保健福祉の現場から

感じるままに

次期がん対策基本計画とがん対策基本法改正

2016年05月30日 | Weblog
メディウォッチ「第3期がん対策推進基本計画、ゲノム医療や希少・小児がん対策などを柱の1つに―がん対策推進協議会」(http://www.medwatch.jp/?p=9040)。<以下引用>
<第3期のがん対策推進基本計画においては、「希少がん・難治性がん・小児がん対策」や「ゲノム医療の推進」などを柱に据えるべきではないか―。27日に開かれたがん対策推進協議会では、委員からこういった意見が出されました。下部組織である3つの検討会(検診、医療提供体制、緩和ケア)の検討状況も踏まえながら議論を重ね、年末から年明け(2017年)1月にかけて第3期計画の骨子案を策定し、3月に諮問・答申を経て、6月に閣議決定というスケジュールが描かれています。第3期のがん対策推進基本計画、より分かりやすい「章立て」に わが国のがん対策は、5年を1期とするがん対策推進基本計画に沿って進められています。現在、第2期の基本計画(2012-16年度)が動いており、17年度からの第3期計画策定を進める必要があり、協議会では精力的に議論を続けています。さらに重点事項である「がん検診の受診率向上」「がん医療提供体制の充実」「がんと診断された時からの緩和ケアの推進」を図るために、それぞれのテーマを集中的に議論する検討会を設置。年明けの骨子案に向けて、年末に向けて並行をして議論を進めることになります。27日の協議会では、「基本計画の項目立てをどうするのか」が主な議題となりました。第2期計画では(1)基本方針(2)重点的に取り組むべき課題(3)全体目標(4)分野別施策(5)がん対策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項―という5つの大項目が立てられました。これを踏襲すべきか否かについて、山口健会長代理(静岡県立静岡がんセンター総長)は、「都道府県や市町村の担当者、病院関係者、患者団体などにも分かりやすくするため、(1)基本方針の次に『全体目標』を持ってきてはどうか」と提案。つまり上記の「(2)重点的に取り組むべき課題」と「(3)全体目標」の章立てを入れ替えてはどうかという提案です。これに対し行政の立場で参加している松村淳子委員(京都府健康福祉部長)は「施策の方向が見えやすくなる」旨を述べて賛同。また門田守人会長(堺市立病院機構理事長)や中川恵一委員(東京大学医学部附属病院放射線科准教授)も理解を示しています。厚労省健康局がん・疾病対策課の丹藤昌治がん対策推進官は「特段の反対はなかった」と捉えており、7月開催予定の次回会合で修正案を示す考えを述べています。希少がん患者の専門施設へのアクセス確保に向け、WGで施設リストなどを作成 また、27日の協議会では「第3期計画の策定に向けて検討すべき事項」について多くの委員から意見が出されました。その中で目立ったのが「希少がん・難治性がん・小児がん対策」や「ゲノム医療の推進」に関するものです。前者のうち希少がんについては、国立がん研究センターに設置された「希少がん対策ワーキンググループ」(WG)で、希少がんに関する診療ネットワークの構築や診療ガイドラインの策定・普及などを目指した検討が進められます。WGの事務局を務める東尚弘参考人(国立がん研究センターがん対策情報センターがん臨床情報部)は、WGでまず取り組む事項として▽専門施設のリスト作成▽専門施設で公表する項目の決定▽専門施設を中心とした患者紹介の流れの整理―を行うことを説明。希少がん治療を行う専門施設のリストや情報が公表されることで、患者のアクセスを確保することが狙いです。すでに希少がんの1つである「四肢軟部肉腫」を対象として分科会を開き、これらの項目について議論が始まっています。ゲノム医療の推進、「診療提供体制のあり方」検討会で集中論議 また後者のゲノム医療については、協議会の下に設置された3検討会の1つである「がん診療提供体制のあり方に関する検討会」で集中的な議論を行うことが、厚労省健康局がん・疾病対策課の佐々木健課長から説明されました。ゲノム医療の推進は、▽がん研究▽予防・検診▽治療▽保険―の各分野にも便益をもたらすことが期待できます。検討会の議論を踏まえて、協議会でも検討を行い、第3期計画に盛り込まれることになりそうです。もっとも「ゲノム医療」という項目立てになるかどうかは不透明で、例えば「医薬品・医療機器の開発」や「がん研究」などの項目の中で、「ゲノム医療の面ではどうなのか」を記載する形もあり得ます。この点に関連して、檜山英三委員(広島大学自然科学研究支援開発センター教授)は、「データを蓄積・解析することで遺伝的な『がんになりやすさ』が分かる。こうした情報を同癌医療につなげていくべきかを慎重に検討する必要がある」と指摘しています。なお、データをもとにがん医療の質向上に取り組むCQI研究会が8月に開催されます。GHCもデータ分析をお手伝いしています。一方、中川委員は「放射線治療」をより重点的に推進すべきと提案します。第2期計画では分野別施策のトップ項目の「放射線治療」が位置付けられていますが、中川委員は「放射線治療件数が減少傾向にある」ことを説明し、より長期的に対策の成果をフォローしていくことの重要性を指摘しています。さらに粒子線治療をすべての放射線治療症例を登録する仕組みを考慮すべきとも提案しました。がん診療連携拠点病院、「集約化を考えるべき」との指摘も ところで、どこに住んでいても適切ながん医療を受けられる(均てん化)体制をめざし、国は2次医療圏の1か所以上のがん診療連携拠点病院整備を進めています。拠点病院を整備できない地域については、やや要件を緩和した「地域がん診療病院」の設置なども可能です。この点について大江裕一郎委員(国立がん研究センター中央病院副院長(教育担当)呼吸器内科呼吸器内科長)は、「拠点病院の集約化を考えてもよいのではないか」との見解を述べました。2次医療圏では「圏域内で一定の医療を完結させる」ことが期待されていますが、がんについては、圏域を超えて治療が行われるケースが増えています。この点は20日に開かれた「医療計画の見直し等に関する検討会」でも議論になっており、疾病別・事業別に医療圏を設定する構想(例えばがんの2次医療圏は現在よりも広く設定するなど)も浮上しています。両検討会で調整をしながらこの問題を考える必要があるでしょう。>

