わが家に保護して2年と7か月半。
推定年齢17歳11か月のクリーが、8月8日の朝
8時52分に天に還っていきました。
15年間外で過ごしてきた子が、この大往生です。
見事すぎるその一生に、ただただありがとうです。
2020年の年末、義母の葬儀が終わり浜松に戻ってすぐに
ダーリンがようやくクリーの捕獲に成功しました。
ちょうどクリスマスの時期でしたが、こんなに嬉しいプレゼントは
今までにありません。
やっとクリーと暮せるんだと、本当に感激でした。
17年半前、去勢手術をするときに
もし飼えるなら自宅に入れようとがんばりましたが
ケージを壊し、部屋中駆け回って怒り狂っていたため
当時はいったんあきらめてリリースしました。
不慣れな猫を慣らす技術も、知識も知恵も経験も、根性も時間も
とにかくすべてないないづくしでした。
でもいつか、暮らせるようになりたいと思っていました。
捕獲に成功した時クリーは左前足の肉球がずり向けていて
手をついて歩くことができませんでした。
15歳と高齢で、慢性腎不全。
ステージもかなりなもので、毛玉だらけ。
たぶん数か月の命だろうと思っていましたが
順応性が高く、胃腸や心臓が丈夫だったせいか
わが家で2年7か月半もいっしょに暮らすことができました。
点滴もさせてくれるし、強制給仕もさせてくれるほど
なついてくれました。
地域でボス猫だったクリーは、うちにきてからもやっぱりボスでした。
怖がりの子猫たちは、やたらクリーを頼っていました。
猫部屋でいがみ合う声は聞こえてこないし
たぶん、クリーがいたおかげで均衡が保たれていたんだと思います。
長毛は大変だよってよく聞いていたので
長毛を飼いたいと思っていたわけではないのです。
でもどこか憧れることもあり、
知らないと知りたくなるという心理もありました。
クリーのおかげで長毛の子と暮す経験ができました。
猫回り・・・はじめのころ本当に続けられるのか不安でした。
クリーのところが最終地点。
クリーの姿を見て、今日も1日終わったことにほっとし、
猫回りに来られた自分に小さなエールを送っていました。
自己満足と言われればそれまでですが、毎日2時間以上
続けることができるのか、自分との戦いだったと思います。
現在はもう猫回りには行っていませんが(最後の2匹が飼い猫になったため)
クリーを看取ったことで、本当にひとつの区切りがつきました。
途方にくれるほどの数の猫たちのTNRや里親探し
また餌だけあげてる人に餌のあげ方を教えていくことの難しさ
近隣のごみ拾いや片付けをして理解を求めること
負傷した猫の治療や譲渡
ホームレスさんたちとも仲良くならないと、
とても猫のことでの協力は得られません。
近所のおまわりさんたちとも顔なじみになりました。
本当にいろいろありました。
ボス猫クリーをたくさん褒めると同時に、自分自身のことも
よく頑張ったねと褒めることができました。
やり切ることができたのは、
関わった彼ら(猫たち)がみんないい子だったからです。
それぞれが、ただの猫ではなく、個々に物語を持っていて
そこで確かに生きているという事実があり
うったえてくるものがありました。
たくさんのことを教えてもらうことができましたし
中でもクリーがうちに来たのは、わたしを支えるためだったんだろうと
そんな気がしています。
年明けに何度も体調を崩しましたが、
クリーはそのたび持ち直してくれました。
具合の良くない中でも、廊下飼育してる子猫たち
(この時期部屋が足りなくて)を、しっぽで遊ばせていました。
お別れが近づいてきても、よくわたしの話を聞いていたし
お返事もしてくれました。
なんでもわかっているようでした。
間もなく、お義父さんの初盆と一周忌があり
わたしはちょっと長めに浜松を離れないといけません。
心配だったのが心臓病のりんちゃんと高齢のクリーでした。
そこを察するかのように、ぎりぎりのところまでがんばり、
眠るように旅立っていきました。
りんちゃんのときもそうですが、クリーもきれいにしてあげたいと
思っていたので、私の中に悔いを残させない絶妙なタイミングを
選んでくれました。
全部わかっているようで・・・。
みっともないくらい泣きながら、クリーをきれいに洗って
丁寧にドライヤーをかけて
その間いろんなことを思い出し、反省したり懐かしんだり
急に寂しくなったり、仕方ないよねって思ったり・・・。
クリーがきれいになるころに、心の波が穏やかになるのを感じました。
お線香を炊いて、お花で飾る時も
ありがとうありがとうの繰り返しです。
友人がクリーの旅立った日は『世界猫の日』だと教えてくれました。
最後まで出来すぎだったことに、さすがクリー
王様だったし、ボスだったし、若かりし頃は王子様だったし・・・。
現世ではもう会えないんだと思うとやっぱりまだ泣けてきます。
でもいつかきっと会えるだろうなぁとも感じているので
まだまだ頑張らないといけないですね。
しばしのお別れです。
クリーが旅立った日、産まれたばかりの子猫の相談があり
4匹引き取りました。
現状いっぱいいっぱいの状況ですが、クリーに背中を押された気がします。
自分さえよければなんて、ボス猫クリーは絶対しないだろうなと
思いますから。
今頃、向こうでみんなに出迎えられて楽しくやってるかもしれません。
わたしやダーリンのときは、一番先頭でしっかり出迎えてくれる気がします。
もし初盆中生きていたら難しい点滴をしなければいけなくて
スタッフのMちゃんに頼んでありました。
快く引き受けてくれたこと、本当にありがたかったです。
クリーのおかげで、知り合うことができた人たちも大勢いて
本当にスペシャルな子でした。