「妖怪奇譚 金子富之展」 日本橋高島屋 美術画廊X

高島屋東京店 美術画廊X
「妖怪奇譚 金子富之展」
5/25-6/13



「妖怪を描く異色の画家」(美術画廊サイトより引用)、金子富之の作品を紹介します。日本橋高島屋 美術画廊Xで開催中の「妖怪奇譚 金子富之展」へ行ってきました。

妖怪を描くと言われてもピンと来ないかもしれませんが、作家の金子富之は小さい頃から超常現象等に興味を持ち、その世界観を体現するために絵画の道を志したというエピソードの持ち主です。仏教の唯識論の中に登場するという魔境の世界を描いた絵画は、いずれもが思わず後ずさりしてしまうほどの強烈な存在感を放っていました。


「赤獅子」2010年 

2010年の同画廊の「META X」にも展示されていた「赤獅子」からしても強烈です。インドなどで王の守護動物とされる獅子を、魔除けの効果のある赤色などで描いた作品は、あたかもその獅子が今にも飛び出さんとするかのような迫力がありました。

作品の殆どは縦横2メートルを超えるほど大きなものですが、金子の面白い点は、そうした大作の中でも非常に神経の行き届いた緻密な描写があることです。

たとえば冊子表紙を飾る「竜を呑む大蛇」においても、その麻紙の表面におけるアルミ粉などが、独特の画肌を生み出してはいないでしょうか。竜たちは銀色にも金色にも輝き、空間の中を埋め尽くさんとしてのたうち回っていました。

また作品によっては古書なども作品に取り込んでいます。岩絵具の他、墨やペンなど、素材の質感にも要注目と言えるかもしれません。


「火童」2006年
 
「火童」には背筋が寒くなりました。火事の映像を映したビデオの画面に一瞬だけ表れたという『謎の存在』(冊子より引用)は、目から血の涙を流し、どこか座敷童のような出立ちで、また無表情にこちらを見つめています。その目に捉えられるとしばらく離れることが出来ませんでした。

2003年に東北芸工大の日本画コースを卒業した金子は、現在、山形の地で制作に励んでいるそうです。それこそ東北画あらぬ、どこかドロドロとした、一切の包み隠しのない生命の源泉が、そのまま魔物へと姿を変えて絵画に表れているように思えてなりませんでした。

ジパング展の際にさり気なく寄ったつもりでいましたが、その類い稀な画風にノックアウトされ、ついつい長居してしまいました。如何せんアクの強い作品でもあるので好き嫌いは分かれそうですが、未だ妖怪や魔物たちのイメージは頭の中を離れることがありません。

6月13日まで開催されています。これはおすすめします。

「妖怪奇譚 金子富之展」 日本橋高島屋 美術画廊X
会期:5月25日(水)~6月13日(月)
休廊:会期中無休。
時間:10:00~20:00
住所:中央区日本橋2-4-1 日本橋高島屋6階
交通:東京メトロ銀座線・東西線日本橋駅B1出口直結。都営浅草線日本橋駅から徒歩5分。JR東京駅八重洲北口から徒歩5分。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
« 6月の展覧会・... 「魅惑のモダ... »
 
コメント
 
コメントはありません。
コメントを投稿する
ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません
 
名前
タイトル
URL
コメント
コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。