限りなき知の探訪

45年間、『知の探訪』を続けてきた。いま座っている『人類四千年の特等席』からの見晴らしをつづる。

百論簇出:(第265回目)『本物の教養が学べる100本のリベラルアーツ動画』

2021-10-10 20:25:45 | 日記
この夏(2021年7月)アントレプレナーファクトリー社でリベラルアーツに関して100本の動画を作成した。リベラルアーツに関しては今までにもすでに企業研修や講演会などで何度も話をしている。さらに、動画に関しても以前、ライフネット生命の出口治明会長(現・立命館アジア太平洋大学学長)と「リベラルアーツ教育によるグローバルリーダー育成フォーラム」を 20回開催した時に、半数ほどは動画に収め公開している。

それだけでなく、BBT(株式会社ビジネス・ブレークスルー)の英語講座の一つ、PEGLリーダーシップ力トレーニングコースでもグローバルリテラシーというタイトルの下、リベラルアーツ講座の動画が20数時間分が2015年以来ずっと放映されている。

リベラルアーツに関しては動画だけでなく、本も以下にリストアップしたように、数冊出版している。
『本物の知性を磨く 社会人のリベラルアーツ』(祥伝社)
『旅行記・滞在記500冊から学ぶ 日本人が知らないアジア人の本質』(ウェッジ社)
『資治通鑑に学ぶリーダー論: 人と組織を動かすための35の逸話』(河出書房新社)
『教養を極める読書術 哲学・宗教・歴史・人物伝をこう読む』(ビジネス社)



ただ、読書習慣のない人にとっては、本より動画の方が馴染みやすいのは確かだ。その点で今回の100本の動画は本数は多いものの、それぞれ5分から8分程度の短いもので、一編づつの話が完結しているのでどこから初めてもよい、という利点がある。

まずは、アントレプレナーファクトリー社が提供している無料視聴してみて頂きたい。下記のサイトから「無料視聴デモID視聴申込」をクリックすると無料視聴することのできるIDを取得することができる。また、企業研修に利用したいという方は「企業研修利用問い合わせ」をクリックして同社に内容や条件等について直接問い合わせて頂くようお願いする。


言うまでもないことだが、リベラルアーツは分野が幅広いので、100本の動画でリベラルアーツ全体をカバーすることはとても無理である。以下に今回の100本の内容を示すが、不足している部分は多い。具体的には、日本、イスラム、東南アジア、中南米、工芸・技術部門、言語学、旅行記、人物伝、など。もっとも、時間の関係で今回の100本に収めきれていない部分も、企業研修用にはかなりの部分はすでにPPT資料にまとめてある。

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アントレプレナーファクトリー社 リベラルアーツ動画100本 (2021年7月収録)

●リベラルアーツとは
[ 1] リベラルアーツとは何か
[ 2] リベラルアーツの5G
[ 3] 社会人の読書法―哲学・宗教
[ 4] 社会人の読書法―歴史・人物伝
[ 5] 社会人の読書法―科学・技術
[ 6] 社会人の読書法―外国書
[ 7] 世界を知り、日本を語る

●世界の文化と価値観
[ 8] 世界の価値観を知る意義
[ 9] ヨーロッパの文化コア①(4つの質問)
[ 10] ヨーロッパの文化コア②(時代区分から知る)
[ 11] ヨーロッパの文化コア③(中世の生活)
[ 12] ヨーロッパの文化コア④(奴隷とプランテーション)
[ 13] イスラムの文化コア①(現在のイスラム世界)
[ 14] イスラムの文化コア②(基盤の考え方)
[ 15] イスラムの文化コア③(宗教として)
[ 16] イスラムの文化コア④(世俗のしきたりとして)
[ 17] インド・東南アジアの文化コア①(文字、言語、宗教など)
[ 18] インド・東南アジアの文化コア②(インドのカースト制)
[ 19] インド・東南アジアの文化コア③(インド文化圏)
[ 20] インド・東南アジアの文化コア④(照葉樹林文化)
[ 21] 中国の文化コア①(歴史の観点から)
[ 22] 中国の文化コア②(すき焼き理論・1-0理論)
[ 23] 中国の文化コア③(文優位・官僚主義)
[ 24] 中国の文化コア④(中国共産党をどう見るか)
[ 25] 朝鮮・韓国の文化コア①(歴史の観点から)
[ 26] 朝鮮・韓国の文化コア②(中国文明の浸透)
[ 27] 朝鮮・韓国の文化コア③(両班とは)
[ 28] 朝鮮・韓国の文化コア④(日本との関連・日本蔑視)
[ 29] 日本の文化コア①(歴史の観点から)
[ 30] 日本の文化コア②(外国人の旅行記・滞在記から)
[ 31] 日本の文化コア③(日本文化の長所と短所)
[ 32] 日本の文化コア④(異文化との比較から)

