都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「小西紀行『人間の家』」 ARATANIURANO
ARATANIURANO(中央区新富2-2-5 新富二丁目ビル3階)
「小西紀行『人間の家』」
12/8-2008/1/26
その独特のタッチと色遣いが、一見、至極真っ当な「肖像画」を解体します。1980年生まれの若いアーティスト、小西紀行の個展です。
ともかくまず印象に残るのは、まるで刷毛で書を象るかのようにして塗られた極太のタッチの重みです。登場する人物の全てを力強い筆にて、さながら太い紐で組み上げられた人形のように表しています。言い換えれば、うねり、そして跳ね、さらには沈み込む油彩の波が、顔の個々の部分、例えば鼻や耳、それにアゴなどをグルリと一周するかのようにして駆け巡っているとも出来るかもしれません。また、その上に小さい点として示される赤色の目や口などとの対比も鮮やかでした。
どの人物も無表情を装っているように思えますが、そのタッチを追っていくと、どこかはにかんでいたり、またニヤリと笑っていたりするなど、全体から受ける毒々しい印象とは正反対な無邪気さを見せています。特にポーズも構えず、ぼんやり佇んでいる少年などの様子を見ると、何やら描かれていることに対する彼の羞恥心すら感じられました。また登場する人物には、上でも触れた赤い目や口、それに白髪など、全てに共通するある種の匿名性が保たれていますが、それらの個をこじ開けていくかのようにして見る作業もまた刺激的なのではないかとも思います。
このような「肖像画」には初めて出会いました。来年1月26日までの開催です。これはおすすめします。(12/15)
「小西紀行『人間の家』」
12/8-2008/1/26
その独特のタッチと色遣いが、一見、至極真っ当な「肖像画」を解体します。1980年生まれの若いアーティスト、小西紀行の個展です。
ともかくまず印象に残るのは、まるで刷毛で書を象るかのようにして塗られた極太のタッチの重みです。登場する人物の全てを力強い筆にて、さながら太い紐で組み上げられた人形のように表しています。言い換えれば、うねり、そして跳ね、さらには沈み込む油彩の波が、顔の個々の部分、例えば鼻や耳、それにアゴなどをグルリと一周するかのようにして駆け巡っているとも出来るかもしれません。また、その上に小さい点として示される赤色の目や口などとの対比も鮮やかでした。
どの人物も無表情を装っているように思えますが、そのタッチを追っていくと、どこかはにかんでいたり、またニヤリと笑っていたりするなど、全体から受ける毒々しい印象とは正反対な無邪気さを見せています。特にポーズも構えず、ぼんやり佇んでいる少年などの様子を見ると、何やら描かれていることに対する彼の羞恥心すら感じられました。また登場する人物には、上でも触れた赤い目や口、それに白髪など、全てに共通するある種の匿名性が保たれていますが、それらの個をこじ開けていくかのようにして見る作業もまた刺激的なのではないかとも思います。
このような「肖像画」には初めて出会いました。来年1月26日までの開催です。これはおすすめします。(12/15)
コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )
« 「鳥獣戯画が... | 「特別展 北... » |
清澄のほう、最終日に行ってきました。
他の誰々風という感じではないので、やられてしまいました。
次も展示があれば行くと思います。
>他の誰々風という感じではない
そうですよね。肖像画でありながらとても新鮮でした。
黒い壁にポートレートの並ぶの清澄もまた良かったです。これからも追っかけたいなと思いました。