保健福祉の現場から

感じるままに

定期巡回・随時対応サービスは12年間で40倍以上のサービス確保が前提

2013年09月21日 | Weblog
NHK「都市部の高齢者 自宅などで暮らせる仕組みを」(http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130921/k10014708991000.html)。<以下引用>
<今後、急速に進む都市部の高齢化への対策を話し合う厚生労働省の検討会は、地方の自治体が都市部の高齢者を受け入れるために介護施設を作ることについて、住み慣れた地域から地方の施設への入所を強いるおそれがあるなどとして慎重に検討すべきだとする報告書をまとめました。都市部では今後、高齢化が急速に進み、介護が必要な高齢者も増えると予測されていますが、土地の確保が難しく介護施設の不足が課題になっています。このため厚生労働省は、専門家による検討会を設けて対策を検討し、20日、報告書をまとめました。この中で、地方の自治体が雇用の創出などを目的に都市部の高齢者を受け入れる介護施設を作ることについて、住み慣れた地域から地方の施設に入所を強いるおそれがあるなどとして、自治体や住民の間にもともとつながりがある場合を除き、慎重に検討すべきだとしています。そのうえで、人口が密集する都市部の強みを活かして在宅医療や介護の普及や、空き家などを活用した住まいの確保などを進め、自宅でも施設と同じ安心感を確保すべきだとしています。また、社会への参加意識の高い退職後の団塊の世代に介護予防や生活支援の担い手になってもらうとともに、移住する場合も健康なうちに移り住んで、その地域で関係を築きながら年を重ねることが望ましいとしています。検討会の座長を務めた東京大学の大森彌名誉教授は、「都市部では施設の建設が難しい以上、自宅で安心して暮らせる仕組み作りを追求することが有効な対策だと明確に打ち出したことに意味がある。仕組み作りを担う市区町村の取り組みに期待したい」と話しています。>

8月の「社会保障制度改革国民会議」(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kokuminkaigi/)報告書(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kokuminkaigi/pdf/houkokusyo.pdf)p29では「高齢者の地域での生活を支えるために、介護サービスについて、24時間の定期巡回・随時対応サービスや小規模多機能型サービスの普及を図るほか、各地域において、認知症高齢者に対する初期段階からの対応や生活支援サービスの充実を図ることが必要である。」とされた。「定期巡回・随時対応サービス」(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/gaiyo/teikijunkai.html)(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/osirase/hokenjigyou/06/dl/5.pdf)について、資料(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/osirase/hokenjigyou/06/dl/5.pdf)p5では事業実施自治体一覧(150保険者)が出ており、あまり普及していない現状がわかる。全国集計(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000029kgq.html)によると、都会以外では低調なところが少なくないようである。サービス付高齢者向け住宅と違って、一戸建が点在する地域では容易ではないかもしれない。先日の厚労省資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000023270.pdf)p11で、「平成25年7月末日現在、定期巡回・随時対応サービスは、158保険者で315事業所が指定を受け、3,609人が利用しているが、社会保障・税一体改革の将来推計では、平成37年度(2025年度)に15万人分のサービス確保を前提として推計されている。」とある。実に12年間で40倍以上のサービス確保が前提であることはどれほど認識されているであろうか。論点では、「①自治体や事業者、ケアマネジャー、看護関係者を中心に、サービスの普及啓発を徹底して行ってはどうか。特に、潜在的な需要を明らかにしていくためにも、埼玉県や横浜市の例に見られるような自治体による普及促進の努力が必要ではないか。②定期巡回・随時対応サービス事業所と訪問看護事業所との連携が困難な現状などを踏まえ、事業の実施状況の更なる把握に努めるとともに、連携のあり方等を検討していくことが必要ではないか。【省令等改正】③定期巡回・随時対応サービスの普及と併せ、1日複数回サービス提供する選択肢として、訪問介護における身体介護の20分未満の報酬区分についても、その要件等のあり方を検討していくことが必要ではないか。【省令等改正】」とある。県内で定期巡回・随時対応型訪問サービスを実施している事業者による研修では、独居であっても定期巡回・随時対応型訪問サービスをはじめ他のサービスを組み入れることによって自宅生活が可能であること、配食サービスの組み入れは効果的であること、ターミナルにも対応されていることがわかった。しかし、やはり経営が課題らしく、いかに効率化を図るかが命題であって、登録ヘルパーも活用していると聞いた。例えば、厚労省「介護人材の確保について」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000021718.pdf)p7では都道府県別有効求人倍率が出ており、介護関係職種の有効求人倍率(http://kotobank.jp/word/%E6%9C%89%E5%8A%B9%E6%B1%82%E4%BA%BA%E5%80%8D%E7%8E%87)が2倍を超えている県も少なくない。介護労働安定センター「平成24年度介護労働実態調査結果」(http://www.kaigo-center.or.jp/report/h24_chousa_01.html)(http://www.kaigo-center.or.jp/report/pdf/h24_chousa_kekka.pdf)によると、離職率17.0%、採用率23.3%で、57.4%の介護事業所が不足と感じている。「サービスの普及啓発」「訪問看護との連携」「短時間訪問介護要件見直し」だけではなく、介護人材の確保も重要と感じる。介護人材養成に学生が集まらないという話も聞かれる。昨年度から、一定の研修を受けた介護職員が、たん吸引(口腔内、鼻腔内、気管カニューレ内部)、経管栄養(胃ろう・腸ろう・経鼻)を行うことが可能(http://www.mhlw.go.jp/bunya/seikatsuhogo/tannokyuuin/110906-1.html)(http://www.mhlw.go.jp/bunya/seikatsuhogo/tannokyuuin/pdf/sanko_03.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/bunya/seikatsuhogo/tannokyuuin/pdf/01.pdf)となり、平成28年1月の介護福祉士国家試験合格者からは養成カリキュラムにたん吸引と経管栄養が組み込まれる。来年度からは新カリキュラムとなるが、どれほど学生が集まるか注目される。
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