保健福祉の現場から

感じるままに

二次医療圏の統合

2012年12月25日 | Weblog
河北新報「二次医療圏合併に反論噴出 県議会保健福祉常任委」(http://www.kahoku.co.jp/news/2012/12/20121222t11019.htm)。<以下引用>
<宮城県内七つの2次医療圏再編で、県北の五つの医療圏を「登米・石巻・気仙沼」「大崎・栗原」の組み合わせで合併する県の案に対し、21日の県議会保健福祉常任委員会では反対意見が相次いだ。今野隆吉氏(自民党・県民会議)は、再編の枠組みを決めた県地域医療計画策定懇話会について「構成メンバーが(医療関係者に)限定されている。県民や患者の視点が入っていない」と疑問を投げ掛けた。天下みゆき氏(共産党県議団)は「登米・石巻・気仙沼」の基幹病院が石巻赤十字病院(石巻市)となることを念頭に「石巻市立病院が被災し、患者が石巻赤十字病院に集中している。合併したらさらに負担が増す」と懸念した。新たな2次医療圏の枠組みは第6次県地域医療計画(2013〜17年度)に盛り込まれる。遊佐美由紀氏(改革みやぎ)は「計画は被災市町の復旧・復興の町づくりを尊重しながら策定するべきだ」と主張した。岡部敦保健福祉部長は「各地域の中核病院を充実させる現在の方針は変わらない。医療圏の広域化は地域の医療機能の足りない部分を補うのが目的だ」と理解を求めた。>

二次医療圏の統合は、医政局長通知(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/iryou_keikaku/dl/tsuuchi_iryou_keikaku.pdf)p6では、「人口規模が20万人未満であり、且つ、二次医療圏内の病院の療養病床及び一般病床の推計流入入院患者割合が20%未満、推計流出入院患者割合が20%以上となっている既設の二次医療圏については、入院に係る医療を提供する一体の区域として成り立っていないと考えられるため、設定の見直しについて検討することが必要である。」とされたことによるであろう。同様の動きは徳島県(http://www.topics.or.jp/localNews/news/2012/11/2012_13540652607.html)でも報道されており、ここでは、1.5次医療圏も設定されるらしい。二次医療圏の状況について具体的資料(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/iryou_keikaku/dl/shiryou_a-2.pdf)が出ているが、統合検討対象となった圏域ではどのような状況か、とりまとめが欲しいところかもしれない。二次医療圏は、介護保険法(http://www.ron.gr.jp/law/law/kaigo_ho.htm)第118条2、障害者自立支援法(http://www.ron.gr.jp/law/law/sho_jiri.htm)第89条2の区域、地域保健法(http://www.ron.gr.jp/law/law/hokenjo.htm)第5条2による保健所の所管地域の設定とも関連するものであるが、これらの圏域がどうなるかも気になるところである。新たな医療計画(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/iryou_keikaku/)における5疾病では、糖尿病や精神疾患(この中でのうつ、認知症)は、一般的に診療圏が広くないであろう。しかし、二次・三次救急が絡む急性心筋梗塞や脳卒中では広域でないと完結するのは厳しいであろう。がん(胃がん、肺がん、大腸がん、肝臓がん、乳がん)はがんの種類や進行度によって異なるが、がん診療連携拠点病院を中心とした圏域が不可欠である(特に放射線治療が必要な場合)。その他、小児医療・周産期医療、救急医療、災害医療もある程度広域でないと厳しくなっているであろう。また、うつや認知症以外の精神疾患は広域入院が普遍的に行われており、事情が異なるように感じる。他県をまたぐこともしばしばで、退院支援も難があるかもしれない。ところで、日医総研 日医総研ワーキングペーパー「地域の医療提供体制現状と将来 - 都道府県別・二次医療圏データ集 -」(http://www.jmari.med.or.jp/research/summ_wr.php?no=494)をみると、医療圏間格差が大きいことがわかる。厚労省資料(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/iryou_keikaku/dl/shiryou_b-1.pdf)では、p1で「できる限り二次医療圏単位で現状を把握」、p10で「指標を用いて、全国データ並びに、医療圏間で比較」とされる。医政局長通知(医政発0330第28号)(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/iryou_keikaku/dl/tsuuchi_iryou_keikaku.pdf)p3では、指標は公表し、厚生労働省に報告することになっており、ぜひ、二次医療圏ごとの指標比較一覧表が公表されるべきと感じる。それは統合検討の基礎資料にもなるであろう。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする