保健福祉の現場から

感じるままに

ビジョン検討会と需給分科会

2017年01月19日 | Weblog
M3「医師確保対策は“未定”、医療計画の「作成指針」医療部会が了承、ビジョン検討会の報告書待ち」(https://www.m3.com/news/iryoishin/494941)。<以下引用>
<社会保障審議会医療部会(部会長:永井良三・自治医科大学学長)は1月18日の会議で、2018年度から開始する第7次医療計画の「作成指針」案を、異論が出たものの、了承した。厚生労働省は、1月下旬から2月にかけてパブリックコメントを求め、今年3月末までには「作成指針」を都道府県に対して提示する予定。「作成指針」案は2016年12月に厚労省の検討会がまとめた。異論が出たのは、医師をはじめとする「医療従事者の確保等」についての見直し方針が未定である点だ。厚労省は、今年度内に予定されている「新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会」の最終報告を踏まえ、「医療従事者の需給に関する検討会」「医師需給分科会」で議論する方針。厚労省医政局地域医療計画課長の佐々木健氏は、「医療従事者の確保等については、状況によっては間に合うものは記載するが、場合によっては(作成指針の提示が)二段階になることもあり得る」と説明した。現実的には、医師需給分科会等の本格的議論は、4月以降のずれ込むことが想定される。厚労省は、18日の医療部会で、ビジョン検討会の2016年12月の「中間的な議論の整理」を説明した。前回の医療部会では、ビジョン検討会の位置づけや医師需給推計をめぐる議論で異論が続出したが、今回も検討スケジュールが医療計画の「作成指針」に間に合わずに遅いこと、「中間的な議論の整理」は総論的で具体性に欠ける上、医師の需給・偏在対策については、医師需給分科会等の「中間取りまとめ」と大差ないとの批判が相次ぎ、早急に医師需給分科会等の議論を再開すべきとの意見が出た。全日本病院協会会長の西沢寛俊氏は、「都道府県が一番困っているのは人の問題。医療計画を立てるに当たっては、この点を書き込むことが必要」と指摘し、ビジョン検討会を待たずに、医師需給分科会等で議論をまとめて、作成指針に盛り込むべきと主張した。日本医師会副会長の中川俊男氏も、「この中間的な議論の整理を出すために、医師需給分科会等の議論を“塩漬”にしたのだったら、本当に異常事態だ」と前回会議と同様に問題視。さらに、「医師需給分科会等の議論を、総論的にぼかした内容であると受け取れるが、それは危険。“屋上屋”を重ねた議論している状況を踏まえると、アンケート結果の分析スタンスが非常に不安だ。逆の方向に結論を持っていく可能性もある」との懸念も呈した。中川氏が言及した「アンケート」とは、ビジョン検討会の議論の関係で実施した約10万人の医師対象の「医師の勤務実態及び働き方の意向等に関する調査」。「逆の方向」とは、2年続けて医学部新設が実現した現状を踏まえ、「医師不足」の問題が、「医師の偏在」ではなく、「医師の絶対数の不足」の議論になるという意味だ。厚労省医政局医事課長の武井貞治氏は、10万人調査の投函締め切りは2016年12月21日だったが、「まだ少しずつ戻ってきている状況。なるべく早く集計して、ビジョン検討会で議論してもらう。なるべく早くビジョン検討会の報告書をまとめ、次の議論につながるよう準備を進めている」と説明。調査の集計についても、「当然、科学的な分析を行い、決して恣意的にはしない」と理解を求めた。1月18日は、医療法改正案についても議論。ビジョン検討会、荒井奈良県知事は支持したが……厚労省がビジョン検討会の「中間的な議論の整理」を説明したのに対し、「このドキュメントは、大変優れている」と、唯一評価したのが、奈良県知事の荒井正吾氏。「今の問題意識はがんばっている人にしわ寄せがいく状況」とも指摘し、その改善が必要だとした。「中間的な議論の整理」に欠けている点としては、「学職接続」という視点から、「(卒後の)働き方にも影響する医学教育にももっと踏み込んでもいいのではないか」と提案した。これに対し、その他の委員からは批判的な意見が相次いだ。口火を切ったのは、全国自治体病院協議会会長の邊見公雄氏。医師需給分科会等の「中間取りまとめ」と内容がほとんど変わっていないと指摘、医師需給分科会等で、「医師の勤務実態及び働き方の意向等に関する調査」の担当者を呼んで、並行的に議論していくことを求めた。続いて、日本精神科病院協会会長の山崎学氏も、「これを読んでも、何を言っているのかが分からない」「現場の人なら、今さら言われなくても当然と思っていること(が記載されている)」などと述べ、「ここに欠けているのは、財源論。次の診療報酬改定などで、国としてどう財源を確保するか、どう政策を展開していくかが書かれているなら分かるが、『こうあるべきだ』などと、総論的なことばかりが書かれていて、何も問題は解決しない」と指摘した。NPO法人ささえあい医療人権センターCOML理事長の山口育子氏も、「耳障りはいいかもしれないが、総論的であり、医師需給分科会等で議論してきた内容を、少し総論的に書いただけ。これまで待っていた意味があるのか。非常に心細く、なぜ待っているかが分からない状況になっている」と問題視し、早期に議論を深めることが必要だとした。「根本的な危機感、共有を」、中川日医副会長 「邊見委員、山崎委員、山口委員に全面的に賛成」と続いたのが、中川氏。前述のように、「医師の勤務実態及び働き方の意向等に関する調査」の分析方法への懸念を呈した上で、厚労省自身の「中間的な議論の整理」への評価を質した。「ビジョン検討会の議論をそのまま書いたのか、まとめに手伝ったのか、すばらしい内容だと思っているのか」(中川氏)。武井医事課長は、「事務局としては、いろいろな面でサポートしている」と述べたものの、その善し悪しについての直接的な判断は、「事務局としては難しい」と回答、「ビジョン検討会の報告書をなるべく早くまとめ、次の検討につなげていきたい」と述べた。中川氏が改めて医師需給問題に関する全体のスケジュールを質すと、武井医事課長は、「直面している課題については、今から来年度にかけて議論を進めていく。中長期的な議論の節目は、2020年度に来るので、それに間に合うよう検討する」と回答。「直面している課題」とは、医師の偏在対策。医師需給分科会等の「中間取りまとめ」では、臨時定員増について2017年度に切れるものは当面延長する方針を決定した。2020年度以降の医学部定員の在り方は今後の検討課題だ。中川氏は、長年日医として働きかけ、ようやく開催されたのが医師需給分科会等であるとし、「早急に医師偏在対策をまとめる予定だった」と指摘、議論の開始や進行が遅れている間に医学部新設が決まった現実を踏まえ、「根本的な危機感をここで共有しなければいけない」と求めた。大病院の「在宅医療」への参入、けん制すべきとの意見も 医療計画の「作成指針」案は、「医療計画の見直し等に関する検討会」で議論してきたもの。計画期間は現行の5年から6年に変更。「5疾病5事業、並びに在宅医療」という基本は変わらず、都道府県はこれらについて医療計画への記載が求められる。そのほか、高齢人口の増加を踏まえ、ロコモティブシンドローム、フレイル、肺炎、大腿骨頚部骨折などについても、対策を講じる。そのほか、地域医療構想をはじめ、関係する他の諸計画との関係性の整理、医療計画の実効性を担保するための評価指標の見直しなど、さまざまな事項が「作成指針」案に盛り込まれている。「作成指針」案に対しても、幾つか提案や意見が出た。中川氏は、「医療機能の役割分担」「在宅医療」の関連で発言。「大学病院あるいはその分院、地域の基幹となる公立病院等が、在宅医療をやる動きが出てきている。医療の機能分化と連携を考えると、役割が違う。“草刈り場”のように、在宅医療に取り組むことは、地域包括ケアシステムの構築と逆行する」と指摘。医療計画上では「在宅医療」の整備目標などを定めることになっている点を踏まえ、「地域医療構想会議で議論し、公立病院等が関わらないと在宅医療はうまく行かないとの結論になった地域を除いては、公立病院等は在宅医療には慎重になるべき」との趣旨を「作成指針」に記載するよう求めた。ただし、この点については、荒井氏と邊見氏は、地域によって実情が異なることから、各地域の対応に任せるべきとし、記載には反対。そのほか、邊見氏は今後、取り組むべき課題として、「5疾病5事業」だけでなく、肺癌や誤嚥性肺炎の増加などを踏まえ、呼吸器疾患を挙げたほか、在宅医療を加え、「6事業」にすることが次回の見直しで必要だとした。連合総合政策局長の平川則男氏は、CTやMRIの配置の在り方について質問。検討会では、日本では設置台数が多いことを問題視する声が出ていた。本件については今後、研究を行い、あるべき姿を議論するとされている。>

