保健福祉の現場から

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新公立病院改革プランから新公的病院改革プランへ

2017年07月20日 | Weblog
メディウォッチ「公的病院や地域医療支援病院、改革プラン作成し、今後の機能など明確に—地域医療構想ワーキング(1)」(http://www.medwatch.jp/?p=14856)。<以下引用>
<日赤や済生会などの公的病院、国立病院、地域医療支援病院、特定機能病院などは、▼自院が地域で担う役割など▼今後提供する医療機能(4機能ごとの病床の在り方や診療科などの見直し方向)▼今後提供する医療機能に関する具体的な数値目標(診療実績や地域連携、経営関連項目)―などを記載する「公的医療機関等改革プラン」(仮称)を近く策定し、地域医療構想調整会議に報告し、地域医療構想と齟齬があれば改革プランを修正することとする—。19日に開催された地域医療構想に関するワーキンググループ(医療計画等の見直しに関する検討会の下部組織以下、ワーキング)では、このような方針を了承しました。厚生労働省は近く、改革プラン作成のためのガイドラインをまとめ、公的医療機関などに通知する考えです。公的病院や地域医療支援病院、特定機能病院などが改革プランを作成 2025年における地域の医療提供体制を描いた地域医療構想(高度急性期・急性期・回復期・慢性期などの病床数などを明示)を実現するために、地域医療構想調整会議(以下、調整会議)で機能分化・連携の促進に向けた議論が進められていますが、厚労省は、まず▼救急・災害医療などの中心的な医療機関▼公的医療機関や国立病院▼地域医療支援病院・特定機能病院—などが担う医療機能を固めることから初めてはどうかとの考え方を示しています。まず地域の中核となる医療機能をどの病院が担うのかを固め、次いで他の医療機関がそれらとどう連携し、機能分担していくことが近道と考えられるためです。このうち公立病院については、総務省が2015年度または16年度中に「新公立病院改革ガイドライン」に沿った改革プラン(新公立病院改革プラン)を策定することが求めており、地域医療構想と、各公立病院の役割とを両睨みしながら、機能分化に向けた議論を進めていくことになります。この点についてワーキングや、親組織である「医療計画等の見直しに関する検討会」などでは、「公的病院も、地域において重要な役割を果たすことが期待されている。公立病院と同様に、今後の機能などを明確にした改革プランを作成すべきではないか」との指摘が出されていました。例えば、赤十字病院や済生会病院などです。厚労省はこうした指摘を踏まえ、公的病院や地域医療支援病院、特定機能病院など(まず機能分化に関する議論を始めることが妥当な医療機関)においても「改革プラン」を作成してもらう方針を固め、ワーキングに提案しました。改革プランの作成が求められるのは、▼公的医療機関(日本赤十字社、済生会、厚生農業協同組合連合会などが開設する医療機関)▼共済組合、健康保険組合、地域医療機能推進機構(JCHO)が開設する医療機関▼国立病院機構、労働者健康安全機構が開設する医療機関▼地域医療支援病院▼特定機能病院—です。地域医療支援病院や特定機能病院も地域で重要な役割を果たすことが期待されるとともに、機能分化に向けて都道府県知事などが強力な権限行使を行えることから、作成対象に含まれたものです。個別医療機関が地域の状況を十分に踏まえた改革プランを作成することが重要であり、例えば「●●団体で1つの改革プラン」とすることは好ましくありませんし、また後述するように「修正が求められる」可能性があります。なお、これら以外の、例えば社会医療法人の開設する医療機関などには改革プラン作成義務こそありませんが、厚労省は「自主的に今後の方針を検討し、地域の関係者との議論を進めることが望ましい」との考えを示しています。改革プランには今後の機能や、診療実績に関する数値目標なども記載 改革プランには、▼基本情報(医療機関名や開設主体など)▼現状と課題(構想区域および自院、それぞれの現状と課題)▼今後の方針(自院が今後、地域で担うべき役割など)▼具体的な計画(自院が今後提供する医療機能と、その具体的な数値目標)―を記載することになります。具体的な計画のうち「自院の今後提供する医療機能」については▼4機能ごとの病床の在り方▼診療科の見直し―など、「具体的な数値目標」については▼病床稼働率、手術室稼働率などの診療実績▼紹介率、逆紹介率など地域連携の状況▼人件費比率などの経営関連項目—などの記載が求められます。