シマトたちに出逢ったのは2005年の初夏。
シマトは2005年のたぶん3月か4月に生まれたと思います。
ママ猫のキジィとシマトとマルト、
そして初めて見かけたときはもう1匹の兄弟がいましたが
その子は、すぐに交通事故で命を落としてしまいました。
2005年の8月に捕獲をし、去勢するには早すぎて心配でしたが手術をしました。
泣き叫んで威嚇して怒っていたシマトの顔を今でも忘れることができません。
当時は爆発的に増えた猫たちの避妊去勢をすることに専念していました。
餌をあげていたわけではなく、会社の通勤途中でもなく
ただTNRをしようと思った場所から
大通りを隔てた場所だったという理由です。
わたしが手術をする理由は今考えても皆無です。
ただ、当時たまたま耳にしたというか、なぜか大通りを渡って
見つけてしまったというのか・・・・。
ママ猫のキジィは、手術後は逆に大通りを渡り元々いた場所に戻っていきました。
リリースした場所にシマトとマルトは2匹で残された形になりました。
そこは、他にも強い猫たちがいたし、猫が大嫌いなおじさんが
猫たちを虐めていました。
そこに居つけて暮らせるのかと気になって、毎晩通うようになってしまいました。
少しづつ仲良くなっていきましたが、安易に触ったりできる子たちではなく
しかも当時は何カ所もの猫周りをしていたために
ゆっくりじっくり時間を取ることはできませんでした。
当時は餌だけあげる人たちも多く、未手術の猫たちの捕獲も必死でした。
他の人の餌の後片付けやウンチを拾ったりゴミ拾いして歩いていました。
今考えても、何かに取り憑かれていたかのような自分でした。
まだまだ、何が正しくてどうするのがいいのかもすべて手探りでした。
それでもそこで知り合ったのも何かの縁とずっと通っていました。
何かあったら連れて帰ろうと思っていました。
シマトは外にいるころは喧嘩ばかりしていて心配の絶えない子でした。
2011年の1月、弱っていたところを見つけて連れて帰ってきました。
寒い冬でした。
そのときから、ずっと家にいます。
家では先輩猫たちと争うこともなく、すんなりとなじんでしまいました。
上下関係が出来上がっているのか、たくさんいても
喧嘩などもほとんどなくて、みんなとてもいい子たちばかり。
わたしの自慢の子たちです。
当時のメンバーでは、ゴマちゃんだけが娘の家で頑張ってくれています。
シマトも、昨年2019年の9月15日の夜に逝ってしまいました。
あれから半年過ぎて、ようやくようやくシマトのことを書く気になったわたしです。
こうして残すということは、今までのことをひとつひとつ振り返ることでもあり
気持の整理ができないうちは、写真を見るのも苦しくて
そういう弱い自分に向き合うことも面倒臭くて逃げていたかもしれません。
いつまでもそのままだと
『ママ、どうして僕のことは書いてくれてないの?好きじゃなかったの?』
な~んて思われてはいけないので。
大好き過ぎて・・・・きっといなくなったこと認めたくなかったのかなって思います。
14歳半は普通なのか、長いのか短いのか。
ただ、わたしの中では死ぬなんて言葉とは無縁で、
この子はもっともっといっしょにいると根拠もなく思っていました。
8月の終わりに食欲が落ちて、あわてて受診して
FIPだと確定診断を受けたときは、目の前が真っ暗でした。
健康診断もきちんとしていたのに、血液検査でも異常なんてなかったのに。
シマトとの別れを覚悟する日がくるなんてと、そう考えただけで
心がつぶれそうだった記憶が残っています。
昨年の夏は、7月26日に義母が心筋梗塞で入院してからバタバタでした。
外猫のグレトが弱っていたのでそのことでも必死でした。
手元にいる病弱な子たちのこと、
秋口の子猫たちの受け入れや相談もひっきりなしです。
弱っていくシマトを見ながら、平常心を装って
大丈夫だよとずっと励ましていました。
でも今思うと、そんな無理してるわたしを励ましてくれていたのは
シマトの方だったと思います。
あのタイミングでシマトが倒れたのは・・・・
義母に自分に残された時間を譲ってくれたんだろうねと
ダーリンと話しています。
いっしょの舟に乗ったのかなと思うのです。
グレトだけどうしても保護することができなくて、何とかしたいと
毎晩シマトに話していましたから。
シマト・マルト・グレトは同じ場所で暮らすことになった、いわば幼馴染です。
ひとりぼっちで逝かせたくないと思ってくれたのかもしれません。
そうやって・・・・ずっとわたしは、シマトが逝ってしまった理由を
探していたのかもしれません。
人は痛みを軽くするために、いろんなことを考えて
ときには納得しきれない気持ちを、それでもきれいにたたんで心に納めるために
きっとこうだったに違いないとか、たぶんこうだったんだろうとか
折り合いをつけて生きているんだろうなって思います。
前に進むために・・・・。
抱きしめることができなくなってなお、いえ、よりいっそう大好きでたまらないけど
泣いてばかりいるわけにはいかないから、頑張るよ。
子猫たちのお世話も引き受けてくれる保父さんでした。
シマトがいい子なので、うちでお世話するおチビさんたちは
どの子もみんな人間も猫も大好きになって卒業していきました。
シマトのおかげで、どれほど気持ちが癒されてきたことか
また、毎日続けれらるか心配だった猫周りも
当初、シマトがいると思えば行くことができました。
『誕生日のプレゼントは何がいい?』と聞かれるたび
シマトを保護するまで、ずっと『シマト』と言い続けていました。
ありがとうね。
本当に本当にありがとうね。
自分の中に新しい自分を発見できたり、つまずいたときに
前に踏み出す1歩の勇気をもらいました。
また逢いたいから、逢った時に恥ずかしくない自分でいたいと思います。