ringoのつぶやき

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【官邸キャップ 赤地真志帆の正夢?逆夢?】民主分裂、憲法96条改正、そして首相持論の… (産経)

2013年01月05日 08時43分11秒 | 政治

仕事始めの4日昼下がり。三重県伊勢市で安倍晋三首相の年頭記者会見を取材する同僚記者の報告を官邸記者クラブで待っていると、思わず睡魔に襲われた。気がつくとそこは、ちょうど1年後の官邸記者会見室。演壇には、やや早口でしゃべるあの政治家の姿があった。正夢か、逆夢か。平成25年の政界を大胆予測すると-。

  

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 「明けましておめでとうございます。今年の元旦は富士山の美しい姿を拝むことができました。国民の皆様とともに、新しい年の門出を喜びたいと思います」

 カメラのフラッシュライトを浴びながら、年頭の記者会見に臨んでいるのは、やはり安倍首相だ。第2次安倍内閣は2度目の新春を迎えていた。ぼんやりと首相の言葉に耳を傾けていたら、次の言葉で一気に目が覚めた。

 「つい先ほど、『国防軍』創設に向けた検討を、防衛大臣に指示を致したところであります」

 「国防軍」の創設は、昨年の衆院選や自民党総裁選でも訴えた首相の持論だ。しかし、その実現には、「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」と定めた憲法9条の改正が必要なはず。

「平和の党」を看板とする連立相手の公明党は憲法改正そのものに慎重だった。山口那津男代表は国防軍について「自衛隊という長年定着した名称を変える必要はない」と牽制していた。首相が公然と国防軍創設を口にすれば、公明党との連立政権にひびが入りかねない状況だった。

 だが、壇上の首相は自信に満ちあふれた表情で、国防軍創設を宣言した。そして、ここにいたるまでの苦労をかみしめるかのように、激動の1年を振り返り始めた。

   

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 昨年末の就任以来、首相が喫緊の課題に掲げたのが日本経済の再生だ。就任記者会見で首相は「強い経済は日本の国力の源だ。強い経済の再建なくして財政再建も日本の将来もない」と訴えた。

 

 その経済は、首相が金融緩和や公共事業の充実などで打ち出した「アベノミクス」で、固くなっていた国民の財布のひもがわずかずつだが緩んでいった。

 初詣でにぎわう神社のさい銭箱には、1万円札も見かけるようになった。日経平均株価も1万円台で定着した。1万円割れが続いていた民主党政権時代に比べれば、風向きは徐々に変わってきている。

 円相場は円安に振れ、輸出企業の収益改善を後押しした。防災や老朽化したトンネルなどの公共事業投資を地方企業が受注し、疲弊する地方経済にも復調の兆しが見え始めた。

 首相が掲げた「消費者物価の上昇」では、大幅な改善は見られないが、0%近辺で低迷していた昨年末よりもプラス傾向となり、規制緩和や貿易自由化など安倍政権の新たな経済政策に大きな期待が集まった。

それでも給与袋が厚くなるサラリーマンはごく一部だ。企業業績の回復でボーナスが増える人はいても、毎月の給料が増えるまでにはならず、景気回復を実感するのは難しい。

 海外旅行やセールなどお金をふんだんに使うときには財布のひもも緩むが、普段の生活は倹約が続く。

 ちまたでは「主人の会社の業績はだいぶ回復したはずなのに、なんで給料が上がらないのかしら…」と嘆く主婦も多い。

 安倍首相は2月に10兆円規模の24年度補正予算を成立させ、下旬に25年度予算案を国会に提出。4月末からの大型連休(GW)前の成立を目指すシナリオを描いた。

 給料が上昇し始めれば内閣支持率は高止まりするはず。しかし、安倍政権への期待とは裏腹に、支持率は思うように上向かなかった。

   

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 1月末に始まった通常国会は大荒れとなった。海江田万里代表率いる民主党は、惨敗した衆院選のリベンジに燃え、与党との対決路線にカジを切った。輿石東参院議員会長の号令のもと、野党が多数を占める参院で「安倍カラー」の法案を次々とブロックするそぶりを見せ、首相に揺さぶりをかける。

政権内でも、肝いりで起用したベテラン閣僚にスキャンダルが出て、4月には民主党が参院に問責決議案を提出。野党が多数の参院で決議案は可決した。野党はここぞとばかりに、衆参両院での審議拒否戦術に打って出た。

 政府が提出したいじめ対策のための法案などが宙に浮く中、じりじりと夏の参院選が近づいてきた。「決められない政治」の再現に内閣支持率は低下を始めるが、民主党が主導する審議拒否にも国民の批判が出て、野党も政党支持率を落としていった。

 危機感を強めた日本維新の会やみんなの党はGW明けに審議復帰を宣言し、国会での野党共闘は崩壊した。一方、徹底抗戦を続ける民主党内からは、公然と執行部批判が吹き出し始めた。

 参院選を前に民主党の一部は党を離れ、維新など他の野党に合流。野党による選挙協力はもろくも崩れ去り、1人区などで各党が個別に候補を擁立する乱戦が避けられなくなった。

昨年末に合意した衆院の議員定数削減では、審議拒否を続ける民主党を尻目に、自民、公明、維新や中小政党などが475の衆院定数を95削減し、380議席とした上で3~5人区の中選挙区制に改める改正案で合意し、法案が成立。2大政党に有利だった小選挙区制が廃止されたことで政党の群雄割拠に拍車がかかり、政局は政界再編含みで一気に流動化し始めた。

  

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 ここで首相は乾坤一擲の大勝負に打って出る。憲法改正要件を定めた96条の改正を公約の前面に打ち出し、参院選へと突入した。

 迎えた7月21日の投開票日。野党側の共倒れにも助けられ、自民党は31ある1人区をすべて制するなど圧勝。比例代表を含めて計62議席を獲得した。

 自公両党の合計は非改選を含め127議席で242議席ある参院の過半数(122議席)を上回り、衆参両院のねじれは解消した。

 46人が改選を迎えた民主党は17議席と惨敗し、党が分裂。逆に維新が23議席を獲得するなど憲法見直しを掲げた野党が躍進した。

 内閣支持率は発足当初の55・0%から63・7%に上昇。首相は党首会談の開催を呼びかけ、維新、みんななどが加わった新たな連立政権の樹立で合意した。これを受けて9月には防衛相に安全保障に精通したベテランを起用し、女性閣僚を5人に増員するなどの内閣改造が断行された。

そして迎えた秋の臨時国会。衆参両院それぞれの総議員の3分の2以上と定めている改憲の発議要件を「過半数」に緩和する96条の改正案が、見直しを支持する野党の賛同も得て可決、成立。昭和22年5月の施行から一度も改正されてこなかった現行憲法が、衆参両院それぞれの3分の2以上の賛成を得て初めて改正されることになった…。

  

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 ここで携帯電話が鳴って、夢から目が覚めた。伊勢市での安倍首相の記者会見の連絡だった。

 思い起こせば、前回の安倍政権から始まってここ6代の首相は、翌年の年頭記者会見まで首相の座にとどまることができず、約1年で交代を繰り返してきた。

 安倍首相は、夢で見たように、来年1月に2度目の年頭記者会見を迎えることができるのか。激動の25年政局の幕がまもなく切って落とされる。



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