国防長官のポストを追われる2カ月前、チャック・ヘーゲル氏はホワイトハウスに個人名で書簡を送った。関
係者によると、そこにはロシアのプーチン大統領を抑え込むための新たな方法や、欧州同盟国の不安解消に向け
て一歩踏み込んだ方策についての主張が展開されていた。
9月にこの書簡を送付した直後、ヘーゲル氏は政府にシリア内戦へのアプローチを明確にするよう求めたメモ
を書いた。ヘーゲル氏に近い関係者によると、同氏は優柔不断に思えた米国家安全保障会議(NSC)の態度を再
三にわたって批判してきたが、この2つのメッセージは1年にわたるフラストレーションの総仕上げとなった。
ヘーゲル氏の友人は「同氏が最も高く評価する価値の一つは明確さだ」と語る。「それはホワイトハウスが常
にうまくやってきた事ではない」
こうした欲求不満を抱えていたのはヘーゲル氏だけではなかった。政策決定の遅さや国防総省の細部まで徹底
的に介入するホワイトハウスの管理手法にいら立っていたのは、同氏の前に国防長官を務めた2人も同じだった
。
米議会関係者らは、ホワイトハウスの現在の国防チームに適応できる後任を探すのは大変な作業になると話し
ている。
オバマ政権でトルコとイランの大使を務めたジェームズ・ジェフリー氏はヘーゲル氏について、「同氏が問題
の原因ではなかったため、彼の職を解いても事態は改善しないだろう。問題は大統領の方に近いように見える」
と述べた。
オバマ政権の安保チームに所属する別のメンバーも、個人の意見としながら同様の不満を口にする。閣僚周辺
の関係者によると、これらメンバーは側近に対し、会議を1カ月ほど続けた後に何も決まらないとか、少数のホ
ワイトハウス高級補佐官により厳格に管理された会議では意見を取り入れる余地がほとんどない、などとこぼし
ているという。
ヘーゲル氏の前任者である民主党のパネッタ氏は側近に対し、NSCが提案に対して決断を下すことなく「単に
中ぶらりんにする」だけだと不満を示していた。
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