保健福祉の現場から

感じるままに

医療介護連携の調整・調和

2013年12月25日 | Weblog
国立長寿医療研究センターから、「在宅医療・介護連携のための市町村ハンドブック」(http://www.ncgg.go.jp/zaitaku1/pdf/handbook/handbook2013.pdf)が出ている。厚労省資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000030649.pdf)p9~10に出ているように、在宅医療・介護の連携推進は、市町村主体の恒久的な制度として、介護保険法の地域支援事業の包括的支援事業に位置づけられ、地域包括支援センターと医師会が連携して、①地域の医療・福祉資源の把握及び活用(地域の医療機関等の分布を把握し、地図又はリスト化し、関係者に配布)、②在宅医療・介護連携に関する会議への参加又は関係者の出席の仲介(関係者が集まる会議を開催し、地域の在宅医療・介護の課題を抽出し、解決策を検討)、③在宅医療・介護連携に関する研修の実施(グループワーク等の多職種参加型の研修の実施)、④24時間365日の在宅医療・介護提供体制の構築(主治医・副主治医制等のコーディネート)、⑤地域包括支援センター・介護支援専門員・介護サービス事業者等への支援(介護支援専門員からの在宅医療・介護に係る総合的な問い合わせへの対応等)がイメージされている。市町村から郡市医師会への委託にあたっては、医師会の事務局体制が考慮される必要がある。郡市医師会といっても格差が非常に大きい。また、地域包括支援センターについては、厚労省資料(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001oxhm-att/2r9852000001oxlr.pdf)p17~19の地域包括ケアに関する保険者の評価項目では、「地域連携パスの作成」「地域の急性期病院との連携のための会議」「地域連携パスを協議する場」「地域の回復期病院、維持期リハ関連施設との連携のための会議」などの実施率がかなり低いように、医療関連、広域調整は容易ではない実態がある。そして、地域包括ケアシステムに際しては、がん診療連携拠点病院を中心とした「がん緩和ケアに係る医療連携・医療介護連携」、広域リハビリテーション支援センターを中心とした「脳卒中の急性期~生活期リハビリに係る医療連携・医療介護連携」、認知症疾患医療センターを中心とした「認知症の医療連携・医療介護連携」も重要であるが、がん診療連携拠点病院、広域リハビリテーション支援センター、認知症疾患医療センターは市町村単位ではなく、二次医療圏単位で整備されている施設である。これらの施設が行う事業(会議、研修、相談対応、普及啓発等)と、市町村主体である介護保険法地域支援事業の包括的支援事業として「地域包括支援センター・医師会」が行う事業が、地域において調整・調和されなければならないように感じる。そういえば、今年10月発行された「平成24 年度 在宅医療連携拠点事業 総括報告書」(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/zaitaku/seika/dl/h24soukatsu.pdf)p60で、「保健所は、これまでに医療計画を通じた在宅医療の推進に留まらず、難病対策、地域リハビリテーション対策、がん緩和ケア対策、認知症対策、介護予防対策等の実績があり、地域の関係機関・団体に働きかけやすく、これらの技術的なノウハウがある等の強みがある。これまで取り組みの経験がない市町村に対して市町村どうしの情報交換を促し、市町村を越えた広域での調整を行うなど、積極的な支援が期待される。」と記述された。全国保健所長会から厚生労働省に対する要望書(http://www.phcd.jp/02/sengen/pdf/youbou_H25.pdf)p16では「保健所には、各種専門職の配置や医事薬事関連業務など市町村にはない特性があり、保健所と市町村との連携・協働による地域包括ケアを推進されたい。また、国の法令等において、地域包括ケアシステムの推進における保健所の具体的な役割について明記するとともに、各地(都市部、郡部)の優れた取組みの普及など、保健所が取り組むための技術的・財政的な支援を図られたい。」とある。厚労省資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000026440.pdf)p17で「医療機能の分化・連携について、二次医療圏ごとに協議する場を医療法上、規定することとするか。」が課題・論点になっており、保健所にとっては大きなチャンスといえるかもしれない。二次医療圏ごとの医療計画・地域医療ビジョンは、来年度策定の第6期介護保険事業計画(平成27~29年度)と密接に関連するため、保健所は第6期介護保険事業計画策定委員会に参画することが不可欠といえるであろう。また、健康増進計画推進の観点からは、高齢者保健福祉計画策定委員会への参画も不可欠と感じるところである。地域保健法(http://www.ron.gr.jp/law/law/hokenjo.htm)第4条に基づく「地域保健対策の推進に関する基本的な指針」(http://www.pref.akita.lg.jp/www/contents/1344472453581/files/zenbun.pdf)p5では、2 保健所の運営 (1)健康なまちづくりの推進で、「地域の健康課題を把握し、医療機関間の連携に係る調整、都道府県による医療サービスと市町村による保健サービス及び福祉サービスとの連携に係る調整を行うことにより、地域において保健、医療、福祉に関するサービスが包括的に提供されるよう市町村や関係機関等と重層的な連携体制を構築すること。」とある。地域包括ケアの推進は、健康なまちづくりの一環であるとともに、重層的な連携が要請されていることは、ぜひ認識しておきたい。
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