キャリアブレイン「次期がん対策基本計画の策定へ、議論本格化- 厚労省協議会」(http://www.cabrain.net/news/article/newsId/48865.html)。<以下引用>
<来年6月に開始予定の次期がん対策推進基本計画(基本計画)を策定するための議論が本格的に始まった。厚生労働省は27日のがん対策推進協議会(会長=門田守人・堺市立病院機構理事長)で、基本計画での項目の構成や内容の見直しの必要性の有無などの検討を提案した。委員からは、希少がんや難治性がんを施策の柱の1つに含めるべきといった意見が出た。同協議会は、来年1月をめどに次期基本計画の骨子案を示す方針。基本計画は、がん対策基本法に基づいて政府が策定するもので、がん対策を進める上での方針が明示されている。現行の基本計画では、全体目標として、がんによる死亡者の減少や患者・家族の苦痛の軽減と療養生活の質の維持向上、がんになっても安心して暮らせる社会の構築を掲げている。また、重点的に取り組むべき課題として、▽放射線療法や化学療法、手術療法のさらなる充実と、それらの療法を専門的に行う医療者の育成▽がんと診断された時からの緩和ケアの推進▽がん登録の推進▽働く世代や小児へのがん対策の充実―を提示。分野別施策では、がん医療や相談支援と情報提供、早期発見、小児がんなどが示されている。次期基本計画の策定が急がれることから、同協議会は検討を本格化させた。今後は、がんの検診や医療体制、緩和ケアについて議論する厚労省の検討会からの提言を踏まえた上で、計画の骨子案をまとめる。■従来計画実施の効果検証を求める声も 27日の会合での意見交換で、桜井なおみ委員(CSRプロジェクト代表理事)は、現行の基本計画の分野別施策で、希少がんは「その他」の項目の中に含まれていると指摘。その上で、「がん対策加速化プランで、希少がんや難治性がんは研究の柱の1つになっているので、(次期基本計画でも)柱の1つに入れていただきたい」と訴えた。中釜斉委員(国立がん研究センター理事長)は、取り組むべき課題の項目として、ゲノム医療を挙げた。このほか、従来の基本計画の取り組みの効果の検証を求める声や、都道府県や市町村、がん診療連携拠点病院などの担当者が分かりやすいような工夫が必要との意見も出た。>