このうち経営関連項目について今村知明構成員(奈良県立医科大学教授)からは「公立病院では経営の厳しさを背景に改革プラン作成が求められ、経営関連の目標値などを記載することになっている。しかし今般の公的病院の改革プランは地域医療構想実現を目指すもので、経営関連の目標値設定は自由記載などとすべきではないか」との指摘がありました。公立病院の改革プランは、そもそもが経営改善のためのプランであり、そこに「地域医療構想の実現」という要素が後から追加された(新改革プラン)という経緯があるためです。しかし、中川俊男構成員(日本医師会副会長)や伊藤伸一構成員(日本医療法人協会会長代行)らは「公的病院も地域医療構想実現に向けたプレイヤーである。経営状況が厳しいのであれば出処進退を明らかにする必要がある」と述べ、経営関連の目標値設定は「全公的病院に義務付けるべき」との考えを示しました。また厚労省医政局地域医療計画課の佐々木健課長は、「調整会議では地域医療介護総合確保基金の配分に関する議論も行う。公的病院が基金活用を考える場合には、その経営状況も重要な検討要素となる」と、目標値設定の重要性を説いています。どのように目標値を設定し、それを改革プランに記載するかなどは、今後の厚労省通知(ガイドライン)を待つ必要があります。調整会議の協議と齟齬があれば、改革プランは修正が求められる 改革プランの策定に当たっては地域の関係者(連携医療機関や住民など)の意見も踏まえて、「構想区域ごとの医療提供体制と整合的」な内容とすることが重要です。改革プランは調整会議に提示することが求められ、仮に調整会議の協議の方向と齟齬が生じた場合には「策定した改革プランを見直す」ことを厚労省医政局地域医療計画課・在宅医療推進室の伯野春彦室長は明らかにしています。ここで公的病院は、いつまでに改革プランを作成し、調整会議に提示しなければならないのかが気になります。厚労省は、秋の調整会議(10-12月)から「次年度の地域医療介護総合確保基金の活用・配分に関する議論を始める」よう求めており、仮に「来年度(2018年度)分の基金活用の前提として、改革プランの策定が求められる」こととなれば、今秋(2017年9月頃)には改革プランを策定しなければなりません。この点について伯野在宅医療推進室長は「各公的病院には、急ぎ改革プランを作成してもらう」と述べるにとどめており、具体的な期限は今後、調整されることになります。厚労省は、近く改革プラン作成に向けた「ガイドライン」を通知する構えです。>

メディウォッチ「急性期の外科病棟だが、1か月に手術ゼロ件の病棟が全体の7%—地域医療構想ワーキング(2)」(http://www.medwatch.jp/?p=14863)。<以下引用>
高度急性期・急性期と報告している外科病棟において、全身麻酔手術が1か月にゼロ件のところが360病棟(約18%)あり、うち148病院(全体の約7%)では手術そのものがゼロ件であった—。19日に開催された地域医療構想に関するワーキンググループ(医療計画等の見直しに関する検討会の下部組織以下、ワーキング)では、こういった分析結果が厚生労働省から報告されました。今後、病床機能報告の4機能それぞれに「その機能らしい」医療内容項目を複数設定し、それら「すべてに該当しない」病棟については、地域医療構想調整会議で機能を確認してはどうかといった方向が示されています。また、医療内容だけでなく、「入院患者・退院患者の経路」を病棟機能の指標とできないかという研究内容もワーキングに報告されています。各機能に代表的な診療行為などを設定し、機能判断の目安とできないか 一般病床・療養病床をもつ病院・有床診療所は、毎年、自院の各病棟が▼高度急性期▼急性期▼回復期▼慢性期―のいずれの機能(現在および将来)を持つのか、さらに現在の構造設備や診療実績はどうなっているのか、というデータを都道府県に報告します(病床機能報告)。この報告内容と、すでに都道府県策定した地域医療構想(2025年における4機能ごとのベッド数など)とを比較しながら、地域のあるべき医療提供体制を段階的に構築することが求められています。現在、各病院が報告する機能については、一部、診療報酬などとの紐づけが行われていますが、定性的な基準しか定められていません。ワーキングでは、▼高度急性期▼急性期▼回復期▼慢性期—の各機能について、より明確な判断指標はないか、といった点に着目した検討も行っています。いわば「定量的基準」を探る検討ともいえるかもしれません。