河童メソッド。極度の美化は滅亡をまねく。心にばい菌を。

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OCNから2014/12引越。タイトルや本文が途中で切れているものがあります。

358- コリン・デイヴィス バイエルン 1991-11

2007-07-24 20:02:00 | 音楽

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1991年に聴いた演奏からピックアップして書いてます。

記録の網羅ではありません。

個人で生聴きしたものだけを書いてます。

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この年、デイヴィスのバイエルン放送交響楽団とマゼールのピッツバーグはほとんど同じタイミングで来日しました。

ピッツバーグ1991.5.17~5.25

バイエルン 1991.5.16~5.27

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ピッツバーグの公演については前回のブログで書きました。

バイエルンの1991年来日公演スケジュールはこんな感じ。

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19915

16()オーチャードホール

17()オーチャードホール

18()聖徳学園川並記念講堂

19()千葉県文化会館

21()東京文化会館

22()昭和女子大学人見記念講堂

23()清水市民文化会館

24()ザ・シンフォニーホール

26()名古屋市民会館

27()サントリーホール●

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●は河童潜入

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バイエルン放送交響楽団というとどうしても1975年来日のおり、指揮者のクーベリックが、

こんなひでぇ音のホールでマーラーの9番なんか振れるわけねぇだろう、

と、演奏を拒絶された日比谷公会堂のことを思い浮かべるが、その昔はあすこしかなかったとはいえ、1975年にはいろいろあったわけだから、最初からどうにかしていればと思わなくもない。

ロリン・マゼール率いるクリーヴランド管弦楽団だってあすこで演奏したことあるもんね。

どうしようもなかったのかもしれない。

ホールが追いつかなかったというかなんというか。

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それで27日の公演はどうだったの?

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1991527()7:00pm

サントリーホール

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モーツァルト/交響曲第38番「プラハ」

ベートーヴェン/交響曲第3番「英雄」

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コリン・デイヴィス指揮

バイエルン放送交響楽団

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性能が素晴らしく、ややメタリックで、黒光りする音色がフレーズ毎に楽器を変え絡み合ってくる様は、昔からブラスが少し弱いなどといわれたりしたものの、そのようなことは微塵も感じさせぬ迫力ある演奏であった。

他日のプログラムではマーラーの4番、ブラームスの1番の日もあったが、久しぶりに聴くこのオーケストラはこの曲で聴きたい。

前半のモーツァルトは重い曲でそれにふさわしい本格的な演奏であったが、そのままの雰囲気が休憩後のエロイカまで緊張感として継続した。

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ベルリン・フィルとかウィーン・フィルだと演奏に余裕があるというか、アンサンブルの総体としての鳴り、のようなものがあり、個々人の技術的な余裕がオーケストラという総体にそのまま表れるようなところがあり、一つの生き物のように聴こえてくることがある。

バイエルン放送交響楽団の音というのは、技術的にはもちろん素晴らしいのだが、個人の総体が全体として一つの方向性を100パーセント示しているかというと、そうでもなくて、そうでもないということではないが、もう一つ別の表現としての多様性のようなものに特徴があるような気がする。

バイエルンのエロイカは一聴すると細くスタイリッシュな風に聴こえてくるフレーズがあったりする。

それがなんだか現代音楽風にさわやかに聴こえたりして、もしかしてエロイカも巷ではすでに陳腐な曲で流される演奏が多いからかもしれない、などといったことを想起させてくれる。クーベリックが指揮したマーラーなどもそのように聴こえてくる箇所がある。

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この日はエロイカが新鮮に聴こえてくる演奏であった。

切れ味鋭くダイナミックで、強音よりも弱音にウエイトをおいた演奏。これはデイヴィスの策でもあるのだろう。

静かな箇所は味わうべきだ、という風に聴こえる。

その意味では、最近(21世紀)の若手指揮者にはやっているような解釈だ。

スローなテンポで味わい深く、その表現に耐えうる技術をもつオーケストラ。今のオケは技術レベルが昔とは段違いにうまくなっているので若い指揮者も好きなよう曲を解釈することができ、オケも自由自在に演奏表現ができるようになってしまった。

昔のレベルとは基準点が異なるような気がしないでもないが、そんなことを今頃になって思い起こさせてくれるようなデイヴィスの棒だった。

おわり

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