●科学と技術
[ 33] リベラルアーツとしての科学史・技術史
[ 34] 科学史・西洋編(概論)―プレ・ギリシャ(エジプト、中東)
[ 35] 科学史・西洋編(概論)―地域別発展
[ 36] 科学史・西洋編(概論)―年代別発展
[ 37] 統合的科学技術史―ギリシャ編①(天文学・数学)
[ 38] 統合的科学技術史―ギリシャ編②(医学・薬学)
[ 39] 統合的科学技術史―ギリシャ編③(土木・建築)
[ 40] 統合的科学技術史―ローマ編①(土木・建築)
[ 41] 統合的科学技術史―ローマ編②(戦争道具)
[ 42] 統合的科学技術史―ローマ編③(ガラス製品)
[ 43] 統合的科学技術史―イスラム編①(翻訳運動)
[ 44] 統合的科学技術史―イスラム編②(医学・薬学・天文学)
[ 45] 統合的科学技術史―イスラム編③(造船・航海術)
[ 46] 統合的科学技術史―東洋編①(インド)
[ 47] 統合的科学技術史―東洋編②(中国)
[ 48] 統合的科学技術史―東洋編③(朝鮮・ベトナム)
[ 49] 科学史・日本編―江戸以前
[ 50] 科学史・日本編―江戸の本草学
[ 51] 科学史・日本編―江戸の蘭学
[ 52] 技術史・日本編―金属・陶磁器
[ 53] 技術史・日本編―時計・からくり
[ 54] 技術史・日本編―和船
[ 55] 科学+技術・比較編―科学技術と文明①(ニ―ダムの疑問)
[ 56] 科学+技術・比較編―科学技術と文明②(日本と欧米の比較)
[ 57] 科学+技術・比較編―科学技術と文明③(発展要因と阻害要因)

●古典から学ぶ ― ギリシャ・ローマ
[ 58] ギリシャ・ローマの古典を読む必要性
[ 59] ギリシャ哲学―ソクラテス
[ 60] ギリシャ哲学―プラトン
[ 61] ギリシャ哲学―アリストテレス
[ 62] ヘレニズム哲学―ストア派・エピクロス派
[ 63] ギリシャ哲学とキリスト教の関連
[ 64] 歴史・人物伝―ヘロドトス
[ 65] 歴史・人物伝―リウィウス
[ 66] 歴史・人物伝―プルタルコス
[ 67] 歴史・人物伝―タキトゥス、ネポス
[ 68] 弁論術―デモステネス
[ 69] 弁論術―イソクラテス
[ 70] 弁論術―キケロ
[ 71] 弁論術―セネカ
[ 72] 文学・逸話―ホメロス
[ 73] 文学・逸話―クセノポン
[ 74] 文学・逸話―ゲリウス・アイリアノス
[ 75] 文学・逸話―スエトニウス
[ 76] 科学技術―地理学
[ 77] 科学技術―機械工学
[ 78] 科学技術―博物学
[ 79] ギリシャ・ローマの図書と図書館

●古典から学ぶ ― 中国
[ 80] 中国古典を読む必要性
[ 81] 中国哲学―儒学(孔子、孟子、荀子)
[ 82] 中国哲学―老壮(老子、荘子、列子)
[ 83] 中国哲学―墨子
[ 84] 中国哲学―仏教
[ 85] 中国哲学―朱子学と陽明学
[ 86] 歴史・人物伝―春秋左氏伝
[ 87] 歴史・人物伝―史記
[ 88] 歴史・人物伝―宋名臣言行録
[ 89] 歴史・人物伝―資治通鑑
[ 90] 弁論術―戦国策
[ 91] 弁論術―韓非子
[ 92] 弁論術―塩鉄論
[ 93] 弁論術―説苑、呂氏春秋
[ 94] 文学・逸話―漢詩、文選、唐詩選
[ 95] 文学・逸話―世説新語、蒙求
[ 96] 文学・逸話―小説・記録文学
[ 97] 文学・逸話―智嚢(策略大全)
[ 98] 工芸・美術―書道
[ 99] 工芸・美術―絵画
[100] 工芸・美術―陶磁器