例えば5月10日の第4回会合では、「高度急性期を選択する循環器内科の中には、経皮的冠動脈形成術を1か月に1件も実施していないところが103病棟ある」ことが、6月2日の第5会合では、機能ごとの人員配置状況などが報告されています。19日の会合では、新たに次のような分析結果が報告されました。(1)急性期と報告している病棟(1万1459病棟)のうち、895病棟・7.8%では「幅広い手術」(全身麻酔手術や人工心肺を用いた手術など)に、1572病棟・13.7%では「がん・脳卒中・心筋梗塞などへの治療状況」に、2170病棟・18.9%では「救急医療の実施状況」に、610病棟・5.3%では「全身管理の状況」に、1項目も合致していない (2)高度急性期・急性期と報告している外科病棟(2031病棟)のうち、360病棟・17.7%では全身麻酔手術が1か月にゼロ件で、うち148病棟・7.3%病院では手術そのものを1か月に1件も実施していない (3)高度急性期・急性期と報告している呼吸器内科病棟(681病棟)のうち、40病棟・5.9%では酸素吸入を1か月に1件も実施せず、また31病棟・4.6%では呼吸心拍監視を同じく1件も実施していない。また24病棟・3.5%では、両行為を1か月に1件も行っていない これらは、当該病棟において代表的な診療行為と言え、例えば「手術を1か月に1件も行わない」病棟が、急性期あるいは高度急性期と報告している事態には違和感を覚えます。そこで厚労省は、今後「その病棟機能らしい」医療内容に関する項目を複数設定し、▼A診療行為を実施しているか→▼B診療行為を実施しているか→▼C診療行為を実施しているか—という、いわば「篩」を設け、例えば「ABCすべて1回も実施していない」病棟については、その選択内容について、地域医療構想調整会議で確認することを求めています。これまでの分析内容を踏まえると、「診療科」をも勘案することになりそうです。4機能ごとに「入棟・退棟患者の経路」に特徴あり ところで、こうした「その病棟機能らしい」「その病棟機能に代表的な」医療内容は、高度急性期などでは比較的明確になりますが、慢性期病棟などでは代表的な医療内容が設定しにくいとの指摘があります(少なくとも現在の報告内容には含まれていない)。この点について厚労省は、研究者に「病棟機能を判断するための指標」に関する研究を依頼しており(厚生労働科学研究費)、19日には石川ベンジャミン光一参考人(国立がん研究センター社会と健康研究センター臨床経済研究室長)から、「入院(棟)患者・退院(棟)患者の経路」が指標の1つとなるのではないか、との研究成果が報告されています。石川参考人によれば、高度急性期、急性期、回復期、慢性期の各病棟には次のように入退棟経路に一定の特徴があります。▼高度急性期:家庭や院内の他病棟から「入棟」が極めて多く、家庭や院内の他病棟への「退棟」が多い ▼急性期:高度急性期よりも、他院や介護施設からの入棟が少し多く、退棟先も他院や介護施設、死亡退院などが若干、高度急性期よりも多くなる ▼回復期:院内の他病棟からの入棟が半分を占め、家庭への退棟が7割を占める ▼慢性期:他院から、院内の他病棟から、家庭からの入棟がそれぞれ3分の1程度ずつで、家庭への退棟は割にとどまり、死亡退院が3割を占める 現在の病床機能報告制度では、入棟前・退棟先の状況について「毎年6月、1か月分」のデータしかありません。このため患者の出入りが少ない(入院期間が長い)回復期や慢性期の特徴・状況の分析には限界があります。しかし、今年度分(2017年度分)の報告からは1年間のデータが集積されるため、より実態にあった分析が可能になると思われます。石川参考人は、こうしたデータを踏まえ「入院患者・退院患者の経路を、4機能を判断する指標の1つとできる可能性がある」旨の考えを示しています。しかし、中川俊男構成員(日本医師会副会長)は、「地域医療構の実現に向けて、各医療機関が自主的に機能分化していく方向を何度も確認している。にもかかわらず、患者の流れなどを精緻に分析して指標化すれば、医療現場はまだ大混乱してしまう」と述べ、定量化論議そのものに異論を唱えています。また織田正道構成員収(全日本病院協会副会長)も「極めて興味深いデータだが、あくまで自主的に機能分化する際の目安とすべきである」とコメントしています。これら医療提供側構成員の指摘は「定量化論議は慎重に行うべき」との考えに基づくものと言えそうですが、費用負担者である本多伸行構成員(健康保険組合連合会理事)は「いろいろな切り口で分析し、それを提示することで、各医療機関が自分で適切に4機能を判断できるようにすべきである」と述べ、定量化論議は積極的に進めるべきとの姿勢を示しています。今後の、各地域における調整会議論議や、厚労省から提示されるデータに、これまで以上に注目が集まりそうです。>

