「金沢健一 『音のかけら』とパフォーマンス」 上野の森美術館ギャラリー

上野の森美術館ギャラリー(台東区上野公園1-2
「金沢健一 『音のかけら』とパフォーマンス」
9/20-10/8



昨年、資生堂ギャラリーでの「life/art'05」をご記憶の方もいらっしゃるのではないでしょうか。さながら「音響彫刻」とも言えるインスタレーションを手がける、金沢健一のパフォーマンス付き個展です。早速、初回15時より行われたパフォーマンスを聞いて(見て)来ました。


(開始前。「音のかけら」に来場者が集まっています。)

会場は上野の森美術館内、入口すぐ横にあるギャラリーです。始まる10分ほど前に到着しましたが、既に待っている方がちらほらと見受けられました。ちなみに「音のかけら」をはじめとするこれらの作品は、パフォーマンス時間以外でも期間中常時展示されている上、その辺に転がっているバチなどを利用して自由に音を出すことが出来ます。かけらに近づいて色々と試してみるのも悪くありません。


(「音のかけら」と格闘する金沢。ここはかけらを擦って音を出していました。時に耳をつんざくような轟音を出すこともあります。)

金沢健一は開始時間になると静々と登場し、そして前触れもなく徐に作品へと向って音を出し始めました。バチ、ボールのようなもの、そして手などと、いわゆる『楽器』は何か個々に特定されたものがあるわけではありません。また金沢の音のインスタレーションは、『音楽』を奏でるものでもないと思います。確かに時にミニマル音楽らしきものが聞こえてくる時もありましたが、基本はこれらの素材を用いてどれほど様々な音が出せるのかという、その幅広さと奥深さを楽しむ作品です。バチで叩くと澄んだ良い音がしますが、金沢が絶妙な力加減で直接「かけら」を叩くと、不思議と軽やかで柔らかな音が展示室いっぱいに広がります。インスタレーションの時間は計30分ほどです。楽譜もなく、もちろん何か厳格に定められた音の出し方があるわけでもないので、まさに偶然的な、おそらくはもう二度と出ないであろう一期一会の音が連なっていきます。また、黙々と作品に対峙して音を出す金沢の姿は、演奏家というよりも、どこか求道者のような険しい気配が漂っていました。しんと静まり返った庭でししおどしの音に耳を傾けるように、静謐かつ時に鳴り響く音の妙味に感じ入るという仕掛けなのです。


(「振動態」で音の波紋を見せる金沢。)

最後は「振動態」と呼ばれるテーブル状の作品にて、音の波紋を視覚的に見ることが出来ます。ここは金沢の解説付きでした。

パフォーマンスの時間は、基本的に会期中の土日祝日、午後3時より30分ほどですが、その他のアーティストを巻き込んだイベントも予定されています。スケジュールは公式HPもご参照下さい。

展示は10月8日までです。(9/22)
コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )
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コメント
 
 
 
コンセプトは同じかな。 (meme)
2007-09-26 20:26:14
こんばんは。
金沢健一さんのお名前初めて知りました。
鉄を素材として音をテーマにした彫刻作品などを制作されているのですね。
同じ音をテーマに扱う藤本由紀夫さんとコンセプトは似ていますね。
音を波紋にして視覚的に表現するのと同じような試みを藤本氏も行っていました。
 
 
 
Unknown (はろるど)
2007-09-26 22:41:19
memeさんこんばんは。
藤本さんの作品はあまり良く知らないのですが、(申し訳ありません…。)
確かにコンセプトとしては似ているかもしれませんね。
大阪の藤本展を見られなかったのが残念です…。

>鉄を素材として音をテーマにした彫刻作品などを制作されている

資生堂ギャラリーでの個展でもパフォーマンスがあったのですが、
それを聞き逃してしまったので今回は良い機会でした。
 
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