「2018年 見逃せない美術展」 日経おとなのOFF

一年の締めくくりの12月。今年も残すところあと約3週間となりました。来年の大規模な展覧会の情報もかなり出揃ってきました。



「日経おとなのOFF2018年1月号」
http://trendy.nikkeibp.co.jp/off

それを網羅するのが、「日経おとなのOFF」の最新号(2018年1月号)です。毎年、この時期は、いくつかの雑誌で美術展特集が組まれますが、現時点では、「日経おとなのOFF」が最も情報を掲載しています。



「牛乳を注ぐ女」の表紙が全てを物語るのかもしれません。来年秋、上野の森美術館で開催されるのが「フェルメール展」で、国内史上最多の8点のフェルメール作品が公開されることが決まりました。



「フェルメール展」 上野の森美術館 10月5日~2019年2月3日 *大阪市立美術館へ巡回予定。

また大型展では異例とも言える日時指定入場制も発表され、ネット上でも話題を集めました。ともかくフェルメールは抜群の人気があるだけに、大変な賑わいとなることが予想されます。「フェルメール波が襲来」とありましたが、あながち誇張とは思えません。

さてフェルメール展と並び、特に注目を集めそうなのが、東京都美術館の「ムンク展」です。「叫び」の来日が発表されました。



「ムンク展」 東京都美術館 10月27日~2019年1月20日

実際のところ、「叫び」には幾つかのバージョンがあり、特にオスロ国立美術館の作品が知られていますが、今回は、オスロ市立ムンク美術館の「叫び」がやって来ます。かの強烈なビジュアルもあり、地名度もずば抜けているため、多くの方が詰めかけるのではないでしょうか。

「フェルメール展」、「ムンク展」に続き、大きく取り上げられていたのが、以下の展覧会でした。

「至上の印象派展 ビュールレ・コレクション」 国立新美術館 2月14日~5月7日 *九州国立博物館、名古屋市美術館へ巡回。
「プーシキン美術館展」 東京都美術館 4月14日~7月8日 *国立国際美術館へ巡回。
「ヌード NUDE」 横浜美術館 3月24日~6月24日
「特別展 京のかたな」 京都国立博物館 9月29日~11月25日
「生誕150年 横山大観展」 東京国立近代美術館 4月13日~5月27日 *京都国立近代美術館へ巡回。
「生誕150年記念 横山大観 東京画壇の精鋭」 1月3日~2月25日
「没後50年 藤田嗣治展」 東京都美術館 7月31日~10月8日 *京都国立近代美術館へ巡回。
「没後40年 熊谷守一」 東京国立近代美術館 開催中~3月21日
「プラド美術館展」 国立西洋美術館 2月24日~5月27日 *兵庫県立美術館へ巡回。
「ルーベンス展」 国立西洋美術館 10月16日~2019年1月20日
「ミケランジェロと理想の身体」 国立西洋美術館 6月19日~9月24日
「ブリューゲル展」 東京都美術館 1月23日~4月1日 *豊田市美術館、札幌芸術の森美術館へ巡回。
「ルーヴル美術館展 肖像芸術」 国立新美術館 5月30日~9月3日
「特別展 縄文」 東京国立博物館 7月3日~9月2日
「名作誕生 つながる日本美術」 東京国立博物館 4月13日~5月27日
「特別展 池大雅」 京都国立博物館 4月7日~5月20日
「東西美人画の名作 序の舞への系譜」 東京藝術大学大学美術館 3月31日~5月6日
「仁和寺と御室派のみほとけ」 東京国立博物館 1月16日~3月11日
「京都・醍醐寺 真言密教の宇宙」 サントリー美術館 9月19日~11月11日

西洋美術に注目の展覧会が目立ちます。特にモネの「草上の昼食」が初来日する「プーシキン展」、ベラスケスが7点揃い、国内では7年ぶりの開催となる「プラド美術館展」、さらにブリューゲル一族を中心に、16から17世紀のフランドル絵画を紹介する「ブリューゲル展」などは、会期早々より人気を集めそうです。

ヴィクトリア朝から現代までの「ヌード」の美術表現を辿ります。その名も「ヌード NUDE」が、横浜美術館で開催されます。



「ヌード NUDE」@nude2018) 横浜美術館 2018年3月24日~6月24日

イギリスのテート・コレクションから「ヌード」に関する諸作品を俯瞰するもので、ロダンの「接吻」ほか、ターナーの描いたヌードや、マティス、ピカソ、ホックニーなど、計130点の作品(写真や版画も含む。)が展示されます。


一昨年より、オーストラリア、ニュージーランド、韓国を巡って来た国際巡回展でもあるそうです。

ひょっとすると縄文ブームがやって来るのでしょうか。東京国立博物館で「特別展 縄文」が開催されます。

「特別展 縄文」 東京国立博物館 2018年7月3日~9月2日


約1万年にも及ぶ縄文時代の人々が生んだ土器や石器、さらに土偶や装身具などを、「縄文の美」のテーマのもとに紹介する内容で、有名な十日町の「火炎型土器」や函館の「中空土偶」、それに青森の三内丸山遺跡より出土した「木製編籠」などが出展されます。また縄文を再発見したとも言われる、岡本太郎についても触れるそうです。

