「石田尚志個展」 タカ・イシイギャラリー

タカ・イシイギャラリー
「石田尚志個展」
3/31-4/28(会期終了)



タカ・イシイギャラリーで開催されていた「石田尚志個展」へ行ってきました。

昨年のMOTコレクションの特集展示で受けた衝撃もまだ覚めやらぬ石田尚志ですが、ここタカ・イシイでもまた見事な展示を行っていました。

暗幕をくぐった先に登場するのは4面のスクリーンです。そこには小屋の中でさも自在に展開するようなアニメーション・ドロイーングが写されています。

動きは極めてスピーディーです。絵具が広がり、また線と面を描き、今後は消え、さらには再びまた広がって紋様を描く様が、それこそダンスをしているかのような躍動感をもって続いていきます。その様子を見ていると伸びゆく絵具、またドローイングそのものが意思を持って動いているかのようでした。

種明かしをしてしまうとこの映像は、石田自身が約4ヶ月にも渡ってスタジオで描き続けたドローイングの痕跡に他なりません。ひたすらに描くという行為が、複数のカメラでコマ撮りしたアニメーションというプロセスを通すことで、映像としても極めて完成度の高い作品に転化させることに成功しています。

とりわけ凄まじいのは、映写機とドローイングとの関係です。その両者があうんの呼吸での連動し、さらにそこへ光と闇が変幻自在に交錯していく様子は、驚くほどにスリリングではないでしょうか。一体自分が見ているのが光なのか闇なのか、そしてドローイングなのかそれともまた別種の幻なのか、そうしたことが分からなくなってしまうほどに感覚を揺さぶってきました。

さらにもう一つ、また仰天させられたのが、スクリーンの裏へ廻った時のことです。なんと実際の小屋の展示が行われているではありませんか。ようは手前でスクリーンを写す際の効果音と思っていたカタカタという音は、実際の映写機が出している音というわけでした。

行為(ドローイング)の蓄積は、時間(映像)だけでなく場所(インスタレーション)までをもって表現されています。その相互の次元の垣根は取っ払われていました。

現在、石田はモスクワで開催されている「モスクワにおける現代日本美術」展に参加しているそうです。そちらまでは追っかけられませんが、少なくともMOT、そして本個展と立て続けに石田の展示を見ることが出来て心底良かったと思いました。

展示は既に終了しました。

「石田尚志個展」 タカ・イシイギャラリー
会期:3月31日(土)~4月28日(土) 
休廊:日・月・祝日
時間:12:00~19:00
住所:江東区清澄1-3-2 5階
交通:東京メトロ半蔵門線・都営大江戸線清澄白河駅A3出口より徒歩7分。
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