「異国の肌」 ドイツ映画祭2006 7/16

有楽町朝日ホール(千代田区有楽町2-5-1 マリオン11階)
「異国の肌」
(2005年/ドイツ/アンジェリーナ・マッカローネ監督)
ドイツ映画祭2006



昨年も一作品鑑賞したドイツ映画祭ですが、今年もまた行ってみることにしました。拝見したのは、現代ドイツを取り巻く難民問題、または同性愛をテーマとした「異国の肌」。半ばエンドレスに続いていく、主人公ファリバの辛い生き様に考えさせられる作品です。

あらすじは映画祭の公式HPをどうぞ。

ともかくファリバは生き抜く為に様々な犯罪を侵し続けます。イランからドイツへと逃れるため、入管で出会った男性の死を利用し、自身も男装した上で成り済まして入国する彼女。男性の遺体は彼女が手厚く葬るとは言え、あれではまさしく死体遺棄罪です。そして何とか工場での働く口を見つけ、男性として毎日の生活を何とか営んでいく。もちろん自身の身分を明かすことは決してありません。男としての彼女に身を寄せられた同僚のアンネも、初めは全く真相が掴めなかったことでしょう。結果、素性がバレた後も、何とか強制送還を逃れるために再び犯罪へと手を染めることになる。この強烈な生への意思の前には、健全なモラルなど何も役に立つことがありません。ファリバはもう命がけなのです。



同性愛については、ファリバが男として生きることにより、その焦点がむしろぼやけてしまっているようにも感じました。イランでは許されることのない同性愛が、ドイツではどうなっていくのか。恋に落ちたアンネ以外とは結局分かり合えることなく、まさに裏切り者として扱われていく。最後、イランへ送還されるシーンでアンネは再び「転換」しました。彼女はイランで恋をすることが出来るのか。答えはこの映画では明かされません。男装したことで、女性として女性を愛することの意味が薄れてしまったかもしれない。初めから女性としてアンネへぶつかっていくファリバが見たかったとも思いました。

ファリバの意思は強く伝わってくるものの、アンネを初めとした他の登場人物にやや弱さがあったように感じます。アンネがどのようにファリバを受け入れていったのか。その辺をもっと丹念に描ければ、なお良い映画になると思いました。
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