保健福祉の現場から

感じるままに

在宅医療と保健所

2012年08月22日 | Weblog
平成24年度診療報酬改定資料(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000021ei1-att/2r98520000021ele.pdf)p47~の在宅医療の促進、p51~の在宅緩和ケア等の促進、p55~の在宅の療養に係る技術・機器等の評価、p58~の在宅医療に用いる機器の評価体系の見直し、p60~の看取りに至るまでの医療の充実、p77~の在宅薬剤管理指導業務の一層の推進、p80~の医療ニーズの高い患者への対応、p84~の介護保険の訪問看護との整合、p102~の医療と介護の円滑な連携、p112の医療用麻薬処方日数(14 日)制限の緩和など、在宅医療関連の評価が拡充されている。中でもp47の「機能を強化した在支診・在支病等への評価」は注目である。複数の医療機関が連携する場合は、「イ 患者からの緊急時の連絡先の一元化を行う、ロ 患者の診療情報の共有を図るため、連携医療機関間で月1回以上の定期的なカンファレンスを実施、ハ 連携する医療機関数は10未満、ニ 病院が連携に入る場合は200床未満の病院に限る」で、「イ 所属する常勤医師3名以上、ロ 過去1年間の緊急の往診実績5件以上、ハ 過去1年間の看取り実績2件以上」の要件を満たすことも可とされたからである。既に管内では、民間診療所と公的病院の連携による機能強化型在支診・在支病の届出が出ている。それぞれの地域の在宅医療において、医師のグループ化+多職種連携が取り組まれているであろうが、機能強化型の在支診を目指してもよいのではないか。県内他地域においても動きが出ているようである。以前、診療所による個別の往診対応で何が問題か、聞かれたことがあるが、例えば、①急変時の対応が円滑にできるか、②バックアップする病院・施設との調整が円滑にできるか、③在宅麻薬管理や胃ろうの管理が適切に行えるか、④多職種(ケアマネ、訪問看護、訪問介護、訪問薬局、訪問リハビリ、訪問歯科、訪問栄養等)と情報共有したチームケアを円滑に提供できるか、⑤診療材料を効率的に購入・管理・提供できるか、などを勘案した場合、地域の実情に応じた在宅医療システム(主治医・副主治医、多職種チーム、バックアップ病院・施設)の構築が必要と感じる。そういえば、先日の厚労省「在宅医療の実施状況及び医療と介護の連携状況調査」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002djkw-att/2r9852000002djvq.pdf)でも、24時間対応に負担を感じている結果であり、また、厚労省資料(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r985200000105vx-att/2r98520000010l2k.pdf)p29に出ているように、在宅医療提供上の課題として、在宅療養支援診療所では「緊急時の入院・入所受け入れ病床の確保」を挙げる割合が最も高い。日本医師会が、「2012年度診療報酬改定についての調査結果報告」(http://dl.med.or.jp/dl-med/teireikaiken/20120801_1.pdf)p7の「診療所在支診の届出をしない理由」では「24時間訪問看護の体制を整備できない」65.3%で最多、p8の「診療所在宅医療-連携-」では、「近隣に医療機関はあるが、頼みにくい」29.4%、「近隣の医療機関が在宅医療を行っているか不明」21.6%、p10では、「日本医師会は、中小病院(在支病以外も含めて)と診療所(在支診以外も含めて)が地域の実情にあわせて効果的に在宅医療を提供できるよう、さらにその連携を推進していく。」とある。やはり、それぞれの地域において、医師会、病院、訪問看護事業所、行政等がスクラムを組んで、新たな医療計画での厚労省通知(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/iryou_keikaku/dl/tsuuchi_iryou_taisei1.pdf)p138~の「在宅医療の体制構築に係る指針」を踏まえ、地域全体で協議すべきであろう。厚労省通知(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/iryou_keikaku/dl/tsuuchi_iryou_taisei1.pdf)p138~の「在宅医療の体制構築に係る指針」において、保健所は、「地域保健法第4条第1項の規定に基づく地域保健対策の推進に関する基本的な指針」(平成6年厚生省告示第374号)の規定に基づき、また、「医療計画の作成及び推進における保健所の役割について」(平成19年7月20日健総発第0720001号健康局総務課長通知)を参考に、医療連携の円滑な実施に向けて、地域医師会等の関係団体と連携して医療機関相互の調整を行う等、積極的な役割を果たすこと。」