクションはキャメロットの0.5~3番まで2セット、エイリアンの赤から緑まで2セット、ナッツ1セット、カットアンカーのボルトキットだ。クラックは閉じてしまっているので、ナイフブレードが有効であるように見えるが、あいにく持参していなかった。

私がリードで取りつく。10mほど登りレッヂに立つが、全くカムやナッツを効かせるところがない。ここまでは5.7くらいだが、この先は少し難しくなりそうだ。少し考えて、バックロープでボルトキットを上げてボルトを設置。岩が固く、1本打つのに小川山や瑞牆の3倍くらいの時間がかかる。もちろんボルトなど打ちたくはないが、仕方ない。ボルトを打つなら、最低限グランドアップで手打ち。これだけは守りたい。「トラディッショナル」なクライミングというものはそういうものだと思うからだ。

ボルトを打った先は、カムを使える場所を見落とさないように、しかもホールドをつないでルートを見極める。少し直上した後に右にトラバース。また直上して左に戻るが、この辺りはフットホールドが高くカチや縦ホールドやアンダーホールドで乗り込むムーブが連続する。カムは小さいサイズをクラックとは呼べない岩の隙間にセットしていくので、思い切ったムーブを起こすには勇気が必要だ。

核心部をこなして直上するとテラスがありそうだった。しかしアンダーホールドに決めたカムは信用できず、この直上の1手が出ない。手の届くところの岩は明らかに浮いている。その上にガバカチがあるが、手を出す勇気がない。手前のかろうじて手を放せるところで再びバックロープを引き上げボルト2本目。ここは傾斜もきつく足場も大きくないので、打っている途中に墜落しそうで恐ろしかった。バランスを崩さないように静かにハンマーを振る。ハンマーを振る腕がパンプスる。手首が痛く、ハンマーをしっかり握れないが、もうこの場所からはどうしても登りきらないと無事には帰れないのだ。そう思うと手首くらい壊れても仕方ないという覚悟が生まれる。カットアンカーの先が数ミリ入ると、ホルダー自体がホールドになるので安心できる。あとは力の続く限りハンマーを振るだけだ。死に物狂いでボルトを打ち、カラビナにロープをクリップすると、死の淵から戻ってきたような気持ちになる。

「この上がテラスであってくれ!」と祈って突っ込む。手を出してみたら、実はそれほど難しいムーブではなかったが、これが「初登」というものだし、ボルトの魔術でもある。このボルトが残ることで、次から登る人は、私が感じたことと同じことを感じることは不可能になってしまうかもしれない。しかし良い感性の持ち主であれば想像はできるだろう。そこが妥協点だ。

ワイドクラックともいえる凹角を抜けると果たしてテラスだった。左下に太い松の木があるのだが、足場が悪く、ビレー点には使えない。今日は時間的にもここで終了となるので、ボルトのビレー点を作る。一安心でロワーダウン。しかしこの日のロープは50mだったので着地ができない。途中でバックロープをつないでの着地になった。

1ピッチ目のグレードは5.9 27m。 プロテクションはキャメロット3と0.5各1 エイリアン赤以下緑まで。ボルト2本。

*取りつきから15m直上。右にトラバース後、数m直上。左に戻り顕著な凹角を登りテラス。

 

 

6月20日。約1か月ぶりにこの岩場に戻ってきた。この日のパートナーは月稜会のみじかいさんとアンジェラ。女性2名だ。まずはもっと楽なアプローチはないだろうかと探ったが、結局時間がかかってしまった。しかし帰りにわかったのだが、本当は最短だっただろう。岩場の近くでうろうろしてしまっただけのようである。このアプローチは使える。

 

今日はプロテクションにナイフブレードを追加してみた。ナッツもペッカーもスカイフックも用意した。使わずじまいだったけど。

先月登った1ピッチ目をリードする。やはり2度目は落ち着いていける。しかし、プアなプロテクションには変わりないので緊張はする。フォローのみじかいさんは、核心のトラバースで落ちて振られ、ラインの左からフリーで登りなおした。つまり左からも登れるということだが、ボルトを打たない限り相当なランナウトになるライン。

1ピッチ目フォローのみじかいさん。5.11aくらいは登るのだが・・・。

 

