「染谷悠子展」 小山登美夫ギャラリー

小山登美夫ギャラリー江東区清澄1-3-2 6階)
「染谷悠子展」 
6/2-23

細やかな鉛筆の線描によって表現された象や鳥、それに草花のモチーフに、淡い水彩がリトインク(版画用のインク)を用いて美しく配されています。新作のペインティング7点にて構成された、染谷悠子の個展です。



圧巻なのは、まるで鳳凰のような巨大な鳥の描かれた「detail」(2007)でした。繊細で揺らぎのある細い線で描かれた鳥が一羽、上から下を見下ろすように大きく羽ばたいています。detail、つまり細部の線描は限りなく曖昧ですが、それが全体になると殆どかろうじて一羽の鳥を象っていました。冴えた線ではなく、あえて描かれたようなその朧げな線が、染谷の作品に独特な幻想的な雰囲気をもたらしているのかもしれません。そこに、まるで水の散らされたような絵具が瑞々しく塗られているのです。

絵巻物のイメージももっているようです。鳥の背景にのびる黄色い筋は、まるで大和絵に独特な雲霞のようにも見えました。そう言えば、鳥の羽の一枚一枚にも、所々に若冲の面影が感じられます。あの尻尾のような羽です。

6月23日までの開催です。(6/16)

*関連エントリ(共催展)
「デニス・ホリングスワース展 『コロッサス』」 小山登美夫ギャラリー
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