N響定期 「マーラー:交響曲第9番」他

NHK交響楽団 第1614回定期公演Cプログラム

メシアン:キリストの昇天
マーラー:交響曲第9番

指揮 チョン・ミュンフン
管弦楽 NHK交響楽団

2007/2/15 19:00~ NHKホール3階



約8年ぶりとなるというチョン・ミュンフンの共演です。Cプロ初日に行ってきました。メシアンとマーラーの大作、交響曲第9番という重厚なプログラムです。

メインのマーラーについて端的に言ってしまうと、後半の第3、第4楽章が優れていたと思います。チョンの熱意もやや空回りしていた感のある前半部分とは異なって、非常に烈しいアレグロから一時の静寂、そしてほぼ弦楽合奏による濃厚な調べが、彼ならではのダイナミクスに長けた音楽によって表現されていました。金管も低調な、全体にもどこか冷めたN響を、特に第4楽章においてあれほど練り上げた彼の指揮は十分に賞賛に値するのではないでしょうか。率直なところ聴く前は、チョンとN響の組み合わせにあまり良いイメージが浮かびませんでしたが、滔々と流れながらも、それでいて情感豊かで芯も通ったアダージョを聴くと、彼がオーケストラに良い影響を与えたのは明らかだと思います。諦めを示すような極限のピアニッシモが続き、マーラーでさえ大き過ぎるホールに完全な静寂が訪れると、割れんばかりの拍手が鳴りわたりました。一階席では一部、スタンディングオベーションまで起きていたようですが、それはともかくも、まずは多く飛んでいたブラボーにも納得出来る演奏であったと思います。

チョンは音楽の横方向の流れを重視するのでしょうか。各フレーズを緩やかに繋ぎながら、時に爆発するように烈しくオケを鳴らしていました。その分、縦の線も要求される第一楽章ではやや揃わない印象が強く出てしまったわけですが、どこか吹っ切れたように飛ばした、まるでダンスミュージックのようなテンポをとる第3楽章が、それこそオーケストラに喝をあたえた格好になったのかもしれません。それ以降は、半ば目覚めたN響による充実した演奏を楽しむことが出来ました。

私自身、この曲には非常に思い入れがあるので、恥ずかしながらもそれが生で鳴るだけで感動してしまいますが、少なくとも初日の第4楽章は涙を誘うような感動的な演奏であったと思います。いわゆるうねりの有無等々、マーラー好きには賛否の分かれそうな部分もありましたが、まずは立ち直った後半部に、今後のチョンとN響とのコンビの可能性を見出したいところです。
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