続いてアンジェラもテラスに到着し、いよいよ未知の2ピッチ目。出だしはやさしいが、やはり1ピッチ目と同じく、プロテクションはプアである。岩の隙間を見つけてエイリアンの小さいサイズを決めていかなくてはならない。10m弱登ったところでブッシュに入り、ブッシュを抜けると右上にある上向きの大きなフレークに立つ。ここで先のラインを見極める。右に行くのは簡単そうだが、岩のもろい地帯に突っ込んでしまうラインなのであきらめる。残るは目の前のスラブを2mほど登り、左のオープンブックからカンテにのっこすラインだ。しかしスラブを上がるまでのプロテクションが取れない。またボルトの出番だ。

スラブにカチホールドを拾い、水平クラックを左にトラバース。オープンブックの向こうのカンテを目指すが、右手がアンダー、左手がカンテで左足の小さなフットホールドが不意にかけてしまった。手前のカムが浅効きだったので、思わず大声を出してしまった。落ちるかと思った。何とかカンテに立ちこんだ。ここがテラスであることを願っていたが、自分一人がやっと立てるだけだった。しかもその上には15m以上はテラスがなさそう。もう頻繁に使う小さめのカムが足りない。しかし幸いなことに、そのレッヂはエイリアンの赤がバチ効きだったので、セルフビレーを取り、ボルト1本を設置して、今日はここまでで終了とした。このボルトは、登るためには必要ないので、次回は撤去する予定。ナイフブレードもバックアップで打ってあるが、これも撤去予定。

2ピッチ目(途中)のグレード。5.9 20m。 プロテクションキャメロット2 エイリアン赤から緑1.5セット。

*ビレー点から直上。左上のブッシュを通過し、右上の大きなフレークに立つ。数手のスラブを登り、水平クラックを左へトラバース。オープンブックからカンテを乗越して1人用のレッヂ。

 

2ピッチ目出だしの私。

 

2ピッチ目をトップロープで登るみじかいさん。

 

実にアルパイン的な岩場である。

たかが5.9と思われるだろうが、クライミング技術だけでは登れない。

クラックシステムとは言えないスラブ・フェースクライミングなので、当然プロテクションはクラックより難しい。

「トラディッショナル クライミング」という言葉が一番ふさわしいかもしれない。

何年も前にSさんとともに登った「一粒の麦」のように、全く残置物を残さないで登れたら理想的だったが、

どうやら今回の岩場は別物のようだ。

でも、それは「また違ったプレゼント」をもらったようで、すごくうれしい。

 

「ボルト」という妥協の産物を残さなければ登れないことは残念だ。(フリーソロができるのなら良いのだが)

ただ登りながら最小限のボルトを打つことは、「トラディッショナルクライミング」の範疇であろう。

これは非常にスリリングなことだ。

次に登る人はボルトがあることによって、このスリルは味わえないが、

こういうルートは感性豊かなクライマーにこそ登ってほしい。

初登者の気持ちを想像しながら登れるクライマーにこそ登ってほしい。

まだ完登してないけど・・・。

 

 

 


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KBT岩フリークライミング

2016-06-08 01:04:35 | フリークライミング

6月6日。KBT岩に行ってきました。月稜会の集会日で、午後2時までしか登れません。この日は月稜会のメンバー6人にゲスト1名の7人でした。私はひじの痛みが治っていないので、やさしいのを登ることにしました。

 

やさしいのはクラックなので5.8から5.9の4本を登り、後は5.10a

のフェースと5.11bのフェースを登りました。

「林」5.9はワイドムーブのある楽しいクラック。カムがキャメロットの3番までしかなかったので、ボルトを使ってしまいました。

「風」5.9は、とても面白かった。レイバックからハンドジャム、高いフットジャム。

「小春」5.9は出だしが厳しかった。グレードは辛い。

「十月」5.8は快適なNPフェース。

「はじめの一歩」5.10aも快適なフェース。

「祝退職」5.11bも面白かった。終了点直下の返しはジムっぽい。


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スポートクライミングが全盛なのに、なぜこんなルートを登るのか。

2016-05-29 01:06:32 | 山とクライミングの話

先日登った岩場。遠くから眺めて、気になっていたのだが、実際にそこに行くまで何年も経過してしまった。行ってみると、古い残地支点が見つかったものの、その先は登られていないようだ。ほかのラインも手つかずのように見える。実際登ってみて、ほかに残地支点がないということは、完登されていない岩場だと思われる。

