都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「山種コレクション名品選 前期展示」 山種美術館
山種美術館(千代田区三番町2 三番町KSビル1階)
「山種コレクション名品選 前期展示」
4/21-6/3
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5e/45/ece7e5ebd800cad12818086d33dc66dd.jpg)
山種美術館御自慢の日本画コレクションから、選りすぐりの名品ばかりが揃いました。「山種美術館コレクション名品選」です。会期は前後期の二部に分かれていますが、一度の展示替えで全作品が入れ替わります。(出品リスト)事実上、異なる二つの展覧会と見て良いでしょう。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/76/3a/92446538d5d23a2a02d763fdeb98365b.jpg)
山種美術館と言えば御舟の優品をいくつも所蔵することで有名ですが、この名品展だけでも計10点の出品が予定されています。そのうち前期(計5点。)では、まず「名樹散椿」(1929)を挙げないわけには参りません。大きくせり上がる丘より伸びるのは、抽象の味わいすら感じさせるしなやかな椿の大木です。葉はざわつくように群れ、そこに紅白に色付く写実的な花がいくつも付いています。ちなみにこの椿は、京都のお寺にある樹齢400年を数えた古木なのだそうです。(ただしそれでいながら、この木にはまるで老いを感じません。)何やらルソーの絵画も連想してしまうような、細部の緻密さと全体の構図の大胆さを持ち合わせた名品です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0a/18/8c60caa7997bb88c8aafb27436e83fed.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5c/9c/4666f945ec782918e9993cca5a51dd78.jpg)
「牡丹花(黒牡丹)」(1934)に見る『品の良さ』も、御舟の魅力の一つではないでしょうか。まるで黒い綿が包みこんだような黒牡丹が一輪、瑞々しく咲き誇る様子が捉えられています。また牡丹と言えば、「写生画巻」の「牡丹」(1926)も必見の作品です。こちらは展示環境が良くなく、蛍光灯による自分の影が作品へ写り込んでしまうのが残念でしたが、確かなデッサン力に基づく牡丹をいくつも楽しむことが出来ました。控えめな薄いピンク色もまた美しいものです。
名品展と言うことで、さすがにこれまでにも拝見したことのある作品がいくつも出ていましたが、その中からは抱一の「秋草鶉図」(江戸後期)と松園の「新蛍」(1929)、それに松篁の「白孔雀」(1973)や土牛の「醍醐」(1972)などを挙げたいと思います。これらは以前にも拙ブログにて感想を書いた記憶があるので繰り返しませんが、どれもこの美術館で出会うことに喜びすら感じるような優れた作品です。抱一の草花のリズムに秋風を感じ、また松園の描く淑やかな女性に惚れ、(いわゆる近代日本画の美人画では松園が一番好きなのかもしれません。)さらには白い顔料がさながら宝石を砕いたように舞う「白孔雀」や、眩しいほど桜の煌めく「醍醐」に心から魅入りました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/58/3e/24af78e2c4628ed546f7c26b104cb0ab.jpg)
京都で回顧展を楽しんだ平八郎も一点出ています。また、久々に豪華な図録まで用意されていました。入館料が値上がりしたのは残念でしたが、この企画に対する美術館の意気込みも伝わってきます。
前期展示は明日まで、後期は今月6日より7月16日までの開催です。もちろんそちらも見に行きたいと思います。(5/27)
*関連エントリ
山種美術館で楽しむ「秋草鶉図」
「山種コレクション名品選 後期展示」 山種美術館
「山種コレクション名品選 前期展示」
4/21-6/3
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5e/45/ece7e5ebd800cad12818086d33dc66dd.jpg)
山種美術館御自慢の日本画コレクションから、選りすぐりの名品ばかりが揃いました。「山種美術館コレクション名品選」です。会期は前後期の二部に分かれていますが、一度の展示替えで全作品が入れ替わります。(出品リスト)事実上、異なる二つの展覧会と見て良いでしょう。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/76/3a/92446538d5d23a2a02d763fdeb98365b.jpg)
