保健福祉の現場から

感じるままに

医師臨床研修

2008年12月18日 | Weblog
「臨床研修:1年に短縮へ 医師不足で10年度から」(http://mainichi.jp/select/science/news/20081218k0000m040133000c.html)。<以下引用>
<大学を卒業した新人医師に2年間義務付けられる臨床研修制度について、厚生労働省と文部科学省は17日、医師不足への対応から研修期間を実質1年に短縮する見直し案を両省の専門家検討会に提示した。検討会は年度内にこの方向で報告書をまとめる見通しで、国は10年度の導入を目指す。総合的な診療能力向上を目的に04年度から始まった制度は、わずか6年で方針転換されることになる。新人医師はかつて、卒業した大学の医局(診療科)にそのまま所属するケースが大半だったが、臨床研修制度導入により、2年間で内科、外科・救急、小児科など6診療科の研修が必修となり研修先の医療機関も自由に選べるようになった。この結果、地域の病院に医師を派遣してきた大学病院を研修先に選ばない研修医が多くなり、「地域の医療崩壊を助長した」との制度批判が出ていた。見直し案は、必修を内科、救急など2~3診療科に減らして1年で終わらせ、その後は将来専門とする診療科に入るという内容。2年目も医師法上は「研修」の扱いだが、実質的に各診療科の働き手として組み込まれる。地方の病院も研修医を確保できるよう、募集定員に地域別の上限を設定する案も盛り込んだ。ただし、研修医は例年、5割以上が大学以外の病院を研修先に選んでいる。見直し後も大学病院に研修医が戻る保証はなく、勤務医不足の解消につながるかは不透明だ。検討会では「卒業前の教育を充実させれば研修は1年でも可能」などと肯定的な意見が相次いだが、「見直す必然性がない」との声もあった。また、国が約7600人の医学生に行ったアンケートでも、研修期間は「現状がいい」が31%と最も多く、厚労省は「さらに議論していきたい」としている。>
 
「臨床研修、後半1年は専門科…厚労・文科省が事実上増員案」(http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20081218-OYT1T00171.htm)。<以下引用>
<医師不足を加速させたとされる臨床研修制度について、厚生労働省と文部科学省は17日、現在2年間の研修期間のうち後半の1年間を、将来専門とする診療科に特化させることで、医師不足に対応するとした見直し案を、両省が設置した合同の専門家検討会に提示した。また、研修先の選択に国が一定の制限を設ける内容も盛り込んでいる。検討会は今年度内にも結論を出す見通しで、両省はそれをもとに、早ければ2010年度からの制度見直しを目指したい考え。見直し案では、臨床研修の必修科目を、内科や救急などの基本となる診療科としたうえで、期間を1年間に短縮するとした。その後の1年間を、将来専門とする診療科で研修させることにし、事実上、働き手を増やすことにした。また、医師の地域偏在については、研修医の募集定員に地域別の上限を設けたり、地域医療の臨床研修を一定期間必修化したりすることで対応することにしている。医師不足の診療科を選択する研修医を確保する仕組みも設ける。2004年度から導入された臨床研修制度は、新人医師に広い視野や総合的な診療能力を身につけさせるのが狙いで、大学卒業直後の新人医師が2年間、内科や小児科など7診療科で臨床経験することが必修化された。しかし、研修先が自由に選べるようになったため、出身大学ではなく都市部の有力病院を選ぶ新人医師が増え、大学医局が人手不足に陥った。>

そういえば、以前、「臨床研修制度 産科の必修、意味がない」(http://www.cabrain.net/news/article/newsId/17117.html;jsessionid=9F9EA490C3BBD7A79219529079AFF77F)の記事が出ていた。この中で、「地域別実習でも、地域の診療所・病院に行くのはいいが、保健所は意味がない。」と酷評されていたことから、必修である「地域保健・医療」で、保健所研修が影響を受ける可能性が高いかもしれない。しかし、臨床医は、「診断」「治療」だけではないことは認識する必要がある。せめて、学生実習においてでも保健所研修が必要と感じるところである。

「臨床研修制度見直し案で意見交換」(http://www.cabrain.net/news/article/newsId/19738.html)。
「第4回臨床研修制度のあり方等に関する検討会資料」(http://www.wam.go.jp/wamappl/bb13GS40.nsf/vAdmPBigcategory30/2A5066CB6BAAD8EE492575240009CB6A?OpenDocument)。

少々マスコミ先行型ではないか、と感じないではないかもしれない。
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障害者自立支援法

2008年12月18日 | Weblog
「障害者自立支援法見直し、原案は原則「全額公費負担」」(http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20081217-OYT1T00438.htm)。<以下引用>
<与党が検討している障害者自立支援法の見直しの原案が17日、明らかになった。介護など福祉サービスを利用する際の負担に関する原則を、「1割の自己負担」から「全額公費負担」に改める内容だ。一方で、所得のある人には能力に応じた負担を求めると明記する。来年の通常国会に改正案を提出し、来年度中に実施することを目指す。原案は与党の「障害者自立支援に関するプロジェクトチーム」(座長・木村義雄自民党衆院議員)がまとめたもので、17日午後の会合で検討する予定だ。2006年4月に施行された同法は、サービスの利用量に応じてかかった費用の原則1割を自己負担させる「応益負担」の立場をとっている。これに対し、低所得者からは「負担が重い」と不満が出ており、10月には各地の障害者29人が、同法が憲法の保障する生存権を侵害しているなどとして全国一斉訴訟を起こした。与党の見直しはこうした動きを踏まえ、同法の理念を、所得などに応じて自己負担させる「応能負担」に改めるものだ。政府は現在、所得ごとに負担額を定めることにより、平均の自己負担割合を3%程度に引き下げる負担軽減措置をとっており、公費支出は年間100億円の増加となっている。与党は法改正後もこの枠組みを維持し、支払い能力のある人に応分の負担を求める方針だ。また、原案には、福祉サービスのうち、障害者が福祉施設で作業して賃金を得る就労支援サービスでは当分の間、自己負担を求めない方針も盛り込まれた。全国的に賃金が少ないため、負担を求めるのは適切でないと判断した。同法については、民主党も「応益負担」を「応能負担」に変更する内容の改正案を国会に提出している。>
 
障害者自立支援法は、その成立過程から紆余曲折があった。ウィキペディア(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9A%9C%E5%AE%B3%E8%80%85%E8%87%AA%E7%AB%8B%E6%94%AF%E6%8F%B4%E6%B3%95)に法案成立までの経緯が紹介されている。平成17年2月に衆議院に提出され審議開始。郵政解散によって同年8月に審議未了で廃案。総選挙後の同年10月に国会に提出され審議が再開し、成立。自立支援医療は翌年4月施行、完全施行は平成18年10月である。一旦廃案になったためか、総選挙の際には全く話題にならなかった。施行後は、ようやくマスコミでも「現場の声」が報道されるようになり、それを受けていろいろな見直し(http://www.wam.go.jp/wamappl/bb15GS60.nsf/0/4ae721799b8f89f1492573be0000bb62/$FILE/20071227_1sankou1~2.pdf)が行われた。福祉関係の教科書がついていけなかったかもしれない。そういえば、工賃倍増5ヵ年計画(http://blog.goo.ne.jp/miraikibou/e/13a0922f0fb89317c9036fcd7f5dcb88)が策定されているが、この不況の中で大変気になるところかもしれない。障害者自立支援法は現場に混乱を招いたことは否定できないが、その中で障害者の自立と支援の様々な動きが出てきたことは確かである。障害者福祉は、社会全体で考えるべき課題であることを改めて感じるところである。
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