保健福祉の現場から

感じるままに

児童虐待と児童相談所

2014年08月04日 | Weblog
NHK「児童虐待 全国で初の7万件超に」(http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140804/t10013533071000.html)。<以下引用>
<ことし3月までの1年間に全国の児童相談所が把握した児童虐待の件数は、前の年より7000件以上増えて7万3000件余りと、初めて7万件を超えこれまでで最も多くなったことが厚生労働省のまとめで分かりました。これは4日に厚生労働省が全国の児童相談所の所長を集めた会議で明らかにしたものです。それによりますと、ことし3月までの1年間に全国の児童相談所が子どもの保護や家庭への調査などに当たった児童虐待の件数は、前の年より7064件増えて7万3765件と初めて7万件を超えました。児童虐待の件数は統計を取り始めた平成2年度以降毎年増え続け、この1年間の件数は10年前のおよそ2.8倍に上り、これまでで最も多くなりました。都道府県別では大阪府が1万716件と最も多く、次いで神奈川県が9803件、東京都が5414件、千葉県が5374件、埼玉県が5133件などと、特に都市部で増加する傾向が見られました。児童虐待について研究している日本子ども家庭総合研究所の山本恒雄部長は「核家族化で近所づきあいが少なくなるなど悩みを抱え込む夫婦が増えていることや、虐待事件が相次ぎ社会の関心が高まったことで通報が増えているのではないか。通報をきっかけに育児に悩む親を早期に発見し、行政サービスや子育て支援につなげていくことが必要だ」と話しています。>

