「第8回 shiseido art egg 加藤俊輔展」 資生堂ギャラリー

資生堂ギャラリー
「第8回 shiseido art egg 加藤俊輔展」 
1/10~2/2



資生堂ギャラリーで開催中の「第8回 shiseido art egg」加藤俊輔個展、「ジェンガと噴水」を見て来ました。

毎年、公募形式により新進のアーティストを紹介する資生堂アートエッグ。今年でもう8回目です。入選者はいつものように3名。それぞれ1月から3月末にかけて各3週間ずつ、同ギャラリーにて展示を行います。

トップバッターは1983年生まれの加藤俊輔です。実のところ私にとっては殆ど初めて見知る作家。どのような展示なのか。そもそもアートエッグ展は面白いことが多い。期待しながら会場へと足を運びました。


加藤俊輔「layer of my labor」2014年

さて入口から展示フロアへと降りる階段へ。踊り場です。上の写真(撮影が可能でした。)のように、一枚の平面の作品が掲げられている。よく梱包に用いるような水色のビニールヒモ。それが半ば幾何学模様を描くように合わさっている。絵画なのか写真なのか。その印象を頭に入れつつ、メインのスペースへと進んでみました。


加藤俊輔展会場風景

すると目に飛び込んで来たのは巨大なベニヤ板のオブジェです。三角形の木片が幾重にも組み重なって一つのボリュームを生み出す。手前には四角い箱も。三角と四角の展開。造形としても美しい。いわゆるイメージそのものにも惹かれました。

しかしながら加藤の制作はそれだけに留まりません。では何なのか。以下、いささかネタバレになります。


加藤俊輔「untitled layer」2013-2014年

結論から申し上げると表面に写真が組み込まれているのです。つまり一度、ベニヤをカットして穴をあけ、それを重ねたあと撮影。さらに撮影した写真を各々のベニヤの表面に貼付け、再び始めに並べた順に展示する。ベニヤの写真の貼付ける順番はあらかじめ作家が決めている。支持体とイメージの曖昧の関係。何ともトリッキーです。


加藤俊輔「temporary repair」2013-2014年

さらに奥へ進みましょう。「temporary repair」と名付けられた連作。こちらはすぐに写真であることが分かりますが、何かモチーフ自体が解体されているようにも見える。これも一枚の写真を破って並べた後、再度撮影してまた一枚の写真に仕上げたというもの。元々のモチーフを半ば一度破壊して、別の形に組む。さらに再度それを写す。その時にまた背景が入り込みます。いくつかのレイヤーは作家の手を介すことで一つのイメージに収斂されました。


加藤俊輔「layer of my labor」2014年

大理石をモチーフとした作品にも驚きました。こちらも一端、石の上にモノを置き撮影、さらにその写真を貼ってまたモノを置いて撮影するというプロセスを繰り返したものですが、よく見るとモノの影が四方に散っていることが分かります。一体、作品は何回、このプロセスを経由して出来上がっているのか。見ているものや層が何なのかが分からなくなっていきます。

そして初めの踊り場の平面もこうしたプロセスを辿って作られた作品というわけでした。

写真を活かして「鑑賞者の認識を揺さぶる」(解説シートより)という試み。そのアプローチしかり、思いがけないほどに魅惑的ではないでしょうか。



【第8回 shiseido art egg 展示スケジュール】
加納俊輔展 1月10日(金)~2月2日(日)
今井俊介展 2月7日(金)~3月2日(日)
古橋まどか展 3月7日(金)~ 3月30日(日)

2月2日まで開催されています。まずはおすすめします。

「第8回 shiseido art egg 加藤俊輔展」 資生堂ギャラリー
会期:1月10日(金)~2月2日(日)
休館:毎週月曜日
時間:11:00~19:00(平日)、11:00~18:00(日・祝)
住所:中央区銀座8-8-3 東京銀座資生堂ビル地下1階
交通:東京メトロ銀座線・日比谷線・丸ノ内線銀座駅A2出口から徒歩4分。東京メトロ銀座線新橋駅3番出口から徒歩4分。
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