「菅木志雄展」 小山登美夫ギャラリー 3/4

小山登美夫ギャラリー(江東区清澄1-3-2 7F)
「菅木志雄展」
2/18-3/11

いわゆる「もの派」のアーティスト、菅木志雄の個展が小山登美夫ギャラリーで開催されています。先日出向いてきました。

この展覧会では、新作の巨大な立体作品3点と、彼が70年代に行った「行為」と呼ばれるパフォーマンス・アートを撮影したビデオ作品、または写真が数点並んでいます。大変失礼ながら、パフォーマンス・アートにはどうしても「時代性」を感じてしまうのですが、新作の木材や石を利用した立体作品は見応えがありました。倉庫のようなこのギャラリーの空間を上手く変化させる、石や木の「力」や「作用」を感じる展覧会です。

大きな3点の立体の中では、4つの台座の上に薄いガラス板を並べて、両側にロープで石を吊るした「静止へ」が特に美しい作品でした。ガラスという素材の透明感と、横へ向かうロープの張りが石の重みを強調している。4つの台座がどこか不安定に見えるのは、ロープとガラスがともに脆い性質であるからなのでしょうか。ガラスの上に張られたロープを断ち切った時、ともに引っ張られていた石は落下して、さらにはガラスもバランスを崩して下へ落ちるかもしれない。無骨な表情を見せる他の木材を使った作品にはない、素材の洗練された味わいと、空間自体の緊張感が感じられます。菅の木材の作品はやや苦手なのですが、この作品にはとても惹かれました。一押しです。

立体の中には小さな作品も数点展示されていましたが、その中では、厚手の板に無数の尖った木片が差し込まれた「界向律」が魅力的な作品です。所狭しと板に差し込まれた木片。その一つ一つの木片は、まるで今板へ飛び込んで来たかのように、グサリと危うく突き刺さっています。少しでも触ったら取れてしまいそう。会場ではただごく普通に展示されているだけでしたが、スポットライトを当てて、木片の影を生み出して見せても面白いのではないかと思いました。

菅の展覧会は、今、東京画廊でも「空気の流路」という個展が開催されています。(3/11まで。)また、東京国立近代美術館の常設展示室(本館3階)でも、近作の「景留斜継」(木材とワイヤーロープ)という作品が展示されています。こちらは窓越しに景色、つまりお堀や石垣などを取り込んだ、近美では珍しい外との繋がりを思わせる作品です。通常の展示室からやや奥まった個室にあるので目立ちませんが、最近購入された作品ということで、展示替えに関わらずしばらく公開し続けるそうです。菅の木枠を通して見る旧江戸城の石垣や杜、さらには丸の内のドミノのように並ぶ四角いビル群もまた良いかもしれません。展覧会は11日までの開催です。

東京画廊での「空気の流路」展を見てきました。
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