厚労省から「平成25年度の児童相談所での児童虐待相談対応件数等」(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000052785.html)が出ている。総務省が平成24年1月「児童虐待の防止等に関する政策評価」(http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/53256.html)、平成24年9月「児童虐待の防止等に関する政策評価<勧告に伴う政策への反映状況(回答)の概要>」(http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/000061815.html)に続いて、平成26年6月「児童虐待の防止等に関する政策評価<勧告に伴う政策への反映状況(2回目のフォローアップ)の概要>」(http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/85883.html)を出していた。政策評価(http://www.soumu.go.jp/main_content/000296161.pdf)では、p1「調査した保育所及び小・中学校において、児童虐待のおそれを認識したが通告するかどうか判断に迷った結果通告しなかった事例や、児童虐待のおそれを認識してから通告までに長期間(1か月以上)を要している事例がみられた。」「児童相談所及び市町村における虐待対応件数等の報告状況について都道府県等に確認したところ、適切な報告を行っているものはみられなかった。」「児童福祉司及び市町村担当者の資質向上のための対策等に関しては、①研修の機会が十分に確保されていないまま事案を担当せざるを得ない、②経験豊富な担当者の配置が少ない、③バーンアウト対策が十分とはいえない状況となっている。」「全1,750市町村のうち児童相談所との役割分担の取決めはないものが1,253市町村(71.6%)となっており、役割分担が明確になっていないことも原因となって児童相談所の対応が遅れたと考えられる事例もみられた。」、p2「調査した児童相談所及び市町村において安全確認までに3日以上要した事例も一部みられた。」「入所児童について児童相談所が作成する援助指針が児童養護施設等に提供されていない事例等がみられた。」「都道府県等において、過去に社会保障審議会児童部会児童虐待等要保護事例の検証に関する専門委員会(以下「事例検証委員会」という。)の検証結果で指摘された課題等と同様の指摘が都道府県等の検証結果でも指摘されているなど、過去の検証結果を活用できていないと考えられる状況がみられた。」「児童虐待が発生しているにもかかわらず、要保護児童対策地域協議会(以下「要対協」という。)における個別ケース検討会議及び実務者会議が1回も開催されていない市町村がみられた。」など、厳しい内容になっている。「児童虐待防止対策における福祉事務所の役割」(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12000000-Shakaiengokyoku-Shakai/0000046445.pdf)p251「平成20年の児童福祉法改正法により、21年4月より、要保護児童対策地域協議会の支援対象について、これまでの要保護児童に加え、乳児家庭全戸訪問事業等で把握した養育支援を必要とする児童や出産前から支援を行うことが特に必要である妊婦も追加された。」が、どうなっているであろうか。日本産婦人科医会「妊娠等について悩まれている方のための相談援助事業連携マニュアル改訂版」(http://www.jaog.or.jp/all/pdf/jaogmanual.pdf)、「妊娠等について悩まれている方のための相談援助事業連携マニュアル_チェックリスト」(http://www.jaog.or.jp/all/jaogmanual_Check%20list.pdf)が出ているように、早い段階からの支援が必要である。医療機関も含めて関係機関ネットワークによる対応が不可欠であり、「児童虐待防止医療ネットワーク事業推進の手引き」(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000042513.html)も活用したい。資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11901000-Koyoukintoujidoukateikyoku-Soumuka/0000038682.pdf)p312の「妊娠・出産・育児期に養育支援を特に必要とする家庭に係る保健・医療・福祉の連携体制の整備」はそれぞれの地域で図る必要があるが、産科医療機関がない市町村が少なくないため、広域的な対応が必要である。平成25年度から未熟児訪問指導等が市町村移譲されているが、市町村と保健所の連携・協働が期待される。「児童虐待防止対策における福祉事務所の役割」(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12000000-Shakaiengokyoku-Shakai/0000046445.pdf)p253「要保護児童対策地域協議会(子どもを守る地域ネットワーク)の構成機関」への保健所の参加割合は72.8%である。児童福祉法(http://www.ron.gr.jp/law/law/jido_fuk.htm)の保健所に関する規定;「第十二条の六 保健所は、この法律の施行に関し、主として次の業務を行うものとする。一 児童の保健について、正しい衛生知識の普及を図ること。二 児童の健康相談に応じ、又は健康診査を行い、必要に応じ、保健指導を行うこと。三 身体に障害のある児童及び疾病により長期にわたり療養を必要とする児童の療育について、指導を行うこと。四 児童福祉施設に対し、栄養の改善その他衛生に関し、必要な助言を与えること。2 児童相談所長は、相談に応じた児童、その保護者又は妊産婦について、保健所に対し、保健指導その他の必要な協力を求めることができる。」を知らない行政職員が少なくないように感じる。今年1月の全国厚生労働関係部局長会議(http://www.mhlw.go.jp/topics/2014/01/tp0120-1.html)の資料(http://www.mhlw.go.jp/topics/2014/01/dl/tp0120-13-03p.pdf)p43~「児童虐待の現状と対策」で、p45「養育支援を特に必要とする家庭の把握及び支援の流れ;居住実態が把握できない家庭など、虐待発生リスクが高い家庭について市町村の関係部門・関係機関間で速やかな情報共有を図ることが必要」、資料(http://www.mhlw.go.jp/topics/2014/01/dl/tp0120-13-01d.pdf)p22「児童相談所の体制強化等について」で「地域によっては、平成25年度地方交付税措置がなされている児童福祉司数(人口4.9万人に1人)を下回っているところも見受けられることから、地方公共団体におかれては、児童福祉司の積極的な配置をお願いする。」、「市町村における虐待防止対策について」で「平成24年7月現在、乳児家庭全戸訪問事業については94.1%、養育支援訪問事業については、67.3%の市町村で実施している。既に実施している市町村の引き続きの取組はもとより、未だ実施していない市町村に対して実施を促すなど、事業の推進に特段のご配慮をお願いする。」、p23「要保護児童対策地域協議会については、平成24年4月1日現在で99.7%(任意設置の児童虐待防止ネットワークを含む)の市町村が設置しており、ほぼすべての市町村で設置されている状況であるが、今後はその機能強化が課題である。」、p24「乳幼児健康診査等の保健・福祉サービスを受けておらず、居住実態が把握できない家庭について、市町村の関係部門間で情報を共有すること。所在を把握するため、住民基本台帳や戸籍の記載事項、生活保護・児童手当等の受給状況の確認や近隣住民等への調査により情報収集を行うこと。それでも把握できない場合は、市町村が児童相談所に対応を求め、児童相談所が児童の安全確認・確保のための対応を行うこと。最終的には、必要に応じて児童相談所から警察に行方不明者届を提出すること」、「今年度において、児童福祉施設に入所していた児童が、家庭復帰後に虐待を受け死亡した事例が相次いで発生している状況であり、改めて家庭復帰の際の対応の徹底をお願いしたい。」とあった。児童虐待防止対策(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kodomo/kodomo_kosodate/dv-jinshin/)の社会的関心を高めたい。学生によるオレンジリボン運動(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000002yi19.html)が出ていたが、なぜ、児童虐待が増えているか、どれほど学生は考えているであろうか。ところで、児童相談所での児童虐待相談対応件数(対前年度比較、都道府県別)が出ているのである(http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11901000-Koyoukintoujidoukateikyoku-Soumuka/0000053235.pdf)が、児童相談所設置市はもう少し増えても良いかもしれない。児童相談所(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%90%E7%AB%A5%E7%9B%B8%E8%AB%87%E6%89%80)は平成18年度から中核市も設置できるようになっているからである。
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子どもの貧困対策計画、子ども・若者計画

