とにかく書いておかないと

すぐに忘れてしまうことを、書き残しておきます。

映画『ノスタルジア』を見ました

2024-05-11 08:27:02 | 映画
タルコフスキー監督がソ連を亡命してイタリアに渡って作った映画『ノスタルジア』を見ました。難解な映画ですが、心を写す映像の迫力がすごく、圧倒させられる映画です。

40年ほど前、タルコフスキーブームがあり、新宿のシアターアプルという劇場でタルコフスキー特集が組まれました。わたしはそこで主だったタルコフスキーの映画を見ました。難解な映画もあり、しかも長い映画もあったのですが、どの映画も不思議な迫力があり、強く印象に残っています。映画の芸術性を強く感じました。今回映画館で再び見ることができ、その映像のすばらしさと、メッセージ性の高さに再度触れることができました。

タルコフスキー映画の大きな特徴は、水です。常に水が流れている印象があります。普通なら水がないような場所にも水が流れ込みます。そしてそこに過去の時間が流れ込みます。特に母親の影が写し込まれるのです。これは映像詩と呼ばれるべきものなのでと思います。特に説明があるわけではない映像が直接観客にはたらきかけるのです。ちょうど音楽や絵画のはたらきを映像によって行っているのです。だから、難解ではあるのですが、その映像に身をまかせることによって、不思議な体験をしているような気持ちにさせられるのだと思います。

ラストシーンは衝撃的です。広い自然にいるのだと思ったら、その広い自然は閉ざされた場所であったことが分かります。自由だと思ってゐた世界が、結局は管理された世界の中にいたことを物語ります。今の地球の状況もおなじなのではないでしょうか。

タルコフスキー監督の他の作品も、もう一度映画館で見てみたいと強く思いました。
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