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●科学技術ニュース●産総研グループとAGC、グリーン水素製造の低コスト化を目的とした高圧水電解基礎評価試験の共同研究を開始

2024-03-27 09:33:29 |    ★水素ニュース★
 産業技術総合研究所(産総研)、AGCと株式会社AIST Solutionsは、2024年4月より高圧環境におけるPEM(Proton Exchange Membrane:プロトン交換膜)型水電解技術の特性解明を目的とした共同研究を開始する。

 高圧環境下で製造した水素は含有水分量が少なくなり、乾燥設備の小型化や昇圧設備の削減など投資コストの低下につながるため、同研究はカーボンニュートラル実現に向けた、水素普及への貢献が期待される。

 PEM型水電解は、太陽光発電などの発電量の変動が大きい再生可能エネルギーの活用に適した技術で、グリーン水素製造に必要な技術として注目されている。

 グリーン水素の製造・供給は世界各国で計画されており、燃料電池車など社会インフラにおけるグリーン水素利用の拡大には、水素製造コストの低減が課題。

 その解決方法の1つが高圧で水素を製造する水電解技術で、欧米では高圧環境下(3~5MPa)での水電解装置運転が主流となっている。

 一方、日本では高圧ガス保安法による高い安全基準が定められていることなどから、結果として1MPa以上の高圧で水素製造装置の性能を評価できる公的な設備がないことが課題となっている。

 同共同研究は、産総研福島再生可能エネルギー研究所(FREA)に実験評価設備を新設し、2024年4月から実験を実施する予定で、高圧環境下で水素を製造するための知見を蓄えるべく、両者協力のもと研究を進める。

 AGCは、今回実験に用いる水素製造用フッ素系イオン交換膜FORBLUETM Sシリーズをはじめとした電解膜に関する事業に1975年から取り組んでおり、これまで蓄積した幅広い知見を活用し、高圧環境下での基礎的な膜材料特性の把握と、高圧水電解用膜設計技術の確立を目指す。

 産総研は、これまでにFREAで開発してきた水電解に関連する基礎技術や評価技術を基に、高圧水電解における膜材料評価技術の確立を目指す。

 AGCと産総研グループは、グリーン水素を利用したクリーンエネルギーの普及により、サステナブルな社会実現を目指し、同共同研究を進める<産業技術総合研究所(産総研)>
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