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ところで、今回、このような100本動画の作成依頼に応じたのは、リベラルアーツ普及には「修得するためのカリキュラムがない」という事態に私自身、常々問題視していたからである。例えば、学校で学ぶ数学や英語の科目について考えてみよう。これらの科目には、すでに確定的なカリキュラムが存在していて、必要な知識範囲や到達すべき知識レベルが一目瞭然だ。参考書やドリルも完備しているので、独学も不可能ではない。ところが残念なことに、リベラルアーツでは定義だけでなく、知識範囲や到達すべき知識レベルがつかみどころがないので、いくら学びたいという意欲があってもどこから手をつけていっていいのかが全く分からない。

その意味で、今回の100本のリベラルアーツ動画はとりあえず、押さえておくべきリベラルアーツのポイントがざっくりとわかる構成と内容になっているといえる。

もっとも、私はリベラルアーツというのは「健全な懐疑心を持つ」という自由精神がキモと考えているので、リベラルアーツの修得に「固定的なカリキュラムを作る」というのは、一種の自己撞着な感じがして好まない方法論ではある。ただ、そうなるといつまで経っても「リベラルアーツに関心をもっても学べない」状況が解消されないので、今回の100本の動画をお勧めする訳である。



最後に私が考える「リベラルアーツの王道」のポイントを簡単にまとめたものを示そう。
1.リベラルアーツ修得の最終目標は、「各文化のコア(核心部)をつかみ、自分の言葉で、人生観、世界観を語れること」である。
2.その為のファーストステップとして、「健全な懐疑心をもつ」ことが最重要。その為の訓練には「とんでも本を読む」「良質の旅行記・滞在記を読む」ことだ。「とんでも本」とは、世評の高い本でありながら、内容が全く伴なっていない本の事をいう。

【参照ブログ】
百論簇出:(第254回目)『リベラルアーツ道の5G(五自)(その4)』

3.術(アート)でなく、人格陶冶(教養、フィロソフィー)としてのリベラルアーツとしては、「良質の人物伝」を読むことを勧める。

4.単に知識を得るだけでなく、自分の考えを練るためには、人との議論を通して考えを深めていくことが欠かせない。

今回の動画に興味をもってリベラルアーツを修得したい人が一人でも多く出てくることを期待したい。
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2 コメント

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神はサイコロ遊びをする (ああいえばこういう熱力学)
2024-03-17 07:51:43
最近はChatGPTや生成AI等で人工知能の普及がアルゴリズム革命の衝撃といってブームとなっていますよね。ニュートンやアインシュタインの理論駆動型を打ち壊して、データ駆動型の世界を切り開いているという。当然ながらこのアルゴリズムにんげんの考えることを模擬するのだがら、当然哲学にも影響を与えるし、中国の文化大革命のようなイデオロギーにも影響を及ぼす。さらにはこの人工知能にはブラックボックス問題という数学的に分解してもなぜそうなったのか分からないという問題が存在している。そんな中、単純な問題であれば分解できるとした「材料物理数学再武装」というものが以前より脚光を浴びてきた。これは非線形関数の造形方法とはどういうことかという問題を大局的にとらえ、たとえば経済学で主張されている国富論の神の見えざる手というものが2つの関数の結合を行う行為で、関数接合論と呼ばれ、それの高次的状態がニューラルネットワークをはじめとするAI研究の最前線につながっているとするものだ。この関数接合論は経営学ではKPI競合モデルとも呼ばれ、様々な分野へその思想が波及してきている。この新たな哲学の胎動は「哲学」だけあってあらゆるものの根本を揺さぶり始めている。なにかしら多神教的で日本的ななつかしさを感じさせるなにかによって。
グローバルサムライ (元自衛官)
2024-03-30 16:30:29
なにか国土全体に響き渡る勝利の女神の歌声が響き渡っておりますね。

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