2014年08月04日 | Weblog
今年1月の全国厚生労働関係部局長会議資料(http://www.mhlw.go.jp/topics/2014/01/tp0120-1.html)の資料(http://www.mhlw.go.jp/topics/2014/01/dl/tp0120-13-02p.pdf)p41~「子どもの貧困対策の推進に関する法律」でp42「都道府県子どもの貧困対策計画〔策定努力義務〕」、資料(http://www.mhlw.go.jp/topics/2014/01/dl/tp0120-13-01d.pdf)p19「都道府県においても大綱を勘案して、子どもの貧困対策計画の策定に努めることとされているので、ご協力をお願いしたい。」とあった(http://www8.cao.go.jp/kodomonohinkon/pdf/hinkon_law_tsuuchi.pdf)。平成25年国民生活基礎調査の概況(http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa13/index.html)で、各種世帯の所得等の状況(http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa13/dl/03.pdf)p18「平成24 年の貧困線(等価可処分所得の中央値の半分)は122万円(名目値)となっており、「相対的貧困率」(貧困線に満たない世帯員の割合)は16.1%となっている。また、「子どもの貧困率」(17歳以下)は16.3%となっている。」とある。内閣府資料(http://www8.cao.go.jp/youth/whitepaper/h25gaiyou/pdf/b1_04-1.pdf)p16の図表をみれば、ニートは平成13年から平成14年にかけて急増し、その後、平成21年から平成22年にかけてやや減少したものの、最近は再び増加していることがわかる。「平成24年の全給与所得者に占める年収300万円以下の人口割合は41.0%」(http://nensyu-labo.com/heikin_kakusa.htm)で、増加傾向にある。これでは少子化に拍車がかかるかもしれない。21世紀出生児縦断調査及び21世紀成年者縦断調査特別報告(http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/162-1.html)概況(http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/judan/tokubetsu13/dl/02.pdf)p3「就業形態が無職、パート・アルバイト、派遣社員、契約社員・嘱託では、正規雇用の者に比べ、男女とも結婚を「絶対したい」と思う者が少ない」、p4「学卒直後の就業形態が無職だった場合、正規雇用の者に比べ男女とも20-29 歳では結婚が起きにくい」、「男女とも、収入が高くなるほど結婚しやすい、特に男性の30 歳以上で顕著」、p5「妻の就業形態がパート・アルバイトや派遣社員・契約社員・嘱託では、正規雇用の者に比べ、第1子出生が起きにくい」の結果も出ている。「非正規雇用で生活保護20兆円-シンクタンク試算」(http://www.cabrain.net/news/article/newsId/15814.html)と出ているように、非正規雇用の増加は、将来の生活保護の増加として、跳ね返ってくることは認識したい。7月15日に全国知事会から「少子化非常事態宣言」(http://www.nga.gr.jp/ikkrwebBrowse/material/files/group/3/22%20140716%20siryou6-1.pdf)が出ているが、それぞれの自治体では、子どもの貧困対策の推進に関する法律(http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H25/H25HO064.html)第9条の「子どもの貧困対策計画」や子ども・若者育成支援推進法(http://www.ron.gr.jp/law/law/kodomo_i.htm)第9条の「子ども・若者計画」の策定対応はどうなっているであろうか。「少子化対策」(http://www8.cao.go.jp/shoushi/index.html)、「子どもの貧困対策」(http://www8.cao.go.jp/kodomonohinkon/index.html)、「子ども・若者育成支援」(http://www8.cao.go.jp/youth/index.html)は密接に関連しているように感じる。そういえば、以前、朝日新聞「「穴開きコンドーム配っては」 愛知・新城市議が発言」(http://www.asahi.com/articles/ASG7L454WG7LOBJB004.html)、産経新聞「高校で子供を産んだ人に校長がお金を配る」(http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/120909/waf12090919370023-n5.htm)の報道があったが、行政には真面目に向き合う姿勢が不可欠であろう。
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Ebola virus disease