がん対策推進協議会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-gan.html?tid=128235)の「今後のがん対策の方向性について(~これまで取り組まれていない対策に焦点を当てて~)の概要」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10904750-Kenkoukyoku-Gantaisakukenkouzoushinka/0000125880.pdf)は新たながん対策推進基本計画に反映されるのであろうか。そういえば、国会がん患者と家族の会(http://www.cancer-reg.sakura.ne.jp/index.html)がん対策基本法改正案(http://www.cancer-reg.sakura.ne.jp/revision/pdf/160422_2.pdf)で注目されたのは、第一に、第10条7項の計画期間が5年から6年に変わること、第二に、第14条2項、3項のがん検診の質の向上の規定が新設されること、第三に、第15条、17条で、緩和ケアが明記されること、第四に、第20、21、22条でがん患者の就労の規定されること、第五に、第23条のがんに関する教育の推進が規定されることなどであるが、がん対策推進基本計画の見直しは基本法改正と一体であるべきと感じる。がんは医療計画(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/iryou_keikaku/index.html)の柱の一つでもあり、今回の改正案(http://www.cancer-reg.sakura.ne.jp/revision/pdf/160422_2.pdf)を踏まえて、通知別表(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/iryou_keikaku/index.html)別表1「がんの医療体制構築に係る現状把握のための指標例」を設定し直してもよいのではないかと感じる。がん対策は「検診受診率」と「死亡」だけで評価をする時代ではないであろう。さて、「医療計画の見直し等に関する検討会」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=127276)の「現行の医療計画における課題等」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000124781.pdf)では、p1「医療圏の見直しの必要性についてどのように考えるか」「各種疾病対策と医療計画の連携についてどのような取り組みが必要か」、p2「施策の立案や見直しにつながるような評価指標にすることが必要ではないか」「CTやMRIといった医療機器等の医療資源のあり方について、どのように考えるか」「医療計画において在宅医療等をどのように推進するのか検討が必要ではないか」「医療提供体制の構築の主体である都道府県と、介護の提供体制の構築の主体である市町村との具体的な連携のあり方について検討が必要ではないか」などの課題が目についた。いずれも「がん対策」とも絡む課題である。とにかく、国のがん対策推進基本計画と医療計画基本方針の整合が図られなければ、都道府県がん対策推進計画と都道府県医療計画の一体的推進にも影響するように感じる。平成30年度から、第7次医療計画(6年間)、第7期介護保険事業(支援)計画(3年間)、第3期医療費適正化計画(6年間)が揃う。この絶好の機会を逃してはならないであろう。ところで、がん診療提供体制のあり方に関する検討会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-kenkou.html?tid=128564)の資料「がん診療提供体制に関するこれまでの議論と今後の議論の方向性について」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000124947.pdf)p31「「がん診療連携拠点病院等の指定に関する検討会」での議論を踏まえ、整備指針の内容を検討してはどうか。」とあり、「がん診療連携拠点病院等の指定に関する検討会」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-kenkou.html?tid=128567)の動向からも目が離せない。
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