平成28年度全国厚生労働関係部局長会議(http://www.mhlw.go.jp/topics/2017/01/tp0117-1.html)の医政局資料(http://www.mhlw.go.jp/topics/2017/01/dl/tp0117-k01-02-02p.pdf)p22「新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会」で「今後、医師の働き方・勤務状況に関する全国的な調査研究も実施し、1月頃の議論に提供。(研究班代表者:井元構成員) ◆ この調査結果も踏まえ、本年度中を目途にとりまとめ予定」、p23「「医師の勤務実態及び働き方の意向等に関する調査」の概要」で「平成29年1月~2月頃 ビジョン検討会に報告予定」とある。医師需給分科会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=318654)の中間とりまとめ(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000120207_6.pdf)に続いて、「新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=384675)から中間的な議論の整理(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000146856.html)が出され、ヒアリング(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000148832.html)が行われている。医師需給分科会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=318654)の最終とりまとめはどうなるのであろうか。しかし、需給分科会は医師だけではない。看護職員需給分科会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=338805)では平成28年6月10日に「看護職員の需給推計方法(案)」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000126968.pdf)が示され、当初の厚労省スケジュール(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000117664.pdf)では平成28年8月第3回会合「需給推計方法を確定後、都道府県の需給推計ツールを策定し、各都道府県で需給推計を実施。」、平成28年10月第4回会合「都道府県推計の集約」とあったが、スケジュールが大幅に遅れている。厚労省資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000138746.pdf)p9「2025年の医療機能別必要病床数の推計結果(全国ベースの積上げ)」は看護師の需給推計に大きく影響するのは間違いないであろう。新たな医療計画は来年度策定である。

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