2014年08月04日 | Weblog
「マレーシア エボラ出血熱流行に関連し衛生管理を強化」(http://japanese.ruvr.ru/news/2014_08_04/mare-shia-ebora/)。

「ロシアのウイルス学者 エボラ出血熱と戦うためギニアに到着」(http://japanese.ruvr.ru/news/2014_08_03/roshiajin-ebora/)。

NHK「エボラ出血熱 医療従事者も感染相次ぐ」(http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140804/t10013522621000.html)。<以下引用>
<西アフリカで、エボラ出血熱の患者が増え続けるなか、医療従事者が感染する事例が相次ぎ、患者の受け入れをやめる病院も出ており、国際的な支援によって現地の医療体制を強化することが急務となっています。エボラ出血熱は、エボラウイルスが引き起こす致死率が極めて高い感染症で、西アフリカのギニア、リベリア、シエラレオネの3か国では、感染が過去最大規模で拡大し、これまでに729人が死亡しています。現地では、感染が広がり続けるなか、医師や看護師などが死亡する事例も相次いでおり、WHO=世界保健機関によりますと、これまでに60人以上の医療従事者が死亡したということです。こうしたなかで、リベリアでは医療従事者の不足からエボラ出血熱の患者の受け入れをやめた病院も出ているということです。さらに、現地に入って医療活動を続けている国際NGOからも、今の体制で対応するには限界だという声も出ています。今回、感染が広がった3か国は、医師や看護師が不足するなど、もともと医療体制がぜい弱で、感染の拡大を防ぐためには感染症の専門家の派遣など、国際的な支援によって現地の医療体制を強化することが急務となっています。専門家「国際社会は支援を」 エボラウイルスの感染が広がる西アフリカのギニアとリベリア、シエラレオネに医師や専門家を派遣している国際NGO「国境なき医師団」のブリジット・バセ氏は3日、パリでNHKのインタビューに答えました。バセ氏は、まず今回のエボラ出血熱は3か国の国境を行き来している部族の間で特に感染が拡大していると指摘したうえで、「この地域には、葬儀の際、参列者が死者の体を洗う習慣があり、そこで感染した人が家族にうつしている」と述べ、病気が広がる要因の一つに地域の習慣があると指摘しました。また、「3か国でエボラ出血熱が発生するのは初めてのため、医師や保健当局者に知識がなく医療への信頼が崩壊している。患者は病気を恐れ、医療機関にかかろうとしないため、感染がさらに広がっている」と述べて、感染に歯止めがかからない状況に危機感を示しました。そのうえでバセ氏は「私たちの対応能力はすでに限界に達している。日本など国際社会は感染症の専門家などを派遣し、現地の人への指導などに協力してもらいたい」と述べ、国際社会にさらなる支援を呼びかけました。>

WHO「Global Alert and Response」(http://www.who.int/csr/don/archive/year/2014/en/)でEbola virus diseaseの更新が続いている。エボラ出血熱は感染症法の一類感染症(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou11/01.html)である。平成18年7月の総務省勧告(http://www.soumu.go.jp/kanku/okinawa/pdf/060905_02.pdf)で、第一種感染症指定医療機関の整備が進んでいないことが問題視されていたが、厚労省資料(http://www.mhlw.go.jp/topics/2014/03/dl/140313-01_01.pdf)p75に感染症指定医療機関の指定状況が出ており、p74では平成25年4月1日現在、第一種感染症指定医療機関は12県で未指定、p76では「これまでの一類感染症等予防・診断・治療研修事業への参加は31都道府県」に留まっている。我が国で疑い者が出た場合はパニックが避けられないかもしれない。エボラ出血熱は過去に我が国で発生したことがない。ウイルス学者や第一種感染症指定医療機関の医療従事者が現地派遣されるならば、貴重な経験となるようにも感じるのであるが...。
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在宅医療・介護ICT連携

