「佐藤好彦個展『 1 : 4 : 9』」 ヴァイスフェルト 6/3

ヴァイスフェルト(港区六本木6-8-14 コンプレックス北館3階)
「佐藤好彦個展『 1 : 4 : 9』」
5/12-6/10



既製品を反復し、または変形させることで、思いがけない造形の面白さを提供する佐藤好彦の個展です。高さ2メートルはゆうに超えるだろうという巨大なスピーカー。それが真っ白な展示室に一つだけドーンと置かれています。まずは、奇妙で謎めいたその存在感に圧倒される展覧会です。

このスピーカーの名前は「Model 432001」。大小様々な振動板が、まるで目のようにいくつも付いています。そして裏側にも同じような振動板がたくさん群がっている。またスピーカーからは、どこかで聴いたような音楽や英語の会話、それにけたたましい警報音などが流れていました。音は、表と裏の両方にてステレオが完成する仕組みになっているのか、狭い展示室に不気味なサラウンド効果をもたらします。ともかく、その形、大きさともに、奇異で不思議です。これは一体何を意味するのでしょう。

その答えは、タイトルと形、そして流れてくる音にありました。ドーンと立った分厚い板のような存在感。これは、かの有名なSF超大作「2001年宇宙の旅」に登場する「モノリス」のイメージなのです。そして1:4:9とは、まさに「モノリス」と同様に、27.5×110×147.5(センチ)の大きさを表すという仕掛け。そう言われてみれば、スピーカーから発せられる音が、あたかも「モノリス」を取り巻く磁場のような役割をしているようにも感じられます。また、これが「モノリス」のイメージだと気がつかなくても、その事物の存在感は強烈です。まさに磁場に吸引されていく感覚。もちろんスピーカー自体のクオリティーも非常に高い。これだけ作り込んであると、さすがに作品の魅力も増すと言うものです。

「モノリス」に遭遇した衝撃の体験をスピーカーで味わえる(?)展覧会です。今週の土曜日、10日までの開催です。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
« 「森万里子 『... 「田口和奈『... »
 
コメント
 
コメントはありません。
コメントを投稿する
ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません
 
名前
タイトル
URL
コメント
コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。