(ウォール・ストリート・ジャーナル)米国の未公開株(PE)投資会社ブラックストーン・グループ(NYSE:BX)は
1年に満たない短期間に最新の不動産ファンドに100億ドル強もの資金を集めた。年内に20億ドルの追加調達を見
込んでいる。事情に詳しい関係筋が明らかにした。
資金調達環境が厳しい中で短い期間に巨額の新規資金を引き付けたことで、ブラックストーンは世界で最も力の
ある不動産投資家の1社としての地位を固めつつある。
ブラックストーンが今回100億ドルを調達したのは7本目の不動産ファンドで、その調達規模は08年3月に募集を
締め切った不動産ファンドで調達した金額(過去最高の109億ドル)にほぼ匹敵する水準だ。
ただし資金の集まるスピードが当時のファンドよりも速い。今年に入ってからすでに約40億ドルが集まっている
。来週には2度目の募集が締め切られる。
ブラックストーンは当初、目標調達額を100億ドル前後に設定していたが、需要の強さを考慮して今年いっぱい
募集を続けることにした。これによって20億ドルの追加調達を見込んでいる。オルタナティブ投資商品を追跡し
ているプレキンは120億ドルの調達に成功すればクローズドエンド型の投資ファンドとしては過去最大規模になる
と指摘。
ブラックストーンの広報担当者はコメントを控えた。
資金調達の成功を追い風にブラックストーンはこの1年間に最大級の商業用不動産取引に参加することもできて
いる。昨年後半には郊外にある事務所ビルのポートフォリオを11億ドルで買い取ることでデューク・リアルティ
ーと合意した。オーストラリアのセントロ・プロパティーズからは94億ドルで600カ所近いショッピングセンター
を買収した。
24日には不動産部門を率いるジョン・グレー氏が取締役会メンバーに加わったことを発表した。グレー氏は20年
前に同社に入社、05年に不動産グループの共同ヘッドに就任、直近では同グループのグローバルヘッドを務めて
いた。
ブラックストーンとは対照的に同業他社は不動産ファンドの資金調達に苦戦している。年金ファンドの多くが景
気後退期に不動産投資で巨額の損失を被って以来、高リスク・高収益の投資手法に関心を失っているためだ。
不動産ブームの時に巨額の利益を稼いだ一部のファンドも、今後の見通しを引き下げている。米金融大手モルガ
ン・スタンレー(NYSE:MS)は米国不動産ファンドの目標調達額を約10億ドルと、07年に募集した不動産ファンドの
調達額(80億ドル強)を大幅に下回る水準に設定している。
カーライル・グループを含むほかのPE会社は、23億ドルの調達を目指して一部大口投資家からの管理手数料を業
界標準の半額に引き下げることに合意した。
関係筋によると、ブラックストーンのファンドに7本目から新たに加わった投資家もいるが、6本目までの不動産
ファンドに参加した投資家の全てが7本目にも出資している。
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