首都圏から近い岩場の中ではスケールが大きい。しかし、高難度なフリークライミングを行うような傾斜でもない。アプローチも1時間ほどかかるし、道もない。そこで繰り広げられるとしたら、ワイルドなトラディッショナルなクライミングしかないのだと思う。花崗岩なのにクラックは閉じてしまっているので、グランドアップで登る場合、ピトンや手打ちのボルトも必要になる。時にはボルトを打っている途中に墜落することもある。たとえ満足にナチュラルプロテクションが取れなくても、グランドアップでフリークライミングをするのがトラディッショナルだと思う。だから、この岩場はそのスタイルで登りたい。この岩場にふさわしい登り方だ。

若いクライマーがたった数年で5.12とか5.13とかを登ってしまう。フリークライミングがオリンピック種目にもなろうとしている。多くの子供たちもクライミングスクールに通い始めている。そんな時代に、なぜこんな時代遅れの登り方にこだわるのか?

私には譲れない理由がある。私は今のところせいぜい頑張っても5.12しか登る実力がない。もっと登れるように努力はしているのだけれど、そもそも登れるようになりたい理由は落ちたくないからだ。本来クライミングというのは落ちたら大変なことなのだ。もとをただせば、クライミングとは山登り。山登りに険しい岩場が出てくる。ここで落ちるわけにはいかない。だから、もし登る自信がなければ、登る自信がつくまで岩登りの練習をして、再度チャレンジするものなのだ。

私のクライミングの原点にはこういうことがある。落ちてもいい環境でクライミング技術を高める。だけど本来の目的は、落ちてはいけない岩場を登りきること。今回のような、まだ誰も登ってない岩を下からプロテクションを構築しながら登りきること。いくらスポートクライミングが上手でも、それだけでは成し遂げられないクライミングだ。しかしこれがクライミングの本質だと思う。だから私はこういうルートを登るし、登れたら、できるだけ発表して、若くて上手なクライマーにも、体験してほしいと思うのです。つまりジムナスティックなだけではなく、登る技術に裏付けされながらも、精神力の強さと知恵や経験を総動員しなければ登れないようなクライミングを衰退させたくないのです。

この先の1手を出していいのか、出してはいけないのか。そういうことを常に考えながら進んでいく、または引き返してくる。そういうクライミングは絶対受け継いでいくべきだと思うのです。

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初登

2016-05-25 00:57:02 | 無雪期山岳クライミング」

5月23日、以前から気なっていた岩場を訪れることができた。遠目に眺めて「かなり大きな岩場だ」と思っていたが、いろいろ調べてみてもクライミングの記録は見当たらない。地形図を眺めてはアプローチの方法などを考えていたが、何年も先延ばしにしてしまっていた。

月稜会の仲間であるIが興味を持ってくれたので、決行した。前夜発でアプローチの起点近くで仮眠をとり、朝7時に歩き始めた。地形図上の破線をたどり踏み跡が途絶えると地形を頼りに進む。1時間弱で樹林越しに岩が見えた。「でかい!」。思っていたよりスケールが大きい。岩は上下2つに分かれていて、それぞれ2~3ピッチ分はあるようだ。つまり100mあまりの岩峰が上下2本立っている感じである。

まず、岩場を裏側の樹林帯から巻いて、上部岩壁のピークに立ってみた。

ピークには何かのしるしだろうか、岩に文字が刻まれていたが、そのほかに人工物はない。

下って上部岩壁の基部に行ってみる。

基部を見回ってみると、古いリングボルトとハーケンがそれぞれ1本見つかった。

さっそくそこから取りついてみる。

 

岩は花崗岩だが、小川山や瑞牆の花崗岩と違って、あまりクラックはなく、カムが使えるところが少ない。ハーケンが有効だが、あいにく今日は持参していなかった。

岩は古期花崗岩というのだろうか。滝谷のような感じである。

上部岩壁を見上げる。

 

まず取りついたラインは岩場の一番右端で、4級程度のやさしい内容だが、ことごとくホールドが浮いているし、支点が取れないので、クライミングのグレード以上に恐ろしかった。

下から見えたハーケンを過ぎると、そこから先には残地支点はなく、登られた形跡は見つからなかった。

40mほどでテラスについたので、後続をビレーしたいが、全く支点が取れない。バックロープでボルトキットを挙げてボルトを打った。

もちろんできることならボルトなど打ちたくないのだが仕方ない。

 