東京国立近代美術館の大回顧展から10年以上経っていました。東京都美術館で「没後50年 藤田嗣治展」が開催されます。

「没後50年 藤田嗣治展」 東京都美術館 2018年7月31日~10月8日


10年前の展覧会では、藤田の作品を時間に沿って展示していましたが、今回の回顧展では、「風景画」や「裸婦」などのテーマを設定し、藤田の画業を検証する内容となります。また近年に確認された作品や、あまり公開されて来なかった作品も加わり、国内のみならず、これまでにないスケールで、海外の美術館からも作品がやって来るそうです。



「2018年 美術展ハンドブック」では、さらに「必見の美術展」として、計88展の情報が掲載されていました。その中より、私が気になる展覧会を幾つかピックアップしてみました。

「ルドン 秘密の花園」 三菱一号館美術館 2月8日〜5月20日
「特別展 人体」 国立科学博物館 3月13日〜6月17日
「特別展 池大雅」 京都国立博物館 4月7日〜5月20日
「光琳と乾山」 根津美術館 4月14日〜5月13日
「ブリジット・ライリー展」 DIC川村記念美術館 4月14日〜8月26日
「モネ それからの100年」 名古屋市美術館 7月14日〜9月24日 *横浜美術館へ巡回。
「建築の日本展:その遺伝子のもたらすもの」 森美術館 4月25日〜9月17日
「竹久夢二展」 東京ステーションギャラリー 5月19日〜7月1日
「琳派 俵屋宗達から田中一光へ」 山種美術館 5月12日〜7月8日
「ジョルジュ・ブラック展」 パナソニック汐留ミュージアム 4月28日〜6月24日
「ミラクル・エッシャー展」 上野の森美術館 6月6日〜7月29日
「生誕110年 東山魁夷展」 京都国立近代美術館 8月29日〜10月8日 *国立新美術館へ巡回。
「ピエール・ボナール展」 国立新美術館 9月26日〜12月17日

キュビズムの創始者として知られるジョルジュ・ブラックの展覧会が、パナソニック汐留ミュージアムで開催されます。

「ジョルジュ・ブラック展」 パナソニック汐留ミュージアム 4月28日〜6月24日

主にブラックの立体造形に着目する展覧会で、晩年に取り組んだ「メタモルフォーシス」シリーズが、日本で初めて本格的に紹介されます。また最初期の油彩を含む、絵画や版画などの平面も、僅かながら加わるそうです。ブラックに対して、新たな知見を得られる機会となるかもしれません。

国立館だけに、大規模な回顧展となることが予想されます。国立新美術館にて「ピエール・ボナール展」が開催されます。

「ピエール・ボナール展」 国立新美術館 9月26日〜12月17日

ナビ派の画家であるボナールは、特に日本美術の影響を受け、時に平面的で装飾的な作品を生み出しました。室内の情景など、身近な題材を好んで描いたことでも知られています。オルセー美術館の特別企画でもあるので、同館からも多数の作品がやって来るのかもしれません。


なお巡回情報こそ記載されているものの、基本的に東京、関西の展覧会が中心です。それ以外の地域や、小さな美術館については、殆ど網羅していません。

美術館の自主企画展や、常設展の特集展示などが、思いがけないほど充実していて、面白いことが多いのも、美術展巡りの醍醐味の1つではないでしょうか。率直なところ、私自身もどこまで見られているか自信がありませんが、そうした展覧会は来年もなるべく追っていきたいと思いました。



「日経おとなのOFF」の展覧会特集は、年々、人気を集めているのかもしれません。実際、去年に至っては、相当に売れたのか、途中で一度、書店から姿を消しました。今年も、「美術展ハンドブック」、「フェルメールクリアファイル」、「名画カレンダー」といった付録もついていて、税込800円です。確かにお得感がありました。

「日経おとなのOFF/2018年美術展/日経BP社」

まずは書店にてチェックされることをおすすめします。

「日経おとなのOFF2018年1月号」 日経BP社(2017/12/6) 目次一覧(一部)
[2018年絶対に見逃せない美術展]
◆2018年の美術展大事件
・奇跡の8点!過去最大級 フェルメール波が襲来
・2018年のフェルメール事始め
・ルノワール史上最高の美少女
・若きモネの大作『草上の昼食』に見る 印象派の日の出前
・2018年はムンクの叫び旋風が吹き荒れる!
・不倫を超越!真実の愛
・ロダン渾身の作『接吻』360度!
・天皇の苦悩が名刀を生んだ!?
・3分で分かる西洋美術史

◆知っている画家の知られざる一面を暴く
・日本画の大家・横山大観 
・日本に愛されたかったフジタを深読み
・ゆるかわ系代表!?熊谷守一の頭の中は超絶シャープ
・フェリペ4世専属の宮廷画家 ベラスケス
・ルーベンスは画家史上最高の教養人
・天才・ミケランジェロ 2つのダヴィデ像を作った!?
・2018年美術展 裏道ぼちぼち歩き
 
◆なぞとき日本美術
・縄文人 1万年の土器愛にドキッ!
・働き女子の共感が生んだ!? 普賢菩薩像のバリエーション
・雑食系で開花した 雪舟ワールド
・解剖!若冲のまねっこ力
・江戸時代の印象派!池大雅の光と色彩の世界
・魅惑の「美女ルーム」へようこそ!
・三好和義が捉えた心の楽園
・山田五郎×山下裕二「美術展総見2018」
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