保健福祉の現場から

感じるままに

がん検診

2009年05月26日 | Weblog
平成19年度地域保健・老人保健事業報告(http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/c-hoken/07/index.html)によると、平成19年度の市区町村が実施したがん検診の受診率は、「胃がん検診」11.8%、「肺がん検診」21.6%、「大腸がん検診」18.8%、「子宮がん検診」18.8%、「乳がん検診」14.2%である。また、平成19年国民生活基礎調査(http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/20-19-1.html)では、「過去1年間にがん検診を受診した者」は、「胃がん検診」男性32.5%・女性25.2%、「肺がん検診」男性25.7%・女性21.1%、「大腸がん検診」男性27.5%・女性22.7%、「子宮がん検診」21.2%、「乳がん検診」20.3%(http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa07/3-8.html)である。国会議資料(http://www.wam.go.jp/wamappl/bb14GS50.nsf/0/9c286a4356fb73654925757e000d7487/$FILE/20090319_4jirei3.pdf)P24に出ているように、日本対がん協会の支部が実施する「がん検診」は、平成20年は前年同期に比べて、乳がん検診が2万5119人増加している以外は、胃がん検診9万8038人減少、大腸がん検診7万2015人減少、子宮がん検診2万4621人減少、肺がん検診26万4454人減少である。国のがん対策推進基本計画(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/gan_keikaku.html)や都道府県がん対策推進計画(http://ganjoho.jp/public/news/2008/plan.html)では、「5年以内に受診率50%」の目標値が掲げられているが、あまりにかけ離れているどころか、平成20年度はかえって悪化している可能性が高い。なぜ、日本は欧米に比べてがん検診が低調なのか。昨年聞いた講演では、欧米ではがん検診を受けないと医療保険が使えない仕組みになっているそうである。おそらく、職場でがん検診が義務化されているのであろう。日本では、職場でがん検診が実施されているところもあるが、事業主や医療保険者には実施事務はない。実施義務であるのは、いわゆるメタボ健診である。以前のブログで、がん検診を推進するため、①がん検診の財源として、がんとの因果関係が強い「たばこ」税を引き上げて投入する、②各がん検診を積極的に勧奨する重点年齢を設定し、手厚く助成する、③高齢者医療確保法(http://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/iryouseido01/pdf/hoken83b.pdf)第百二十条2項の規定に基づく特定健診・保健指導実施状況による後期高齢者支援金の加算減算のように、各保険者によるがん検診の取り組み状況を医療保険のインセンティブに反映させる、等を例示してみたが、最も重要なのは、社会的に関心を持ってもらうことではないか、と感じる。職場でがん検診が義務付けられていないことは、役人の間でも案外知られていないようである。さて、がん統計(http://ganjoho.ncc.go.jp/public/statistics/backnumber/odjrh3000000o8is-att/DATA04.PDF)をみると、20~50代では女性の方が男性よりがん罹患が多く、かつ乳がんと子宮がんで半数を占めている。政府の経済危機対策(http://www.jimin.jp/jimin/seisaku/2009/pdf/seisaku-010b.pdf)p12で、女性がん対策が打ち出され、子宮頸がん検診の20~40歳と乳がん検診の40~60歳で5歳間隔の節目年齢を設けて市町村から「無料クーポン」が配布される。勤務者にも配布される(保健衛生ニュース5月4日号)(http://www.wam.go.jp/wamappl/bb14GS50.nsf/0/d1eb8cb59f3006bc492575c2000a090d/$FILE/20090526_2shiryou1~2.pdf)というが、勤務女性が受診しやすい体制づくりが不可欠である。例えば、休日検診のほか、夜間検診も推進すべきであろう。今回の施策では40歳のみ、子宮頸がん検診と乳がん検診の無料クーポンがセットになるが、他の年齢では、もう片方の検診を希望される方も出てくるかもしれない。例えば、乳がん無料クーポン受診者が子宮がん検診を希望した場合、通常の市町村がん検診として実施できることが望ましい。やはり、女性がん検診は、子宮がん検診と乳がん検診のセットであろう。

「第4回がんに関する普及啓発懇談会資料」(http://www.wam.go.jp/wamappl/bb14GS50.nsf/vAdmPBigcategory40/D1EB8CB59F3006BC492575C2000A090D?OpenDocument)。
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