2ピッチ目の出だしは岩が固く快適。しかしすぐにすっきりしない凹角に入り、右のリッヂに上がると、20mほどでさっき来たピークの右端についた。

後続のIが到着。本当のピークより低いところなので40m+20mで終わった。帰りはクライミングシューズのまま歩いて下った。

 

基部に戻ってから下部岩壁に移動した。

 

下部岩壁は、上部岩壁よりさらにすっきりしている。すっきりしすぎていて、NPが使えなさそうだ。

 

じっくり岩を眺めて弱点になりそうなラインを見極めて取りついた。

取りつきから10mほど登るとテラスになるが、全くNPが使えない。さらにここからは難しくなりそうなので、仕方なくボルトを打つ。

岩は固く、逆相のスラブの中にもホールドがちりばめられていて、登ること自体は実に快適だが、カムを使えるところを見落としてはいけない。

20mほど登ると核心部に行き当たる。心もとないマイクロカムと効きの悪いキャメロットの3番をセットするが、そのまま突っ込む勇気がわかない。

微妙な体制でバックロープを引き上げ、ボルトを打つ。打っている途中に墜落しそうだ。

岩が固いうえに体勢も悪いので、時間がかかりつかれる。やっとの思いでボルトを設置し、核心に突っ込む。

登ってみれば5.9程度のむずかしさだったが、グランドアップで初登するとはこういうことだ。

27mほどで安心できるテラスについた。もう今日はこれ以上は無理だ。

このテラスにも支点になるようなものはない。少し左下に太い木があるがルートから外れてしまう。また下降支点をボルトで作った。

この日合計6本のボルトを打ったが、岩が固くて手首が腱鞘炎になってしまったようだ。

ロワーダウンしてみるとロープが足りない。今日は50mロープだった。

バックロープをつないで着地した。

 

開拓途中の下部岩壁1ピッチ目をトップロープで登るI。

 

今のところ場所は公表できません。初登がかかっているからとか言う理由ではなく、これだけの岩場がなぜ今まで登られなかったのかということに、何か理由があるような気がするからです。

それがわかって問題なければ発表できるのですが。

 

それにしても久々の開拓、というより初登。やっぱり私はこういうクライミングが好きなんだ。

ボルトに守られた高難度のクライミングより、やさしくても冒険的で総合的な知恵と経験が必要なクライミング。

こういうクライミングを、私は「クライミング」と呼ぶのだ。


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北アルプス 焼岳

2016-05-11 00:41:42 | 山登り・トレラン

5月9日(月)。月稜会の会山行で北アルプスの焼岳に登りました。メンバーは私のほかに4名。

日帰りの我々のほかにも1泊で、涸沢から奥穂組と、前穂北尾根組が入りました。奥穂組は翌日の天候が悪く涸沢に1泊して引き返したようですが、前穂北尾根組は女性2人のパーティーですが、翌日の天気が悪いことを予測して、沢渡を早朝のタクシーで出発し、ルートを北穂東稜に変更し、その日のうちに登り切り、北穂の小屋に入ったようです。わが会の女性は元気で強い。

我々日帰り組は中の湯の上の林道を7時50分に出発しました。曇り空で午後2時くらいからは雨の予報です。

焼岳のコルに到着してお釜をバックに撮影。今回は強いメンバーだったので、午前中に終わってしまう感じ。

 

北峰の噴煙を背にして撮影。見上げる先は南峯。

 

北峰に到着。11時くらいだったか。

 

ピナクルに立つ私を撮影してもらいました。

 

ちょっとバリエーション的なルートに入りました。

 

岩登りの後は雪壁。

 

同じ雪壁を登る。

 

最後は岩稜でピークに立ちました。下りもバリエーション的なルートで1時くらいには下山。予報通り下山とともに雨が降り出しました。

 


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私の山仲間

2016-05-03 00:38:36 | 災害ボランティア クライマー派遣

今日は月稜会の集会日でした。会長はじめ会員が、「被災地にクライマーを送る会」の活動に賛同してくれて、寄付金を集めてくれたり、山道具のオークションによって寄付金を集めてくれました。

この日の集会日で17万円を超える寄付金が寄せられました。

自分のできる範囲でできることをしてくだされば十分です。OKMさんという仲間がいるのですが、この人は5年前の東日本大震災の時に身内を亡くされています。そういう中で多額な寄付をしてくださいました。今回も同様に多額な寄付をしてくださいました。こういう善意は金額の多さが善意の大きさだとは思いませんが、でもこの人の気持ちは強く伝わってきます。きっと同じ山仲間に災害に苦しんでいる方々の力になってほしい、寄り添ってほしいと強く願っているのだと思います。被災者の気持ちをわかっていて、そのために活動してほしいという願いが伝わってきます。

だから、私はそういう人の気持ちにもこたえたい。もちろん被災者のために、というのは前提だけど、善意のある方の期待にも応えたい。みんなが一つになるために。


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善意と善意の衝突

2016-04-30 01:19:21 | 災害ボランティア クライマー派遣

具体的に書くのは控えるが、被災地の避難所やボランティア受け入れ拠点では、「善意と善意の衝突」が発生する。大規模な自然災害の現場では被災者を救いたいという善意を持った避難所やボランティア受け入れ拠点ができる。想像以上の過酷な現場だ。これ自体がイレギュラーなことだが、より良い、質の高い活動をするためには、イレギュラーな仕事をレギュラー化しなければならない。そうしなければスタッフも被災者も共倒れになってしまうからだ。

ところが、全国各地から善意を持ったさまざまな人、グループがやってくる。現地でも、心に余裕があればありがたく受け入れたいのだろうが、こんな時には受け入れられるだけの心の余裕がない。たとえ善意であっても、計画外の受け入れはイレギュラーが一つずつ増えるということになる。善意を受け入れることは被災者にとって良いことだとわかっていても、「イレギュラーをレギュラー化する作業」を後回しや先送りにしなければならなくなるかもしれない。それによって「共倒れ」の危機感を抱く。

各地からやってきた善意は、苦労して遠くからやってきたのに快く受け入れてもらえない悔しさは想像に難くない。すったもんだの末に受け入れてもらっても、歓迎されなかったことは不本意だろう。事前に自律的な活動をするための綿密な計画を立てて、アポイントを取っていたら歓迎されたかもしれないが、被災地支援の経験がない善意は、とにかく熱い思いだけで動いてしまいがちだ。無理もないことだと思う。どうしたらうまくいくのか、良いアイディアは浮かばない。

でも、そんな中でもまれに心に余裕をもって動いている人を見かける。メンタルが強い人だ。今回、熊本を訪問した際にも、そういう人が3人いた。


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お願いしますと有難う

2016-04-22 00:31:47 | 災害ボランティア クライマー派遣

「被災地にクライマーを送る会」が、東日本大震災の際に岩手県宮古市に山屋やクライマーの仲間を集めて送りました。その時の初期の経験者を、今、熊本に送ろうとしています。現在1名、現地にいますが、明日もう1名到着します。日曜日からは私を含め数名入り、現地の状況を視察しながら仲間に情報提供ができるよう、またボラセンのルール作りをする予定です。そこから本格的なボランティア活動に入れると思います。最初は宮古経験者を中心に送るつもりですが、センターが安定して回るようなら初めての人も送るつもりです。

しかし、関東からは交通費が高額になり、現実的には送りずらい面もあります。しかし宮古の経験者はほとんど関東の者ですから、やはり送り出したいのです。そのためにこれをご覧になっている山屋、クライマーのみなさん。「自分はいけないけど、仲間に行ってほしい」という気持ちをお持ちでしたら、募金に協力してください。このブログにリンクしている私のHPからメールを送ることができます。よろしくお願いします。

今日、私がYMCAで働いていた時の同僚から、現金書留で寄付が送られて来ました。ありがとうございます。また、クライミングジムに設置した募金箱にも募金を入れてくださいってる方にも感謝です。まだ中を開けていませんが。また宮古でお世話になった教会の牧師先生が、宮古で募金活動をしてくださっているそうです。私の所属する山岳会でも協力してくれるそうです。

私たちの特徴は、自活できることです。地元に生活面で迷惑をかけずに自活して活動できることです。ただ、おおらかすぎたり、心が熱すぎたりして問題が起こることもありましたが。

今回は経験者として関東から山屋クライマーを送りたいと思っていますが、今、関西以西の仲間を募っています。実際、宮古の経験者である大阪在住のクライマーが仲間を集めて現地に入る計画ができています。

山屋もクライマーも、普段やっていることは誰の役にも立たないですが、こんな時にその生活力と体力を生かせます。是非仲間を被災地に送ってください。

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