野々池周辺散策

野々池貯水池周辺をウォーキングしながら気がついた事や思い出した事柄をメモします。

このMRJ記事は参考になった

2022-12-30 06:35:55 | その他
2015年11月11日、三菱航空機が開発した「MRJ」の初飛行はテレビで大々的に放送された。その後紆余曲折あって、2020年10月23日に開発凍結と報道された。日経記事「三菱重工が国産ジェット凍結 開発遅れ、需要も低迷」によると、「相次ぐ設計変更などによる度重なる納期延期に、新型コロナウイルスに伴う航空需要の低迷が重なり、収益化は当面難しいと判断した」と報道されていた。MRJ開発失敗を三菱航空機の技術開発能力やマネジメント能力の欠如として一般的には分析され報道された。しかし、同じ領域に分類される旅客機がカナダやブラジルで開発され商業用として成功しているのも関わらず、先の大戦では幾多の航空機を開発した日本、その最右翼企業と称される三菱が設計ミスを本当に何度も繰り返すのか少々疑問があった

たまたま見つけた佐々木俊尚さんのツイッターに「たいへん長いが読み応えあった。結論としてはこういうことのよう>「三菱航空機というメーカーの力というより『日本という国家が、航空機の安全を国際的に担保する能力に欠けている』ということなのです」/三菱MRJはなぜ失敗したのか|ブースカちゃん」というのがあった。その記事が「三菱MRJはなぜ失敗したのか
★国交省航空局(JCAB)の問題
日本で製造する航空機なので、JCABが設計や製造工程を審査し、それにお墨付きを与えたうえで、試作機が製造されているはず。その試作機をアメリカに持ち込んだところ、FAA(アメリカ連邦航空局 )は「この設計では型式証明を認めない」とした。MRJがFAA型式証明の取得に至らず挫折した理由は、三菱航空機というメーカーの力というより、「日本という国家が、航空機の安全を国際的に担保する能力に欠けている」ということ。
★★「結論のようなもの」
★日本における「国家プロジェクト」のあり方に疑問
MRJは「国家プロジェクト」で三菱航空機に委ねられた。経産省がプロジェクトをぶち上げたとき、国交省(航空局)による型式証明の能力や、アメリカFAAの証明を取得するためのプロセスについて検討されたとは、まったく思えない。・・日本の旅客機開発に困難をもたらす最重要課題は、こうした「先端技術」ではなく、国家による「認証制度」運用の問題。経産省/NEDOは市場や基礎研究のところだけを見て絵を描き、三菱はそれを足掛かりにして事業化に取り組んだが、肝心の型式証明を手掛ける国交省は「蚊帳の外」だった。
★技術力と国力
世の中では、MRJの失敗を三菱航空機の「マネジメント能力」や「技術力」の問題だとして、そこから教訓(?)を説いている記事などもあるようだが、
しかし、対応するべきプロセスや基準は、型式証明を発行する行政側が決定して提示するものであって、そこが抜け落ちている日本という国において、その責任を企業側に負わせることはできない。航空機の開発現場でマネジメントの実務を経験した人でも、旅客機の型式証明というプロセスを実体験として知っている人は、日本にはいない。三菱航空機では、この問題に対応するべくボンバルディアなどから人を呼び寄せていたが、人を呼んで対応すべきだったのは、審査を受ける三菱の側ではなかったのではないか。

この記事を読みながら、国家間の認証を取得するのは各国の利益が絡むだけに、「日本という国家が、航空機の安全を国際的に担保する能力に欠けている」や省益もあったようだ、ということが理解できた。MRJが成功すればその裾野が広いだけに自動車産業につぐ新しい産業の形が日本に根付くと、当時の新聞紙上では大いに期待され、落ち目だった神戸の造船業界がこぞって航空機業界に参入した記事を思いだす。日本は、今、欧州を発端とする脱炭素だとか省エネだとかで産業が大きく振れているが、ウクライナ戦争後、欧州では天然ガスの調達に支障が生じている上、再生可能エネルギーが伸び悩んでいる。電力価格の高騰を受け、欧州の覇者ドイツのショルツ政権は石炭の活用を検討せざるを得なくなった。 欧州は国家の利益を優先に元に戻しつつある。・・さ~どうする!

思い出してみると、初飛行したのをテレビ局が長い時間をかけて放送していたのを記憶している。なにせ、「MRJ」は戦後日本初のプロペラ旅客機「YS11」以来、約半世紀ぶりとなる国産旅客機だから、日本の航空機業界が復活したと思った。離陸・着陸時の様子はUSTREAMで生中継配信されたが、かなりの数の視聴者が訪問し、ソーシャルストリームにはひっきりなしの投稿あり。モータースポーツ生中継時のソーシャルストリームにも多くの投稿が流れるが、その比ではないほどMRJへの投稿は読む暇もないほど多かった。なかにはネット投稿にありがちな意地悪いものもあるが、それはホンの一握りで、称賛や期待の声が殆どで、良かったと涙する町の声も多い。初飛行寸前9時15分の三菱重工の株価は前日比27円(4.4%)高の641円50銭まで急上昇した。

ところが、2020年10月23日に開発凍結と報道された。日経記事「三菱重工が国産ジェット凍結 開発遅れ、需要も低迷」によると、「相次ぐ設計変更などによる度重なる納期延期に、新型コロナウイルスに伴う航空需要の低迷が重なり、収益化は当面難しいと判断した」利益を当面生まないMRJへの株主の目線は激しく、業績悪化の一因となっていた事業の凍結報道に、三菱の株価は逆に上昇し、23日の株価は前日比+146(+6.56%)の2,370.0円となった。

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