地域医療構想に関するワーキンググループ(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=368422)の「公的医療機関等改革プラン(仮称)(案)」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000171567.pdf)p3の開設者「・地方公共団体の組合 ・国民健康保険団体連合会 ・日本赤十字社 ・社会福祉法人恩賜財団済生会 ・厚生農業協同組合連合会 ・社会福祉法人北海道社会事業協会」、p4「独立行政法人地域医療機能推進機構(JCHO)」、p5「独立行政法人国立病院機構」、p6「独立行政法人労働者健康安全機構」の公的病院改革プランは、「新公立病院改革プラン」(http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/c-zaisei/hospital/hospital.html)と同様に、地域医療構想(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000080850.html)を踏まえたものになる。総務省「公営企業の経営戦略及び新公立病院改革プランの策定状況」(http://www.soumu.go.jp/main_content/000439913.pdf)(http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01zaisei06_02000149.html)で、都道府県別の策定状況(http://www.soumu.go.jp/main_content/000439915.pdf)も出ていたが、「新公立病院改革プラン」http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/c-zaisei/hospital/hospital.html)(http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01zaisei06_02000103.html)(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000135068.pdf)が具体的に進まないのに、地域医療構想(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000080850.html)は進まない。公立病院以外の公的病院も同様であろう。総務省通知(http://www.soumu.go.jp/main_content/000350493.pdf)p8では、「過去3年間連続して病床利用率が70%未満」である病院に対して、抜本的な検討が要請されていることは認識したい。そういえば、経済財政諮問会議(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/)の資料「公立病院経営に関する分析平成28年度「公立病院の経営改革による経済・財政効果に関する調査」報告より」(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/special/reform/wg5/290417/shiryou3.pdf)p8「小規模病院の立地状況と収支」では、総病床200床未満である406病院が、「不採算地区外病院(124病院)」と「不採算地区病院(282病院)」で分けられ、p10「不採算地区外病院競合有り(89病院)」、「不採算地区外病院競合無し(35病院)」、p11「不採算地区病院競合有り(130病院)」、「不採算地区病院競合無し(152病院)」とマッピングされていた。資料(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/special/reform/wg5/290417/shiryou3.pdf)p9不採算地区病院は「150床未満の一般病院で「最寄りの一般病院まで15㎞以上」又は半径5Km以内人口が3万人未満」である。公立病院以外の公的病院も同様に示されるべきであろう。
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