とされるとともに、7月31日付「地域保健対策の推進に関する基本的な指針の一部改正について」告示(http://wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T120803H0010.pdf)の「3.医療、介護、福祉等の関連施策との連携強化」では、「(1)住民のニーズの変化に的確に対応するためには、地域における保健、医療、介護、福祉等とそれぞれの施策間での連携及びその体制の構築が重要であること。このため、市町村は、住民に身近な保健サービスを介護サービス又は福祉サービスと一体的に提供できる体制の整備に努めること。(2)都道府県及び保健所(都道府県が設置する保健所に限る。)は、広域的な観点から都道府県管内の現状を踏まえた急性期、回復期及び維持期における医療機関間の連携、医療サービスと介護サービス及び福祉サービス間の連携による地域包括ケアシステムの強化に努めることが必要であること。(3)医療機関間の連携体制の構築においては、多くの医療機関等が関係するため、保健所が積極的に関与し、地域の医師会等との連携や協力の下、公平・公正な立場からの調整機能を発揮することが望まれること。なお、保健所は、所管区域内の健康課題等の把握、評価、分析及び公表を行い、都道府県が設置する保健所にあっては所管区域内の市町村と情報の共有化を図るとともに、当該市町村と重層的な連携の下、地域保健対策を推進するほか、介護及び福祉等の施策との調整についても積極的な役割を果たす必要があること。」とある。ここに示されるように、地域の在宅医療システム、医療介護連携において、保健所には重要な役割がある。病院、診療所、訪問看護事業所、訪問介護事業所、薬局など、経営母体が異なる施設の面的な調整には行政が関わる意義を感じる。無論、住民への啓発も重要である。厚労省から「在宅医療・介護連携において関係者にお願いしたい役割」(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/zaitaku/dl/h24_0711_03.pdf)として、「保健所等を通じた市町村への技術支援(医療(・介護)資源の可視化等)」が示されているが、各保健所のホームページで在宅医療関連を検索してみたところ、「在宅療養のしおり」(http://www.pref.yamanashi.jp/ch-hokenf/documents/shuuseisiori.pdf)、「在宅緩和ケア推進のてびき、在宅緩和ケア地域連携パス活用マニュアル」(http://www.pref.fukushima.jp/kenpokuhofuku/new/tebiki.htm)、「在宅緩和ケア地域連携パス」(http://www.pref.fukushima.jp/kenchuhofuku/zaitakukanwa/zaitakukanwamokuji.htm)、「在宅療養支援のための手引き」(http://www.pref.yamagata.jp/regional/murayama_bo/living/welfare/9301023zaitakushien.html)、「医療福祉連携のための福祉施設実態調査」(http://www.pref.yamagata.jp/regional/syonai_bo/living/welfare/7337021hukusisisetutyousa.html)、「訪問看護ステーション情報・圏域内退院連絡票」(http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/tthc/eisei/houkan_st/index.html)、「在宅医療・介護連携推進協議会」(http://www.city.chiyoda.lg.jp/service/00112/d0011216.html)、「在宅療養児支援のための医療・保健・福祉の連携手帳」(http://www.pref.kyoto.jp/yamashiro/ho-kita/1334730090812.html)、「緩和ケアに関する研修会等情報集約システム」(http://www.pref.shimane.lg.jp/izumo_hoken/gurupubetuosirase/izinanbyou/kanwakea.html)、「医療・介護の社会資源情報」(http://www.pref.shimane.lg.jp/hamada_hoken/iryoukaigonosyakaisigenjyouhou/h21iryoukaigonosyakaisigenjyouhou.html)、「生活療養ノート」(http://www.pref.shimane.lg.jp/masuda_hoken/tiikiriha/ryouyouno-to.html)など、様々な取り組みが行われている。具体的ノウハウの普及が急務と感じるところである。
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