2014年08月04日 | Weblog
キャリアブレイン「在宅医療、電話とFAXでの連絡は煩雑!」(http://www.cabrain.net/management/article.do?newsId=43405)。<以下一部引用>
<在宅医療に力を入れれば入れるほど、訪問看護ステーションや薬局、ケアマネジャーなどとの連絡が多くなり、診療に集中できなくなる-。そんな矛盾を感じている医療者も多いのではないだろうか。「関係者間の連絡をチャットにすることで、連絡が確実になり、電話も減った。医師への問い合わせの垣根も下がったようで、疑義照会も増えました」。名古屋市の笑顔のおうちクリニックは、複数の人で短文や写真のやり取りを共有できるチャットシステムで、この課題を解決している。■医師は診療に集中、写真で重症度も伝達 「臀部赤発あり、ワセリン湿布・体位変換による除圧で経過観察中。左臀部2か所は1cm×1 cm痂皮化」 訪問看護ステーションの看護師が、書き込みに続いて臀部の写真をアップする。医師は、在宅診療に向かう車の助手席で、スマートフォンを使って状況を確認。次の訪問日の対応で大丈夫か、訪問日を早めるかどうかなどを検討する。緊急度が高い場合には、看護師はチャットではなく電話で対応を仰ぐ。診察した後、すぐに薬剤が必要であればチャットで処方箋を薬局に送り、薬剤師の訪問を依頼する。>

厚生労働省「在宅医療の推進について」(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/zaitaku/)の「在宅医療介護連携を進めるための情報共有とICT活用」(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/zaitaku/dl/h25_0509-01.pdf)に出ているように、ICTシステムの機能には様々なものがある。「コスト(導入、維持管理)」「扱いやすさ」「セキュリテイ」「稼働状況」「将来性」等での検証が必要であろう。厚労省資料(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2014/0416/shiryo_09.pdf)p5で、「ネットワークの標準モデルの確立、普及」「在宅医療・介護を含めた標準規格の策定・普及」「クラウド技術の活用等による費用低廉化」があり、期待される。7月28日の全国介護保険担当課長会議(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000052337.html)において、「ICTを活用した医療と介護の情報連携について」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000052707.pdf)、「在宅医療と介護の連携のための情報システムの共通基盤のあり方に関する調査研究報告書概要;在宅医療と介護の連携における情報システムの適切な利用を促進するためのガイドライン(草案)」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000052709.pdf)が示された。厚労省資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12401000-Hokenkyoku-Soumuka/0000052237.pdf)p39の「在宅医療・介護連携推進事業(介護保険の地域支援事業、平成27年度~)」では、事業項目として「(エ)在宅医療・介護サービス等の情報の共有支援」も位置付けられたことも注目である。しかし、ICTはあくまで連携ツールでしかない。やはり、ベースは、多職種による「信頼関係に基づく顔の見えるヒューマンネットワーク」である。全国各地の在宅医療介護現場では、FAX・電話・メール・連携ノート等を使って、多職種間の情報共有やコミュニケーションが図られているところが多いが、ヒューマンネットワークがしっかり構築されていれば、いずれ、標準モデル・標準規格によって、一挙に在宅医療介護のICT連携に切り替わるように感じる。地域医療再生基金や新たな財政支援制度による莫大なコストでの在宅ICT連携システムの開発も悪くはないが、厚労省方針「ネットワークの標準モデルの確立、普及」「在宅医療・介護を含めた標準規格の策定・普及」「クラウド技術の活用等による費用低廉化」を踏まえ、それぞれの地域において、標準モデル・標準規格による在宅医療・介護ICT連携の普及・普遍化を図りたいものである。
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