山種美術館と言えば御舟の優品をいくつも所蔵することで有名ですが、この名品展だけでも計10点の出品が予定されています。そのうち前期(計5点。)では、まず「名樹散椿」(1929)を挙げないわけには参りません。大きくせり上がる丘より伸びるのは、抽象の味わいすら感じさせるしなやかな椿の大木です。葉はざわつくように群れ、そこに紅白に色付く写実的な花がいくつも付いています。ちなみにこの椿は、京都のお寺にある樹齢400年を数えた古木なのだそうです。(ただしそれでいながら、この木にはまるで老いを感じません。)何やらルソーの絵画も連想してしまうような、細部の緻密さと全体の構図の大胆さを持ち合わせた名品です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0a/18/8c60caa7997bb88c8aafb27436e83fed.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5c/9c/4666f945ec782918e9993cca5a51dd78.jpg)
「牡丹花(黒牡丹)」(1934)に見る『品の良さ』も、御舟の魅力の一つではないでしょうか。まるで黒い綿が包みこんだような黒牡丹が一輪、瑞々しく咲き誇る様子が捉えられています。また牡丹と言えば、「写生画巻」の「牡丹」(1926)も必見の作品です。こちらは展示環境が良くなく、蛍光灯による自分の影が作品へ写り込んでしまうのが残念でしたが、確かなデッサン力に基づく牡丹をいくつも楽しむことが出来ました。控えめな薄いピンク色もまた美しいものです。
名品展と言うことで、さすがにこれまでにも拝見したことのある作品がいくつも出ていましたが、その中からは抱一の「秋草鶉図」(江戸後期)と松園の「新蛍」(1929)、それに松篁の「白孔雀」(1973)や土牛の「醍醐」(1972)などを挙げたいと思います。これらは以前にも拙ブログにて感想を書いた記憶があるので繰り返しませんが、どれもこの美術館で出会うことに喜びすら感じるような優れた作品です。抱一の草花のリズムに秋風を感じ、また松園の描く淑やかな女性に惚れ、(いわゆる近代日本画の美人画では松園が一番好きなのかもしれません。)さらには白い顔料がさながら宝石を砕いたように舞う「白孔雀」や、眩しいほど桜の煌めく「醍醐」に心から魅入りました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/58/3e/24af78e2c4628ed546f7c26b104cb0ab.jpg)
京都で回顧展を楽しんだ平八郎も一点出ています。また、久々に豪華な図録まで用意されていました。入館料が値上がりしたのは残念でしたが、この企画に対する美術館の意気込みも伝わってきます。
前期展示は明日まで、後期は今月6日より7月16日までの開催です。もちろんそちらも見に行きたいと思います。(5/27)
*関連エントリ
山種美術館で楽しむ「秋草鶉図」
「山種コレクション名品選 後期展示」 山種美術館
コメント ( 12 ) | Trackback ( 0 )
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豪華な図録とやらも楽しみです、ここは図録めったにつくらないでしょ。
今後の予定を見ると川合玉堂があったりわくわくしますね。
最終日のご観覧でしたか。
値上がりにも構わず、集客はなかなか好調のようですね。
あの見事なコレクションを見るとさもありなんという気もしますが。
図録は図版としては立派でした。
あとは読み物の部分がもう一歩、充実していれば良かったなとも思います。
後期も楽しみです!
はろるどさんの細やかな観察眼の記事にTBできるほどの記事でもなく、ただただかるーく書いていてお恥ずかしいかぎりなのですが…。
私も松園の女性の絵の美しさに惹かれました。蛍のほうにふっと向いた女性のやわらかでしなやかな感じがとても魅力的だったと思います。
後期もとても楽しみです!
気が付くのが遅く行けませんでした!!!
残念!
関係ないけれど、
今日、藤井一興先生とツーショット写真が
撮れてました!
嬉しい
>私も松園の女性の絵の美しさに惹かれました。蛍のほうにふっと向いた女性のやわらかでしなやかな感じがとても魅力的
松園素敵ですよね。
本当に気品があるというか、清楚な女性ばかりで見入ります。
また後ほどTB先を拝見させていただきますね。
今後とも宜しくお願いします。
そうなのです。秋草鶉図は前半だけなのです。(残念ですが…。)
ただ後期には速水御舟の名品もたくさん出ますので、
きっとそちらもお楽しみいただけるかと思います。
>藤井一興先生とツーショット写真
おお!素晴らしいですね!
拝見したいくらいです。
あの炎の出展されるんでしたよね??
ツーショット写真アップしてますよ~
私の顔はハッピーですがね(笑)
藤井先生ラブリー過ぎます
もちろん炎は出ます。もうこの作品を拝見したくて…。
楽しみです!
>ツーショット写真アップしてますよ~
私の顔はハッピーですがね
早速!
チラシがあることにとにかく驚かされ
そして館内の名品にもまた驚かされ
狭い館内を慌しくちょこまかと
動きまわってしまいました。
>チラシがあることにとにかく驚かされ
そうですね。何たって図録までありましたから…。
ひそかに値上げしていたのも、
この展覧会の為だったのでしょうか??
後期は炎舞が楽しみです!!
前期、かなり良さそうですね。
残念ながら後期になってから行ってきました。
今回は御舟にやられました。あのチケットの花もいい感じです。
>前期、かなり良さそうですね。
後期も良さそうですね。御舟の炎舞がとても楽しみです!
そろそろ会期末なので忘れずに行かないと…。
また感想をあげたらTBさせていただきます!